書評_30代半ばの独身女がフリーターで何がわるい__コンビニ人間
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書評_30代半ばの独身女がフリーターで何がわるい__コンビニ人間

【書評】30代半ばの独身女がフリーターで何がわるい?『コンビニ人間』
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主人公は30代半ばの女性。幼い頃から世間とのズレを感じてきた。大学生の頃にふと惹かれて始めたコンビニのバイト。求められていることが明確で、ルールに則れば非常に生きやすいことに気づく。マニュアル主義批判ではなく、他者とのコミュニケーションに不自由や息苦しさを感じている全ての人が、笑いながら共感できる一冊。

主人公が幼い頃、公園で小鳥の死骸を見つけた。焼き鳥が好きなお父さんにプレゼントしたいと思いお母さんに見せたところ、必死で否定された。何がいけないのか分からない娘との対比が面白い。確かに、なぜ鶏はよくて小鳥はいけないのか。大抵の人は空気を読んだり常識に従って判断している。世の中にはこういった問題が実はたくさんある。

そんな主人公はコンビニで働きながら、マニュアルに完全に従うことで異常な判断をすることなく周りに溶け込んでいる。しかし、30代半ばでバイトで独身ということで、再び周りから異物のような目で見られるようになる。そこで取った手段が、好きでもない男との同棲。恋愛関係はない。その途端手のひらを返したように周りの反応が変わる。その描写がまた面白い。結局周囲の人間は、コンビニという狭い世界を支配しているルールに従って生き生きしている主人公と、箱の大きさが異なるぐらいしか違いはない。

本書は主人公が周りとのギャップに悩みながらも、最終的に自分の生きる道を探し出していく物語である。私自身、周りと比較してしまい自信がなくなることが度々ある。比較することには意味がないとわかりつつも、会社のネームバリュー、収入、着ている服、食べている物など、簡単に比較できてしまいモードに入ってしまう。そういう時は本書の主人公を思い出しながら自分の道を進みたいと思う。

読み終わった後、私は主人公に会ってみたくなった。私自身にも彼女と似たところがあり、そういう出来事を話してみたい。共感できるのではないかと思ったが、おそらくそれも難しいだろう。自分自身、または周りの人を当てはめながら読むと、腹の底から笑える場面がいくつもある。短いのでぜひ読んでみてほしい。



コンビニ人間 (文春文庫)
作者:村田 沙耶香
文藝春秋
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