【消費者アート】
ポーランドの女性アーティストであるナタリア・ラフ・ラホヴィチが1972年に発表した映像作品。ジャンルではなく作品の題名である。
画像に映っている女性は作者本人。「消費の喜び」をテーマにしている。
性的なだけでなく共産主義社会であった制作当時のポーランドではバナナは高級品でもあった。またポーランドはカトリック社会でもあり、国家や家庭を自己犠牲的に支える女性が理想とされていた。作品は、抑圧されていた女性が性的にも物質的にも消費社会を謳歌する姿を肯定的に表現している。
バナナやらアイスクリームやら、とにかく棒状のものを女性が咥えていると【男根のメタファー】であるとみなすのは、どうやらフェミニストをはじめとする性嫌悪者たちの習性であるらしい。
【響け!ユーフォニアム】や【アウディRS4広告写真】のような、そのような意図を全く持たない作品にまで言い掛かりを付けるのは困るが、フェミニストであれ誰であれみずから「性的な意図でバナナを咥えるアート」を作ること自体は、それはそれで表現の自由であり、全く問題はない。
この『消費者アート』こそはそのような作品である。
しかし制作当時ではなく2019年4月になってもまだ、ポーランドのワルシャワ国立美術館から本作は「性別に関連する特定の話題は明示されるべきでない」「性に敏感な若者を刺激しかねない」として、館責任者の指示で撤去された。
このことは大きな抗議を呼んだ。
すでに館は作品の展示を戻す約束はしていたが、市民はシンボルとしてバナナを持ちよって美術館に押し寄せ、館前でバナナをほおばって見せたり、皮を頭にかぶって見せるなどの抗議パフォーマンスを行った。
ハッシュタグ運動
「#jesuisbanan」「#bananagate」
またSNS上でも「#jesuisbanan」「#bananagate」などのハッシュタグを使ってバナナを食べるところを投稿する動きがあり、多くの俳優や政治家などが参加した。
また岡本光博はこの抗議活動を【表現の自由の机1】と題して作品化している。
なお本作は同年のうちに来日し、東京都写真美術館「しなやかな闘い──ポーランド女性作家と映像:1970年代から現在へ」(2019年8月14日~10月14日)で展示されている。
参考リンク・資料:
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