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『謝ってしまった企業たちへ』2024-07-31

 昨日、非常に残念なニュースが舞い込んできた。
 KADOKAWAの漫画雑誌『月刊コミックキューン』が、中嶋ちずな先生の新作『エルフ先生のトイレはどこですか?』の販促掲示物を、炎上に屈して撤去すると発表したのである。

 本作のテーマは一言で言えば「放尿」である。
 2006年からの『いいなり!あいぶれ~しょん』をはじめ、女子の放尿・おもらしを描くことはちずな先生のライフワークといって過言でない。
 この販促物は、上部を引っ張ることで主人公のエルル・シッコシー先生が着衣状態から放尿している場面に変わるというものである。 

起動前
起動時

 さてフェミ達の間では「ゾーニング」という言葉が飛び交い、「見たくない人の権利」が声高に主張されていた。

 他の連中の主張も金太郎飴なので紹介は省くが、あいかわらず「棲み分けろと言っている本人が、引用RTで拡散する」といういつもの行動パターンを取っている。
 このツッコミどころはいつもどおりである。
 本当に「子どもに見せられない」のならば、Xでそれを拡散するわけがない(X運営が提供しているサービスであるセンシティブ設定すら使っていない)のである。
 つまり「ゾーニング派」の言うことは、いつもと同じように嘘であるということだ。

 しかし、さらに今回特殊な点がある。
 それは、このギミックは「見たくない人の権利」を完全に確保しているということだ。その点でもゾーニング派の出る幕はないのである。

 なぜならば、ギミックを作動させない限り、エルル先生のおしっこシーンを見ることはできないからだ。
 作動させない限りは、この販促物は完全に着衣のエルル先生である。むしろゾーニングは、18禁コーナーにあるエロ本やAV以上に徹底されているとさえ言える。
 18禁コーナーにはその内と外しかないからだ。入ってしまえば、放尿モノを含めてどんな性癖のパッケージも置かれている。たとえば重度のホモフォビアの人が、異性愛もののAVを探しに入った18禁コーナーで、自分の大嫌いなゲイもののAVのパッケージが目に入る可能性はおおいにあるわけである。
 もちろん本来、「パッケージが一瞬目に入った」などということは受忍限度内であり、逆に異性愛ものが嫌いな人だっているわけだから、無数の性癖・主義・主張を含むメディアの流通を確保するため、全ての人に「あんたの嫌いなものが一瞬目に入ったとしても、それは自分で目を反らしてね」というルールを守ってもらっているのである。

 しかしこのギミックは、その一瞬もないのである。自分で作動させて初めてエロくなるのだから。


 にもかかわらず、コミックキューン編集部は謝罪をしてしまった。

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