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ヒトシ
2021年4月13日 16:13
三国にまたがる 軍神の社奥の院に向かう 険し参道楚々と咲いた ニリンソウ親指の先ほどの 小さな花真白な花びら 黄色のしべ詣でる人の こころを癒す見上げる 萌色のトンネル響く囀りと 沢水の冴え音薫風が 若い葉をくすぐる歩を緩めて 手足を伸ばす生まれたての 緑が放った生まれたての 冷たい空気細胞の隅々に 沁みわたる下界に降れば あれこれとやんごと
2021年4月10日 10:46
春はなんだか弱っちい。ぐいぐい引っ張られて季節をひとつ飛び越えちゃったかと思えば、ちょっとした北風ですぐに後ろに下がったりするし、そうかと思うとまたすぐもとに戻る。夏とか冬みたいに確固たる自分を持てよ、と叱咤激励したくなる。みんながそんな気持でいるから、春は花がいっぱいなのかも。
2021年4月8日 11:56
一度葉っぱを落として春に芽吹く落葉樹と違って一年中緑の針葉樹は風情がないとお思いですか?それは誤解というものです。ご覧ください、このモミの木の若葉の美しさ。深緑の枝の先端が、こぞって新しい芽を吹いてまるでメッシュを入れたよう。触ってみると、柔らかく、まるでぷにゅぷにゅのゴム細工。遠くから見る春山の萌え色はいろんな若葉の集合体。それぞれの色、それぞれの芽吹き。
2021年4月5日 15:01
先走った暖かさが続いていつもより早く深さを増した紅葉の新緑半月前まで見えた萌黄越しの遠景は今はもうすっかりと緑陰に隠れて枝先に遊ぶ小鳥の声を響かせる華やいだ空気も今日はひとやすみ朝からしとと降る静かな雨が清らかで明るい木々の若葉を寿ぐように降り注ぐ春の日は雨もまたよし
2021年4月3日 10:56
カラスノエンドウはわたしの春のお気に入りはびこり過ぎると困るけど畦道に咲く赤むらさきの小花は美しくまだ緑が少ない畑でも目を楽しませ虫たちを呼んで野菜のみのりを助ける実らせた小さなえんどうまめは熟して地に落ち豊かな土に帰る畑は人と自然の境界域キリキリとツノ付き合わさずにゆるゆるとともにはぐくむが吉
2021年4月2日 10:57
今年最初に植えたジャガイモが芽吹いた。発芽まで3週間、順調そうで一安心。ジャガイモの発芽は、夏野菜のホイッスル。気温も地温も安定し、畑仕事もいよいよ本番。今日も手足を動かして たっぷりいい汗かいて気持ちよく美味しいビールを飲むぞっと。
2021年3月30日 11:04
川沿いの散歩道頭上では桜の花びらが溢れて足元にはタンポポの黄色これでもかと花びらを大きく開いて甘いかおりでミツバチを誘惑思惑どおりに飛んできて身体いっぱいに花粉をつけて一心不乱の蜜あつめ春爛漫の陽だまりは長閑に見えてせわしない花も木も虫も鳥もみんなみんな大忙し
2021年3月9日 13:36
すずらんに似た純白のスノーフレークは花びらの先に黄緑色のワンポイント住む人のいなくなった住宅のその軒先の花壇の跡地に愛でて世話する人がなくとも己が根にちからをスンと蓄えて厳冬に耐えて花を咲かせる早春に開く花はみなどれも行きつ戻りつする季節をしっかり一歩進ませる楚々として麗しくそしてたくましく
2021年3月6日 12:00
部屋の音を全部消してガラス戸を開け放って目を閉じて耳を澄ませてみる遠くに聞こえるさざめきは雪解け水を運ぶ早瀬の音冬枯れの木に巻きついた蔦の緑に忙しなくコガラの地鳴きが動き回り遥か高い空からはふわり浮かんだトンビの口笛そよと吹く風が笹の葉擦れを誘う春はくる目を閉じていても春はくる
2021年3月5日 11:10
種蒔きの時を待つ畑とつとつと歩く畔道ひんやりと冷たい風あたたかな陽のひかり小さく開いた野の花ホトケノザイヌナズナスミレヒメキンセンカ愛でられて摘まれても刈られても踏まれても倦まずにそこで春を告ぐ小さないのちの彩やかさ春はくる畦道を歩くはやさで春はくる
2021年3月2日 15:21
日に日に夜明けが早くなる。小鳥のさえずりが少しずつ増えてくる。まだ鳴き慣れないウグイスの未熟な声も聞こえてきた。山の雑木林はなんとなく暖かな色にかすんで見える。冬越しの分厚い毛皮に包まれていたこぶしのつぼみは冬毛を少し軽くして膨らみ始めた。ジャガイモ植え付けのタイミングを、隣近所が探り合う。弥生三月は、春本番へのグラデーション。山も、畑も、虫も、鳥もいろんな命が
2021年3月1日 15:23
数年前まで毎朝通っていた道を逆向きに辿りながら、鼻をクンクンさせる。んー、やっぱり朝じゃないとダメか。路地を一本左に入ってウロウロ。するとセンサーが反応した。あ!この香り。やっぱりまだあった!ようやく出会えた小さなパン屋のくるみパンは「あの頃」の味がして少ししょっぱかった。
2021年2月25日 14:06
うちの冷蔵庫には、いつも鬼がいます。もう3年くらいは、いつもいます。節分が過ぎても平気です。たいてい2匹はそこにいます。赤ではなくて青鬼です。この鬼は、人を酔わせることはあっても、人を喰うことはないので、巷で話題の、竈さんたちから狙われることもないようです。インディア・ペール・エールという種族のようです。本当は軽井沢あたりで増殖しているらしいのですが、うちにはア
2021年2月18日 17:15
あなたは、年に幾度かの、遠い世界への旅を夢見て、日々の退屈をやり過ごす。わたしは、小さな畑で、種を蒔き、水を撒き、芽吹きを喜び、若葉を愛で、虫と戦い、収穫を楽しむそんな単調な日常を嬉々と繰り返す。所詮、人生は暇つぶし。優劣も正誤もありはしない。残りの時間、どんな香辛料で楽しむか。さ、お好み通りになさいまし。