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煮干しとタイ料理、奇跡の交配

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数ヶ月ぶりのスクランブル交差点

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繁華街と云われる、渋谷の雑踏に踏み入るのは何ヶ月ぶりだろう。

コロナ禍以前、日本中、いや世界中の若者たちが押し寄せる撮影スポットだったスクランブル交差点。ステップ3になってさぞやと思いきや、この夜は案外おとなしいものだった。

幼い頃、親父にねだったプラネタリウムはヒカリエに変貌し、学生から通い、サラリーマンになっても毎晩のようにボトルを開けた”のんべい横丁”も、もはや風前の灯火。

されど目を閉じれば、地下を流れる渋谷川の水脈を感じる。

今も昔も変わらない、そう渋谷は"谷"なのだ。

そして街は生きている。

PARCOのRESTAURANT

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開業時西武劇場が入り、TOKYOFMスペイン坂スタジオのあったPARCO。

移転したシネクイントを擁するPart3と併合され、2019年新しく生まれ変わった。

この日の目当てはこの4階。

RED U-35に輝いた料理人森枝幹さん仕掛ける、タイ料理【Chompoo】が待っている。

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先週から限定、世にも奇妙なコラボが実現した。
そのお相手は、煮干しラーメンの雄【ラーメン凪】。

代表の生田さんは知る人ぞ知る煮干しラーメンの達人である。

捨てられる煮干しガラの再生"フードロス"という試みについて語る生田さん。

その熱き思いに呼応した森枝さんは、その横で優しく微笑んでいる。

凪チョンプー「前菜盛り合わせセット」

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豊富な前菜が運ばれた。

味付けの変化も愉快なチャーシューたち、絶妙に仕上げた揚げ玉子、鶏皮の香ばしさが飲兵衛には好ましい。

先ず、ソムタム麺でご挨拶。

舌に感じる鋭い刺激、
さあ、煮干し VS タイ料理、序章のはじまりだ。

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森枝さんが各テーブルに、煮干しガラのペーストを配ってくれる。

主役の煮干しをツマミに、「煮干しビール」でひと心地。

美しい琥珀色は、ビール酵母の苦味に不思議と融合し、さっぱりと洗練されたコク深い味わい。

タイ料理の本骨頂、スパイスとハーブにきっと合うはず。

そして予言通り、この日何杯もお変わりすることになる。

"Thai"に恋した煮干しラーメン
一杯目「煮干し担々麺」

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白っぽい胡麻ペーストのスープに、鮮烈な紅い点々が浮いている。

いわゆる、坦々麺のビジュアルだが、先ず一口。

白胡麻の親しんだ甘みと煮干しガラの程よい苦味がマリアージュ。

で、突如、ガツンときた。

カピを使ったという、特製辣油のパンチ力がものすごい。

見た目より3倍いや、10倍は激辛に仕上げてある。

東洋激辛界推挙の汁が、細いアルデンテのストレート麺に嫋やかにまったりと絡みつく。

この後冷えたビールとの無限ループにハマるのは、間違いなく蠱惑的なスープの魔力だろう。

汁を啜るたびに訪れる舌の痺れ、カピ辣油と花山椒の攻撃は手を休めることがない。

全身の毛穴という毛穴が全開、相席した紳士淑女も滝のような汗が止まらない様子。

こりゃ、いろんな意味で病みつきになるね。

二杯目「煮干しカレーラーメン」

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そそり立った一反麺、まるでラーメンマニアを手招きしているようだ。

タイのカレーだよな、と気合い十分。

ん?

レンゲの汁は、意外なほどクリーミー。

煮干しのエキスがよく溶け込み、ナンプラーの魚っぽさとは別種のマイルドさを感じる。

アジアの食カルチャーが見事に融合した瞬間だ。

考えてみれば、海鮮を発酵させた魚醤やカピなどは、タイ料理に欠かせない大切な調味料。

出会うべくして出会ったコンビなのだ。

弾力抜群の太い縮れ麺が、大和🇯🇵とタイ国🇹🇭、渾然一体の汁を悠然と吸い込む。

口内に二国の三重奏、甘、辛、苦のTrioが響く。

トッピングのパリッと揚げた一反麺を汁に浸してみた。

こうすることで、ググッと深みが増すのだ。

紫玉ねぎの生の刻みがポイントかも。

強烈な坦々麺の後の二杯目なので、ある種ほにゃららの王子様のような慈愛に満ちた柔らかいお味。

生田さんがイチ推しなのもうなづける一杯だ。

三杯目「煮干しピリ辛(ソムタム)冷やし麺」

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個人的には、前菜についた「煮干しピリ辛(ソムタム)冷やし麺」がお気に入り。

青パパイアと大根のシャキシャキ感が、煮干し、小魚、小海老など賑やかな相棒と混じり、サラダ感覚でサッパリといただける。

中太の中華麺に沁みる青唐辛子入りのタレは実に爽やかで、初夏の清涼を誘ってくれた。

これ、定番メニューにしてもらえないだろうか。

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自粛要請の最中、冷食という技術を用い、業界を牽引した生田さんならではのトライ。

煮干しラーメンと新感覚タイ料理、

この奇跡のタッグは、生田さんの情熱と森枝さんの懐の深さがあってこそ。

火照った肉体に、スペイン坂を抜ける夏気分の夜風が心地いい。

リーズナブルにこんな豊かな気持ちになれる、ラーメンの世界って奥深いわー。

大量に捨てられてしまう煮干しのガラを、ふんだんに使用した"フードロス"ってのも、現代風でいいね。

ラーメン界の風雲児、生田さんのパッションに、乾杯!

今宵はどうもご馳走さまでした😋

【Chompoo】(渋谷)
🥄期間限定コラボメニュー🥄
煮干しピリ辛冷やし麺(1,000円) *6月19日(金)終了。
煮干し担々麺(1,000円) *6月23日(火)終了
煮干しカレーラーメン (1,000円) *6月25日(木)に登場。
凪チョンプー 前菜盛り合わせセット(3,500円)
煮干しビール(500円) , et cetera.
*これらの限定メニューは、2020年6月25日(木)までのご提供となります。

▼参考リンク
https://ramenstock.com/collaboration01/

writer_金子さん


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