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文章は防御服

今あんまり運が良くない時期かも、と思うことがある。

人生山あり谷ありで、上手くいっていない時期があるからこそ、幸せな時に感謝ができるというのはなんとくなく分かる。だからといって、お?上手くいかない時期が来た!!やったー!って思えるほどポジティブでも無い。

その時の自分の対処法は2種類。
「こつこつ抗う」か「休む」かだ。

だいたいにおいて休んでいる気がするけど、たまに、ここで頑張らねばいけないな、向き合わないといけないなと本能的に感じる時がある。

そのこつこつ抗いたい時期、どうしても周囲の雑音を減らすイヤフォンと、向かい風でも進んでいける防御服が必要になるのだ。

イヤフォンは人と距離をとること。
自分のペースで進めるために周りの空気感を吸いすぎないようにすること。

そして防御服が、自分にとっては文章なのだと、改めて思った。


様々な防御服を身につけてきた。

マイケル・ジャクソンの「We Are The World」の歌詞。オードリーヘップバーンの名言集。伊坂幸太郎さんの「死神の精度」。
社会人になってからは、原田マハさんの「本日はお日柄もよく」「たゆたえども沈まず」。高山都さんの「美食姿」。松浦弥太郎さんの「今日もていねいに」。

有名な方、有名な本ばかり、と思う方もいらっしゃるかもしれないけれど、やっぱり名前をあげた方たちの文章は優しくて丁寧で、何よりあたたかくて大好きだ。

そこに今日、1人と1冊が追加された。

幡野広志さん。「なんで僕に聞くんだろう。」

こないだの図書室探索にて借りた本の1冊だ。

写真家であり、血液ガンの患者でもある幡野さん。余命いくばくかの人間なのに、たくさんの方から悩みや質問が寄せられて、「なんで僕に聞くんだろう」と思いながらひとつひとつ丁寧に答えを返している、そんな内容だ。

ハッとさせられたり、どうしてこんな考え方が出来るのだろうと思うほど暖かい言葉の連続だ。読めば読むほど泣けてくる。その中から、今回はひとつだけ残しておく。

どうやったら幡野さんみたいな文章を書けますか?という問に対しての答え。
1部分だけ切り取っています。

本音で書くというのがぼくは大切なことだと思います。自分が日々感じていることや、自分がたどり着いた答えを、ウソをつかないで書くということをぼくは心がけています。

なんで僕に聞くんだろう

読んでいてものすごく安心できるのは、本音で向き合って下さっているからなんだ、と腑に落ちた。
この人はウソをついていないとわかるから、信頼できる。

そして、信頼してる人の言葉は素直に響く。

だから、みなさん幡野さんに悩みを打ち明けたくなるのだろうなあと思った。周りの人にとっての自分もそうありたいものだとも思った。

話が少し逸れてしまったけれど、本にしても人にしても出会うべき時に出会う、を感じた1冊でした。


暖かい言葉に包まれながら、ずっと遠くて少しばかり苦しい道を歩いていく。

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