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小説日和と、エッセイ日和

朝起きてすぐか夜寝る前に、わたしは一冊本を手に取る。

読書という習慣は、私を心身ともに整えてくれる。どうしても刺激を多く求めてしまいがちな昼間は活字より映像に手が伸びることが多いので(YoutubeとかNetflixとか)、朝と夜は情報量の多い映像モノよりも、あえて情報量が限られている活字に触れて心を落ち着けるということを習慣にしている。

今までの私は、実は読書というものも習慣にできた試しがない。「読みたい」より「読まなきゃ」という意識で読んでいたのもあったのかもしれないけれど、長続きしない。何か理由をつけては今日は読む時間がないとか言って読まなくなっていく。

それが最近は、この「読書」という習慣によって整う自分がいることが判明したこともあり、ずっと本を読んでいるわけではないけれど、読書をしていることが心地いい自分になれてきたのが、なんだか嬉しい。1日30分程度。1章読み進めるかなくらいの読書量が今のところちょうどいい。

「本が読みたい」という前向きな気持ちと裏腹に、「昨日読んでた本の続きを今別に読みたいわけではない」という私の中のモヤモヤが本を手に取るのをためらわせる。まだ私の中に「一冊の本をきちんと読み終わらせなければいけない」という読書においての執念に近い常識が根強く残っているからなのだろう。

そんな時、あるラジオで「本を同時に何冊も読み進めている。10冊くらいの時もある」と話してたのを耳にして、そんなこともありなのかととても驚いたのを覚えている。それから私も10冊とまではいかないけれど2〜3冊を同時並行して読むことにしたのだ。

朝と夜でも読みたいものは違う。誰のどんな雰囲気の文章に触れたいか、メッセージ性の強いものか読むだけで心落ち着くものなのか。自分が今触れたいと思う本を自分に正直に選んでいくことで、「本を読みたい」という読書欲を潰さずに、楽しく読書を習慣にすることができているというわけだ。

そんな私は読書を学びの時間にするというより、「自分を整える時間」にしていることもあり、あまり学びの要素が多い本は選んでいないように思う。小説か、エッセイか。その辺りを行ったり来たり。

最近とても心癒された本は小川糸さんの「ツバキ文具店」。鎌倉にある文具店で代筆屋をしているポッポちゃんの毎日がとても愛おしくなる本。私も私の日常をこんなふうに感じてみたい。

小川糸さんはご自身のエッセイ本も出されていて、私は小説よりもそちらを先に手に取ったことで小説も読みたくなった。こういう暮らし、好きだなあ。

最近読んでとても面白かったのが、塩谷舞さんの「ここじゃない世界へ行きたかった」。文章がとてもとても面白くて、一文一文に惹き込まれてしまう感じ。塩谷舞さんの生活でのこだわりも日々心の中でに巻き起こる色んな葛藤もあぁわかるなあということが多いのに、それをこうも面白く表現できるのかと圧倒された一冊。

そしてバイブルのように手元に置いているのが石田ゆり子さんの「Lily ー日々のカケラー」。読んだことがある人も多いんじゃないかしら。本当に、彼女の日々のカケラを大切に大切に集めて文字にして詰め込んだような、宝物のように思える本。本の中に出てくるワンちゃんとネコちゃんもとっても癒しになるし、こんな風に生きてみようって思える心温まる1冊。

本を読むということは、何かを学ぶ、勉強するためって思ってきた節がある。読書によって何かを身に付けなければいけないってなんだかずっと思ってきたような気がするけれど、こうして自分が大好きな本を眺めていると、私は何かを学ぼうと思って選んでいるわけではないのがわかる。そこから感じることが何かしらある、心がなんだか動いてしまった。うん、きっとそれだけでいい。

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