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442守備の攻略方法:2023 J1 第9節 アルビレックス新潟×鹿島アントラーズ

福岡戦、鹿島戦とコンパクトな442ブロックに苦しんでいる俺たちの新潟。

福岡も鹿島もゴールに向かって前向きでボールを奪うということを徹底していた。特に中央への横パスだったり大外に追い込んでからのボールホルダーへのアタックだったりでハントすることを徹底してきて慌てふためいた俺たちの新潟。

鹿島の広瀬や仲間や名古は山本雄大主審のファウル判定が緩いと認識したのか序盤からメチャクチャ激しいアタックからのハントを成功させまくっていたし、特に広瀬はガツガツ当たりまくっていた。ガツガツ君。

ファウル判定、視点を変えれば新潟も一緒で鹿島ボランチにボールが入るところを島田が何度もゴールへ前向きにアタックいたし惜しいシーンもいくつかあった。福岡戦も鹿島戦も序盤でサクサクッと奪われる相手ゴールという流れさえ無ければ勝てなかったかもしれないけど負けることも無かったと思う。思う… 思わせてくれ!

442守備を破ることが得意なはずの新潟

2試合連続で442ゾーン守備に苦しめられた俺たちの新潟。

本来442守備崩しが得意なはず新潟だが、その442守備をそのままメタゲームの解答としてぶつけられてしまった俺たちの新潟。門を通せずボールも前に運べずこれは困った俺たちの新潟である。今後もこのやり方で対策してくる対戦相手は増えるに違いない。長谷部監督と福岡が全部悪い。

442守備、サッカーにおけるメタゲーム円環の中心にあるのはいつだって442守備だし442守備こそがサッカーの基本であり本質なのである。

そんな442守備をどうやって攻略すれば良いのかということを新潟の現有戦力から改めて考察してみよう。とりえず鹿島戦のボールロスト分布を置いておく。

右サイドではハーフウェイラインを超えたあたりの大外、左サイドはタッチライン側とペナルティエリア手前で狩られている。中央を閉めてボールを外回りさせて刈り取る鹿島の442守備。

キーパーの低弾道キック

最近はあまり見かけない小島のフィードも有効だとは思うのだが新潟対策は「構えて守る」がセオリーになってくると効果がない。相手を引き込むからこそキーパーからのフィードは活きてくる。

小島と阿部の低弾道キックの質がどんなに高くても相手のラインが上がっていないことには有効打とならない。

コンドゥクシオン

鹿島はどうせ433で来るだろうからデンのコンドゥクシオンでバリバリとラインを割ってウハウハ前進できるぜヒャッハー!と思っていた試合前が恥ずかしい。

こんな感じで1列目を割れると思っていた試合前。

福岡も鹿島も縦横超圧縮するのでそもそも持ち上がるスペースが存在しない。鹿島は本当に福岡のやり方をうまくトレースしたと言わざるを得ない。鹿島はやっぱり442が似合うと思うのです。なんてことしてくれたんだ長谷部監督。

325のファイヤーフォーメーション

アルベル時代に一時期やっていた両サイドバックを上げての325のファイヤーフォーメーション。当時それなりに機能して楽しかった記憶がある。

相手が442守備なら盤面上は5対4の状況が作れるのキーパーからのフィードが一発で収まればというロマンもある。新潟の選手達なら地上で繋いで届けることも可能だろうか。雑に蹴飛ばしても収めてくれるアダイウトンが欲しくなる。

325ファイヤーアタック、前に5人置いてペナルティエリア付近でコンビネーション爆発というのが高確率で発生すれば良いのだがイマイチイメージが湧いてこないというかカウンター被弾で頭を抱える未来がどうしてもチラついてしまう。欧州最新トレンドの最終ライン全員ハイスペック人材センターバックみたいな極端なこともできないだろうし可能性は低いと考える。前線5人+2人のコンビネーションで崩して押し切ってゴール決まったら大興奮なのは間違いないんだけど。

レイオフ

442守備攻略の可能性として考えられる方法、ひとつはレイオフというものがある。

レイオフとは落としのパスと言えばわかりやすいかもしれない。前方にいる選手にボールを当てて直接戻すと落としたボールを受けた選手は前向きにボールを持つことができる。加えて直前に動かしたボールに釣られて守備も動くのでスペースを確保しつつ前向きでボールを持って前進することができるというプレイである。

このレイオフで守備のグリッドを歪ませて中央から切り込んでいくという方法はいかにも新潟っぽくて良いのではないだろうかと思うし、前半5:45にはマイケルが太田に当ててダイレクトで中央のヤンに落とすとピッチ中央で前後左右に十分なスペースを確保した状態でヤンがボールを保持するシーンが生まれていたりする。16:40にはゴール前中央で(ただのディフレクションだけど)谷口が落として涼太郎がシュートという形もあったのだがこういったプレイを試合を通して継続することはできなかった。

がしかし、鹿島のライン間を間延びさせて自分たちの矢印は前向きで守備の矢印は後ろ向きという状況にできているシーンはいくつかあった。19:15のヤン→三戸→ヤンもいい感じに守備を外せていた。これは今後の可能性はありそう。

レイオフと呼ばれるプレイ。前に当ててダイレクトで落とすと守備のラインが下がるのでレシーバーは前向きでボールを持ちつつ前方にスペースを確保することができる。

そんな感じで守備の網に掛からない場所を作って切り崩すというのは新潟の選手なら遂行可能だし有効ではないだろうかと思うし何よりもこのパスワークは非常に美しいのでこの形で崩す新潟というのを見てみたいという願望が大きい。

とはいえレイオフのボールは中央に陣取るヤンに入る前提なのでヤンにボールが入らないと成り立たないし、質の高い偽9番が必要となるシーンも多い。谷口が調子を上げたりネスカウが落ちる動きをスムーズにできるようになったりという条件が付いてしまう。現状として鈴木孝司クオリティがないと実現不可。谷口は昨シーズン問題なくできていたどころか質も高かったので早く復調してほしい。トマト育てながら調子を上げてほしい。

サイドチェンジ

続いてはサイドチェンジ。古より伝わる442守備破壊の定番である。

新潟が行うサイドチェンジはロングフィード一発ではなく地上を転がるボールを用いてボランチ経由逆サイド行きというもの。守備がスライドできない速さで横に繋ぐサイドチェンジ。転がるボールならレシーバーはコントロールしやすいしスピードに乗ったままゴールへ向かうことができる。

素早く細かく確実にボールを繋げる新潟のサイドチェンジ。この試合では見ることができなかった。

今まではこの転がすサイドチェンジが結構うまくいっていたのだが、それを読んで狩りにくる福岡と鹿島がいたりしてトリガーとなるボランチへの横パスを狙ってハントの成功事例が目撃される。442ゾーン守備のセオリーでもあるのだが、センターバックやキーパーへのバックパスも予測して一気に詰めるという対応も欠かさなかった福岡と鹿島。

ということで地上で繋ぐサイドチェンジに拘らずにシンプルにフィードを飛ばすサイドチェンジはどうだろうかというのを考えたりするのだが松橋監督は飛ばすフィードを制限しているような印象が強い。やっぱり確実性の高い選択肢をファーストチョイスにしているんだろうか。

大きなサイドチェンジ、マイケルとデンが高速低弾道という質の高いキックが蹴れるし爆走したい太田はそういうボールを受けてこそ輝くはず。ダニーロ&コミトも輝くと思うし松田にはクソボールハンターとして雑なフィードを華麗にレシーブしてほしい。

守備を片方のサイドに寄せて高速低弾道のフィードでサイドチェンジは442守備を攻略する定番中の定番だったりするが古の戦術すぎて時代遅れと言われるかもしれない。とはいえ新潟の現有戦力を最も活かせる方法でもあると思う。

ということで、サイドチェンジが俺の推しプレイとなる。

高速低弾道で飛んでいく大きなサイドチェンジを華麗にレシーブして突撃するサイドアタッカー陣が見たいのですが今後どのような442攻略を見せてくれるでしょうか。

次節はいよいよアルベル東京との対戦です。待ってたぜェ!!この瞬間をよぉ!!

試合雑感

ゴメス欠場で田上先発。シンプルにエアバトル対策だろうが田上も普通にビルドアップ参加できるのでちょっと強そう。新井は神戸戦で素晴らしいパフォーマンスだったのでこちらにも期待。ビルドアップからの流れでグイグイ中央に顔を出してほしい。谷口にはゴールという形で調子を取り戻してほしいしネスカウも特徴出せるだろうか。

鹿島は433予想で守備も433になるだろうか。433でブロックを組んでくれればデンもマイケルも運べるので前線3枚を割るコンドゥクシオンで爆上げというシーンがたくさん見れることに超期待。マイケルとデンでこのプレイが出るかどうかに注目したい。

岩政アントラーズ、窮地に追い込まれた名門の底力は出してほしくはないのだが新潟はいつも通りにやれば問題ないはず。

正直、負けたらどうしようという不安が頭から離れない。鹿島相手にこんな感情を持つ日が来るとは想像できなかった。

と思っていたが前半終了時に見方を改めざるを得なくなる。なんで屈強&コンパクトな442守備なんですか?

鹿島の442守備が良い。鈴木優磨のゴールはアレレと思ったが垣田ゴールの一連の流れ、ポケットへ裏抜けポンはスタートから鹿島がやっていたので狙い通りだろう。そういう意味では鈴木優磨のゴールもポケットへの裏抜けポンでガタガタな新潟ラインだった。

この鹿島、スカウティングが超優秀ではないだろうか。とにかく守備を整理しようという意図意識が溢れて出ているしそれに応えて安西広瀬仲間名古が新潟のボールの流れを誘って狩まくる。ビルドアップは正直洗練されていないというか諦めてるんだろうけど2点リードがあれば鹿島はこのままでOKである。

鹿島の守備を福岡のパクリと言ってはいけないんだろうが、まぁ442ゾーンの基本で新潟が大外から中央へ横に落とすボールを狩どころに設定して狩まくる。大外に入る前にアタックして奪い切るという意識も強いし、ファウルに寛容な今日のジャッジと噛み合いすぎている。

新潟は大外意識させてハーフスペースに入れるが福岡戦のようにできていないのが停滞している要因で、なぜそうなるのかは色んな要素があるとは思うがSB-SHの関係がスムーズではないというか左サイドが上手くいってない。田上頑張って!

とはいえ、レイオフで縦に揺さぶると中央がガラ空きになるというシーンが序盤でいくつかあったのでそういった形はどうでしょうかという提案はしてみたい。とにかく大外→中央への横パスを狩られすぎ。

そして谷口、全く収まらなくて完全にストッパー。谷口もっと頑張って!

試合終了のホイッスル。

何も良いことが無い試合だった。鹿島の守備と垣田を褒めるしかない。鹿島はここから442で守備からというスタイルを続ければ勝ちも増えてくるのではないだろうか。レネヴァイラー解任からの岩政監督という流れ本当には一体なんだっただろうか。レネヴァイラー解任が本当に謎すぎるし戦術という視点なら相馬監督でも良かったのではないだろうか。

まぁ新潟は本当に何もできなかった。90分間同じことを繰り返して同じ奪われ方をしてという辛い試合。DAZN福田解説員が本当に良い解説で俺の思いを全部代弁してくれた。

岩政アントラーズに完敗というのは個人的にこれ以上ないネガティブな感情が渦巻いているが鹿島の守備が非常に良かったという事実はあるので褒めるしかないs。テクニカルスタッフが優秀だったと思うようにする。有江分析官が優秀だったということにしたい。

非常に辛い試合だった。

「これでわかった!サッカーのしくみ」をコンセプトにアルビレックス新潟の試合雑感を中心に書いています。