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9月1日より『Vibrant』サブスクでリリース

9月15日にトリオのアルバム『Calling』をリリースしますが、去年の『Vibrant』、『Faces』と同様、自主制作でディスクユニオン流通となります。

『Vibrant』以降、自分でコントロールしているので、サブスクリプション・サービスで扱う手続きも全て自分でしています。

『Calling』は9月15日にサブスクも同時リリースにする予定で8月頭から準備していましたが、少し考えることがあって、今回サブスクの同時リリースは見送ることにしました。

どうして見送ったかといいますと、日々の生活の中で〈あまりにも外部化が進んで体験が減っている〉ということをここ最近ずっと考えていまして、今回のアルバムは特に広く知られたいという目的で作ったわけでもないので(また後日その理由は書きます)、同時にサブスクに流す意味を感じられないなと思いました。

古くから応援して下さっている方はご存知ですが、私自身は元々ただのヨーロッパ・ジャズ・マニアです。
レコード店に行って、よくわからない名前のいい感じのジャケやメンバーであたりをつけて、時折店主に内容を尋ねてみたりして、購入して、レコード店の袋に入れてもらい、あの憎き銀色の輸入盤についてるシールをきれいに剥がし(剥がれない)、トレーの爪が割れてたりもして、ディスクをCDプレイヤーに載せて、どんな音楽かワクワクしながら聴く。もしそれが外れでも、売らないで寝かせておく。(後でそれが気に入ったり音楽的にサンプルになるかもしれないから)

私も今はサブスクを利用しており、その利便性は大きく大きく感じておりますが、上記の〈体験〉はゼロです。サブスクだと、全てショートカットしちゃう。でも、中身、音楽そのものには本当に簡単にアクセスできるので、非常にありがたい。

今回のアルバムは、CREOLE閉店のあれこれを踏まえて作った曲があることと、高音質配信ライブで久々にトリオで演奏した後にもう一度トリオでStudio Dedeで演奏する機会を作りたかったことという、リアルな体験ベースのもので、サブスクで流すのって少し矛盾してるかなと思えてきたんです。

ということで、『Calling』はサブスクでリリースしませんが、代わりといってはなんですが、去年の『Vibrant』を9月1日からサブスク解禁にします。


こちらは、2020年の発売時点ではライブ販売用と思ってリリースしており、サブスクに流していませんでした。エンジニアさんと二人きりで黙々と弾いたレコーディングだったので、結果的に独り言を喋っているような雰囲気で、派手に宣伝するものでもないなと思ったからです。


〈外部化〉、〈自分の体験のアウトソーシング〉ということを最近よく考えているのは、私自身がこの1年半で、
使える機会は全てPayPayなど電子マネーで支払いをし、
映像系・音楽系サブスクをフル活用し、
本を置く場所が飽和状態なのでKindleをメインで使用するようになり、
有線からワイヤレスイヤホンに切り替え、
オンラインのカレンダーアプリに移行中、
なんというか、どんどんあらゆることを外部化をするようになってきたからです。

今は出かけない方がいいし、接触機会が少ない方がいいし、と思うと、いろんなガジェットに頼ってしまう。体験を自ら捨てざるを得ない状況というか。

それはそれで便利なんですけど、本来は自分で管理するもの、現実にものとして存在するものを外部化していくことに、薄ら不安はずっと感じています。〈ガジェットが無くなった時に、何も残らない自分になったら嫌だな〉と思いながら使っています。

でも、我々はジャズ・ミュージシャン。練習という、コミュニケーション言語を〈内部化〉する作業を死ぬほどしてきているので、そこまでガジェットに振り回されない変な自信もあったりする。

ややこしい。けど、ただ、外部化への恐れは持っておきたいというか。

そんなことをぼんやり考えていました。

というか、ジャズにおいて譜面やCD自体がすでに外部化されたもの。譜面なんて特にそうですね。外部化することって、本来全くジャズ的じゃないんですよね。付け焼き刃で覚えたものでコミュニケーションできないし。

考えを煮詰めると、お金も外部化の一つだし、私はずっと「お金は幸せ引換券」と思うことにしていて、〈それにお金を使って自分が幸せになれるのなら使おう〉という基準で、買い物を決めているところがあります。それも内部の価値を捨てたくないという思想信条の表れなのかなとも思います。

なんだか話が繋がってるのか繋がってないかよくわからないですが、だから新譜をサブスクで同時に流すのは、今回はやめようと思いました。準備していたのに。まあそのうち1年か2年経ったら考えようかなと思っています。

その代わり、9/1から『Vibrant』を各サブスクで配信開始にしました。

9月1日に、下記のリンクから各サブスクへのリンクが出ますので、ぜひご利用下さい。



ちなみに、ライブ・リスナーの皆さんはご存知ですが、散々ライブで「録音するよ!」と言って演奏していた私の曲「Blue Badis」が、録音したけれど『Calling』から選考漏れしたので、『Calling』アウトテイクをiTunes StoreとOTOTOYでのみ販売にします。こちらは9月15日発売で、1年限定・国内販売限定の配信販売の予定です。サブスクはやりません。






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