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9月5日の覚え書き

今年4月に、コロナ禍一年の状態を書きましたが、そこから半年近く経って、また書いておこうと思い立ち、つらつら書いてみます。


・ライブハウスにお客さん来てるの?

7月末から、お客さんがぐっと減った実感があります。
私自身のライブだけではなくて、行った先のライブハウスのスタッフやミュージシャンと話して、他のライブの状況が否が応でも耳に入るのですが、この1年ですでに減っていたところ、さらに半減という感じじゃないですかね。
今まで意欲的にライブ来て下さっていた方々が随分減って、緊急事態宣言とか以前に、デルタ株になって本当に身の危険を感じて出歩いていないのだなと、危機感のフェーズが7月後半以降、大きく変わったことを実感しています。

ライブハウスが配信と併用するのも、当たり前となりました。
私は自分の方針として、〈自分のYouTube配信は無料配信の投げ銭で、ライブハウスでの配信併用の際は、フルセットの場合は有料、無料投げ銭にする場合は1stセットのみ〉、と決めているのですが、以前より無料配信は少し減ったような気がしています。
前述のように、相当ライブハウスに来るお客様は減っているので、なるべくお店の売り上げの足しになるように配信も併用する方向では考えています。

お店は、存続することが第一だと思っています。
以前も書きましたが、ライブハウスは畑みたいなもので、畑がなければ実(ミュージシャン、音楽ファン)は育たないですから、畑を守らなければいけません。

よく、「飲食店やライブハウスは補償をもらってるんでしょ」と言われますが、その言葉を聞くたびに「飲食店だけを僻まず、全体の補償を求めないといけないのよ」と強く思います。分断に乗っちゃいけない。しかし飲食店の休業補償もいまだに一律の計算なので、業界内でも業界外でも不公平感が募っているように感じます。振り込みも本当に遅いみたいですし。

まあ、こうやって言ってくる方は何か補償が欲しくても無い、不公平を感じざるを得ない状況にあるのだと思いますので、公務員に「不景気でも安定した給料を貰えてずるい」とバッシングするのではなく「公こそが安定して権利を守り、民間もそれを指標にするのが当然」というように持ってかないといけないのと同じように、基本的に助かっている方に、補償がある方に合わせるよう働きかけることの方が大事だと思います。

ちなみに、後述しますがミュージシャン個人への補償は、月次支援金のような一般的なもの以外ありません。


・時短、アルコール無し

時短はもう慣れてしまって、というか慣れ切ってしまって(笑)通常の20時開始で終電で帰る生活に戻れる気がしないのですが、アルコール無しは正直やっぱり変ですよ、変。場の感じが、変。
普通、お酒飲みながら聴いてるじゃないですか。お酒ないんですよ。
「お酒なしで音楽聴くのが無理」と来ない方もいらっしゃいますが、めっちゃわかります。ジャズのライブハウスなんて、お酒出したって誰も喋りませんよ! 黙食?そんなんいつもそうですわ。元々一人で静かに音楽を楽しむ場所ですから、ここの規制はなんだかなあと思っています。
もう相当長い期間、東京ではアルコール無しで営業しています。「飲食店の補償はあるけれど酒屋は補償がない」などと言われますが、ライブハウス自体もアルコールの提供がメインで持っていたようなものなので、アルコール無しだと相当厳しいですよ。


・イベント系

まあ今年も大量にいろんなものがキャンセルになっていますが、辛いのは、これが二周目だということ
例えば5月の高槻ジャズストリートですが、昨年のキャンセルに続き、今年もキャンセルになりました。
1回目は、まだ特殊な環境の入り口なので仕方ないかなと思いましたが、2回目は、1年もあったんだから、政治でこんな以前よりひどいパンデミックは止めれたんじゃないの?また同じことしないといけないの?という気持ち、徒労感が凄まじくてですね、私、ずっと怒って補償を求めないといけないと思っているし、少なくとも嘘をつくような政治は駄目だと声を上げないといけないと思っているのですが、さすがに疲れています。くたびれています。

1回目の時は、一年後は少しはマシになっているだろうと思っていました。
今は、来年もまた同じようなことを繰り返しているんじゃないか、という悪い予測をしてしまいます。

先に少し触れた、ミュージシャン個人への補償というものは、最初から全くありません。そもそも、そんなに文化を大事にする国でもないのであまり期待はしていませんでしたが、最初から事業への助成金という形(文化庁継続支援事業)や仕事の発注(アートにエールを!プロジェクト)という形で、休業の補償ではないのです。
最初から、なんで仕事がなくなった分の補償じゃなくて新規事業で助成金やギャラを貰う形でしかお金を出せないんだろう?と、非常にモヤモヤしておりました。
それに加え、「アートにエールを!で採用されました!」「新曲書き下ろしました!」という、なんというかミュージシャンの屈託の無いSNS告知が非常に多くて、「え、なんで仕事の発注にそこまで乗れるの? 休業の補償じゃないのよ? 今は要請通り仕事を休業しているから、休業の補償が必要でしょ? こんなの政治のすることじゃないよ? 今まで納めた税金を大変な時に戻してもらうのは権利だよ? ちゃんと補償する気がないお上が形だけ仕事を与えてそれで喜んでるって、それってアートなの?」と、かなり疑問を感じていました。
私、以前何かのインタビューで、「私自身も補償は必要だから応募するし動画も撮ったけど、あれはとりあえず乗っておいてお金は貰っておいて(私らの税金よ)、後ろ足で砂かけておいたらよろしいと思っている」と言って、さすがに記事になった時にあまりにもキツい表現だったのでカットしたことがありましたが、カットしなくてもよかったのかな。

文化庁のは、その後「ARTS for the Future!」というイベント支援に切り替わり、アーティスト個人への支援は無くなりました。「イベントに支援することで、アーティストにはトリクルダウンで行き渡ることを期待する」みたいな話でしたが、AFTFでトリクルダウンが私まで降りてきたのは、今まで1件だけでした。もっともっとキャンセルされているんですけどね。

トリクルダウンという言葉、経済関係のニュースでしか知りませんでしたが、実際の話、トリクルダウンってなかなかないよ!(まじで)


・レッスンは普通にしているの?

しています。むしろ少し生徒は増えたかもしれません。
リモートレッスンもしていますが、リモートの方が向いている方もいたりして、選択肢が増えたことは良いことだと思っています。
レッスンは、一人終わるたびにキークリン(ピアノ鍵盤用のクリーナー)で鍵盤を拭いています。最近はキークリンとDAISOのマイクロファイバーのクロスをケースに入れて持ち歩いていまして、いつでも鍵盤をきれいにできるようにしています。DAISOのマイクロファイバーのクロス、めっちゃいいですよ。


・仕事は減っていますか?

演奏は、減らしています。感染するのが怖いですし。
あと、減らしている大きな理由は、今までお世話になったお店にちゃんとお客さんが来てくれることを優先したいので、これまでレギュラーで行っていたお店以外に行く心の余裕がないということです。
同時に、自分の中でお店に優先順位をつけてしまっているのが本当に申し訳なく思っていて、そんな偉そうなことをしている自分が嫌になります。

仕事が減ると、アンサンブルの勘所も少し鈍ってくる実感はあるので、なるべく頭と耳と手はアクティヴでいるよう、週に1回は演奏機会を入れるようにはしています。

ホールでの演奏は、気兼ねなく入れています。会場は広いし、お客様と距離も取れて感染の心配をあまりしなくて良いですし、客席は半減ですが、飲食もないですし、ライブハウスよりはお客様もリスクを感じず来て下さっている様子です。


つらつらと書いてきましたが、一つ言えるのは、去年より今年の方が段違いに大変です。わかっていたことではありますが。

私自身は、演奏一本ではなく、レッスンもしているし、執筆もあるし、ライブ配信も自分でできるし、仕事は比較的分散していて、今の状況にも対応できている方だと思います。
でも、皆がそれをできるわけではありません。
大変な人も、心が疲れている人も沢山います。

私も意外と心が疲れていたみたいで、NAMIMONOGATARIの映像が流れてきた時に、結構泣いてしまいました。
その前に、ものすごく気を遣って関西に帰って、お客様に挨拶もせず自主隔離して、サインのカードなど事前に用意して、本当に気を遣ってホールで2公演やって、神経を使って本当にくたびれたんですよ。その後にあの映像で、「ああ、これで音楽イベント全般に向けられる目が厳しくなるなあ、今までの努力とか悔しい思いとか何だったんだろう」と虚しくなって、ちょっと泣いて発散しました。(泣いたらスッキリするし)

もう、デルタ株はロシアンルーレットみたいなもんですよね。ミュージシャンもどんどんかかっているし、神経質に対策していた人でも関係なくかかっているから、かかった人は本当に不運なだけだったと思います。
私は幸いワクチンは8月に接種を終えることができましたが、多くのミュージシャンはまだまだです。

半年後どのような景色になっているのか全く想像できませんが、オリパラの終わった9月5日の現状を書き留めておこうと思い、書きました。


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