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永井優香さんインタビュー(WASEDA ON ICE/全日本後のこと)

3月13日(土)に開催されるWASEDA ON ICE。
当初はお客さんも入ったリンクでの開催を考えていたけれど、緊急事態宣言の延長により、無観客での開催となったそうです。

当日は、17時半からYouTubeでライブ配信も予定されています。
URLはこちら。
https://youtu.be/q0BigVL30ak

嬉しい限りです。

そこで、早稲田大学スケート部フィギュア部門の主将である永井優香さんに、WASEDA ON ICEのこと、全日本選手権後のことなどについてうかがいました。(オンラインでのインタビューです)。

(以下のツイッター画像で、スケジュールが確認できます。)


■ WASEDA ON ICE について

―WASEDA ON ICE、とても楽しみです! どんな経緯で開催することになったのでしょうか。

4月、コロナでみんなが会えない時期にオンラインミーティングやってみようと、顔合わせをしたんですね。

そのとき3年生の部員が、「卒業生の引退の場が早稲田にはないし、引退時期もばらばらなので、4年生をちゃんと送り出したり、お礼を伝えたりする場を作ったらどうか」と言ってくれました。

そこで、「WASEDA ON ICE、やっちゃう?」みたいなノリで、9月くらいからリンクの貸切を抑える、みたいなところから始まりました。

―当日のスケジュールを見たら、個人のプログラム演技だけでなく、グループナンバーも充実しているようですよね。

私もこんな感じになるとは思っていなかったんです。
みんなの夢がふくらんでいって、こういう形になりました。
うちの大学は、「みんなが出る」ということに重きを置いているし、楽しんでいただければいいなと思って、グループナンバーとかも予定しています。

―コロナ禍ですが、群舞などはどう練習しましたか?

グループナンバーについては、この間の部練(月1回設定)は丸々その練習に当てました。
引退する4年生のものは、パート分けしてつくっています。
スペシャルタイムは、正直どうなるかわからないですが、お楽しみに(笑)。
こうしたイベントは、スケート部としては初の試みですし。
こんなに部員が多いのも初めてなんです、史上最多です。

―今年度の部員は何人?

17人です。
3級から国際レベルまで。
大学入学してから始めた子もいるのですが、ジャンプもできるようになって、めちゃくちゃうまくなっています。

―YouTubeで配信もされますよね。

福生映像教育研究所さんにお願いすることになりました。
主務が福生さんとやりとりしてくれて。
みんな頑張っているのですが、とくに主務の子がすごくて、たとえばパンフレットやオープニングも、大学の放送研究会のような外部と相談してくれたので、いいものができあがったのではないかな、と思っています。

―すべてを、部員で作り上げているんですね。

そうですね。
パンフレットのコンテンツは、部員で案を出し合ったりしました。
まだ中身まで見られていないけど、いい感じになっているみたいです。

―パンフレットは1400円でネット販売しましたよね。
うち、送料が400円なので、本体は1000円設定。
リンク代を賄えそうですか?

予想以上にたくさん、パンフレットのお申込みをいただいたので、リンク代も賄えて、公演全体で赤字が出ないような形になりそうです。

―それは素晴らしい! 大学生のスケート披露の場を、自分たちで作れるというのは、今後の学生たちの光にもなりますね。

ありがとうございます!

■ 全日本後、スケート人生について

―さて、永井さん自身のことですけど、卒論や単位は、問題なく、OKでしたか?

はい、多分大丈夫でした。

―よかった、おめでとうございます。無事に卒業ですね。
12月の全日本選手権が最後の大会になりましたが、その後は、どのくらい氷に乗りました?

全日本のあと1週間ちょっと休んだけど、その後は週4日くらい滑っていました。
朝練がなくなったので、健康的になりました(笑)。

―え? そうなの?

昼間に眠くなることもなくなったので。
2月の末でクラブ(西武東伏見フィギュアスケートクラブ)も退会したので、3月からリンク難民になってしまいました。
今は、(緊急事態宣言中のため)一般営業もないので、東伏見での他の大学の貸切に混ぜてもらったりして、ゆるく週3くらい、1時間だけ、滑らせてもらっています。

朝昼晩と滑っていた人がこういう状況になると、かなり不安だし、技術もかなり落ちちゃってると思うんです。
スケート、難しいんですよー(笑)。
今日の練習なんて、目が回って、次の動作に行けなかったんです。

―そういうものなんですね。

氷に乗らない日に10キロくらい走ったこともあって、「(氷に乗っていない日があっても)いけるでしょ」って今日滑ってみたんですけど、氷の上はわけが違っていました。
基礎体力も大事だけど、スケートは氷の上でやらないとだめだなと改めて思いましたね(笑)。

だから実は、WASEDA ON ICE もちょっと怖いんですけど、でもみんなで一生懸命作り上げてきたものを皆さんに見ていただくというのは楽しみです。
今の部員とかグループナンバー、パンフレットとかを見ていただくいい機会なので。

―2月いっぱいでクラブを退会したとのことですが、その日はどうでしたか?(少し上に掲載した、縦写真は、クラブ退会日に撮影したそうです。)

小学6年生のときから11年間、東伏見のリンクにお世話になったのですが、当日まで実感がわいていなかったんですね。

でも、練習の後に、みんなから色紙をもらったり、写真を撮ったりしているうちにちょっと実感がわいてきて、さらに松原星(あかり)ちゃんがすごく泣いていて。

あかりんは2歳下なんですけど、本当に11年間ずっと一緒に練習してきて、お互いいろいろ見てきたのもあったんです。
あまり泣きそうもないあかりんが、突然わーって泣き出して、それを見たら泣かされてしまって。
今こうやってお話していても、ちょっとぐっときちゃうんですけど、それは印象的でしたね。

―あかりさんも「優香ちゃんと最後だな」ってずっと思っていたのかもしれないですよね。

そうですね。
送り出す方が思うことってあるのかもしれないですよね。
私も、今まで何人も先輩を送り出してきたけど、送り出す方が寂しかったりするのかな。
だから、いざ自分が送り出される立場になってみると、実感がわかないほうが大きくて。
ただ、みんなと練習するのが最後だと思ったらすごく寂しくて。
不思議な気持ちでした。

―同じリンクの、ほかの引退生たちは?

大矢里佳ちゃんは数日前に地元に帰ったので、2月27日に一緒に最後を迎えたのは、法政の小林建斗くんでした。
こばけんも、泣いていました。私より泣いてましたね(笑)。

―そうやって1つひとつ、歩んでいるんですね。
最後の大会だった全日本後からこれまで、どんなことを感じてきたのか、改めて聞いてもいいですか?

スケートを通じてたくさんの方に支えていただいたな、という温かい気持ちをとても感じています。

その一方で、もう演技のことや演技の時の自分の気持ちは思い出したくないので、あの試合はなかったことにしようと今は思っちゃっていますね。
最後は自分のなかで満足いくようなものではなかったけど、長いスケート人生を振り返ったら、いろいろな経験をさせていただけて幸せだったな、と思っています。
素敵な思い出が、たくさんあります。

―そうなんですね。スケートを通して、どんなことを学びましたか?

本当にいろいろあります。
たとえば、失敗してもそこが別に終わりじゃなくて、それを次に生かしていく、人生は続いていくんだよということ。
それから、支えてもらうことが本当に多かったので、心から人に感謝するという気持ちを芽生えさせてもらったな、とか。
継続することの大切さも、ですね。

人っていろいろなことを経験するなかで、自分が思ってもみなかったことを感じることがあるから……なんて言うんだろう、自分の周りの人たちもいろんな思いを抱えながらも、きっと……なんて言うんだろう……

―傍から見たらわからないしわざわざ口にしたりしないけど、みんなそれぞれに思ったり考えたりしていることがあるから、周りの人を大事にしたいとか、言葉だけがその人のすべてではない、みたいなこと?

そうですね。
人それぞれに背景があって、現在の言動につなっがっているのだろうなって。
だから、表面だけじゃなくて、人の考えていることの裏側までなるべく想像を巡らせて、相手を受け入れる努力をしたり、やさしくしたりしたいなと思いました。

―「人は、自分が思ってもみなかったことを感じる」というのは、永井さん自身の体験からそう思うようになったのでしょうか。

そうですね。
たとえば、私は突然ジャンプが跳べなくなっちゃうときがあったけど、それは傍から見たら意味不明なことだったと思うし、自分でも意味不明だったんですけど、でも、実際にそういうことがあったんですよね。

なので、こういうこともあるんだなと思ったんです。
一生懸命やりたいのにできないみたいな自分がいて、でも周りにはやる気のない奴だなって思われたかもしれないし。
表面から見えていることとその人自身が思っていることは全然違うのだろうな、という感じです。

―よくわかりました。
 4月からは社会人になって、これまでとは全然違う世界に進まれます。
 ここまで心身ともに長い時間をかけてきたスケート人生とは、永井さんにとってどんなものだったと感じていますか?

私を形作ったものだと思っています。
スケートを通してたくさんの人に出会い、大事なことを学び、そういういろいろな経験を大きな軸として、価値観が形成されていきました。

なにかに一生懸命取り組んだら、きっと、いろいろな人に出会ったりいろいろなことを知ったり考えたりすると思うんですけど、私にとってそれはスケートだったんだな、と思っています。

(上は、永井さんのこれまでのほぼすべての衣装です。左上の水色ものが最初のプログラムの衣装。どれもすごくかわいいです! これらの撮影後にさらに2着あることに気づき、全30着だったことが判明)

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私が初めて永井さんにインタビューしたのは、2014年Jr.GPファイナルのミックスゾーンでした。
その時は、一緒に出場していた、樋口新葉選手(当時:中2)と中塩美悠さん(当時:高3)と3人の楽しい鼎談のような形で。
永井さんは、高校1年生でした。

それからは試合で会ったり、年に1回くらい長くインタビューしたり、ただただお話したり、という時間を過ごし、気づいたら永井さんは大学卒業間近になっていました。

いろいろな演技を見てきました。
感激に胸詰まったことも、苦しそうで見ているのがつらかったこともありました。
そんなすべてを含めて、私にとって永井さんは、忘れがたいスケーターであり人です。

そんなこともあり、WASEDA ON ICE をとても楽しみにしています。(始まってほしくないような気持ちも少しあったり……)

そして、永井さんの演技はもちろんのこと、早稲田大学スケート部フィギュア部門の部員たちの演技も、とても楽しみなのです!

私の大学生時代、同じゼミにフィギュア部員がいました。
彼女も大学に入ってからスケートを始めた(たしか小さいころ、ちょこちょこリンクに行っていたと聞いた記憶あり)のですが、大学時代は東大和のリンクに通い、大会にも出ていたことを覚えています。
そうした、自分の楽しみとか成長のためにスケートを続けてきた学生スケーターの滑りを見るのも、大きな楽しみのひとつです。

3月13日(土)17時30分から2時間くらいの、WASEDA ON ICE。
楽しみです!

https://youtu.be/q0BigVL30ak

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