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ひときわ音楽祭2024出演者インタビューVol.3『テクニカルフィンガーズ』

「ひときわマガジン」は、ボーダレスな無料野外音楽フェス「ひときわ音楽祭」が運営する、ちがいに耳を傾けるWEBマガジン。ひときわ音楽祭の出演者や、その他多様な人々の"ひときわの魅力"に注目し、会いに行きたくなる発信をしていきます!

今日インタビューするのは、三味線&ギターデュオのテクニカルフィンガーズさん。北海道にいらっしゃるお二人にオンラインでインタビューさせていただきました。Vol.2に引き続き、インタビュアーは、フェスを企画する人と音色でインターンをしています井上七香(いのうえななか)です。

テクニカルフィンガーズ
生まれつき視覚に障がいがある ”ギターのてっちゃん” と、心を合わせるため瞳を閉じて演奏する ”三味線のしんちゃん” による異色デュオ。 ギターは、まるでパーカッションかのようなビートを刻み、三味線はロック調のど迫力な音色を奏で、唯一無二の情熱的でテクニカルな演奏をお届けします。 楽器本来の奏法にとらわれない自由な掛け合いをぜひお楽しみください。
https://techfin-japan.com/


ーーー(七香)今日はよろしくお願いします。まずは、音楽をはじめられたきっかけを教えてください!

しんちゃん🪕:10代の頃からボーカルやったりギターやったりバンド活動をずっとしてたんです。26歳の時に新しい楽器、せっかくなら日本の伝統楽器に挑戦したいと思って。三味線だったらギターと似ていたので、もしかしたら弾けるようになるかもしれないとお稽古に通って、それから津軽三味線の魅力に惹かれいきました。

ーーーてっちゃんはいかがですか?

てっちゃん🎸: 元々小さいときに、ピアノをやっていたんです。ギターは父親が弾いていて。ゆくゆくはやってみたいと思っていたんですけど、教えてくれる方がいなかったんですね。
中2で学生寮に入った時に、ギターの上手な先生がいたんです。その先生に教えてもらったことをきっかけに、ピアノを辞めて、ギターをはじめました。 当時は一人であちこちで演奏していたんですけど、誰かと演奏したいなと思っていて。その時に、共通の知り合いに紹介してもらって、しんちゃんと一緒に演奏する運びとなりました。

ーーー目で見ずに、どうやって演奏してるんですか?

てっちゃん🎸:最初指の抑え方がわからないので、先生に手をとってもらって教わったんですけど、その時から「指の形」を覚えて演奏してるんです。「こんな指の形にすると、こんな音が出るんだ!」って、常に自分で研究していくのが楽しかったですね。

僕の見え方は、左目は光は見える感じなので、人の顔とか色とかは見えないんですけど、光を感じることができます。 朝昼夜とか、部屋の明るいくらいははわかります。

しんちゃん🪕:外を一人で歩いていて、人が近づいてきたというかげは感じることができるんだよね。だからちょっと人とぶつかりにくいのかな?

てっちゃん🎸:そうですね。たまにぶつかることもありますけどね。

ーーーどうしてギターと三味線をコラボさせることになったのですか?

しんちゃん🪕:共通の知人に「ギターが上手なあんまマッサージ師さんがいるので、ぜひ会ってみないか」って言われたんですよ。
急に連絡するのも警戒されるかなって思って、マッサージを受けに行きました(笑)その時に2人でずっと音楽の話をしていて、すごく波長が合うから「スタジオに行こう」ってなったんですよ。1週間後にはスタジオに入ってましたね。
「盲目のギターリストなんだったら、めちゃめちゃうまいんじゃないか」って思って期待してたら、てっちゃんが演奏したのは全部フォークソングだったんです。 もっとおしゃれなカフェのBGMに合うような音楽だと思っていたんですけど、全部フォークソングで、イメージと違ったんです(笑)

今度はてっちゃんが「三味線の生の音聞いたことない」っていうから、吉田兄弟さんのカバーを演奏したんです。 その時に、「三味線の音わかったよ」となって、なんとセッションで、ギターのボディを叩き出したんですよ。
もっとストロクとかでセッションしてくると思ったんですけど、 太鼓のように叩いたんです。
その時に、ギターと三味線って意外と合うんだなと感じて。てっちゃんの絶対音感とリズム感の良さを感じて、これは一人で演奏していたら勿体無いからいっしょに組もうということで、それからずっと続いてます。

ーーー私もYouTubeで拝見した時に、なんかめっちゃ新しい音楽だな思いました。

しんちゃん🪕:てっちゃんは目が見えない分、耳が良くて絶対音感もあるんです。 流れてるBGMもすぐギターで弾けるんです。僕には絶対音感とかはないんですけど。
初めて一緒に演奏した時にてっちゃんの音感が凄すぎて、一緒に演奏してるのになんか一人でおいて行かれている感じになったんですよ。

てっちゃん🎸:うんうん。

しんちゃん🪕:どうやったら僕たちの演奏を一つにできるのかなって考えた時に、てっちゃんの世界に寄り添ってみようって思って、僕も目を閉じて演奏しました。心で、音だけを頼りに二人の音を奏でるってことをしはじめた時に、ちょっと音はずれることはあるんですけど、以前よりも遥にタイミングがあうようになって、その時にやっと僕たちらしい音楽が出来上がったというか。

てっちゃん🎸:最初の頃は、これでいいのかなって、お互いに探り合いながら弾いてる感があって。しんちゃんに目を閉じていただいて、お互いに音だけで語り合ってみた時に、すごく三味線の綺麗な音がパンって響いていて。自分もこの音出してみたらどうなんだろうっていうところで、お互いの音とか表現を掴めたのたその時かなって思います。

ーーーライブではどんなことをかんがえていらっしゃるんですか?

てっちゃん🎸: いろんなところで演奏させてもらってますが、海外での演奏を通して、自分らの楽しさというか、一方的に聞いていただくばっかりではなくて、そこにいらっしゃったお客様と一緒に楽しめる音楽、そんな音楽をやるのもいいねって、変化していってますね。

しんちゃん🪕: 演奏会に呼ばれた時にみなさんの歌声も絡めたり、パーカッションも持ってるので、みんなが打楽器演奏者になってもらって、そのみなさんのリズムに合わせてやったりとか、一緒に楽しむということを心がけていますね。

しんちゃん🪕:2017年にアフリカに行きまして、スラム街とか、孤児院とかでたくさん演奏させてもらった時に、 子どもたちに勇気をもらったんですね。1日1食食べれるか食べれないかというお子様が多かったのと、 エイズで親御さんを亡くされたお子さんたちもいらっしゃる中で演奏させていただいたんですけど、音楽を楽しんでくれてる姿に、すごく力をもらいました。日本に帰ってきてからも、アフリカのことを忘れたくなくて、 アフリカの衣装を着て、曲の中にケニアのスワヒリ語を交えたりして、掛け声にしたりして演奏しているのが、僕たちの音楽です。

ーーーひときわ音楽祭でも、そのような思いを聞けるのも、楽しみだなと思いました。音楽って二人にとってどんな存在ですか?

てっちゃん🎸:音楽って僕としては、人生のBGMみたいな、そんな存在ですね。 すごい辛い時に暗い曲聞くこと多いし、生まれてから死ぬまでのドラマだとしたら、 BGMみたいな感じで、その時の気分に合わせて、聞いたりするので。 また、いろんな方との交流を通して、仲を深めるための手段といいますか、そんな存在ですね。

しんちゃん🪕: 音楽の苦手意識を持っている人がたくさんいるんですけど、音楽の楽しさを知ってもらいたいし、一緒に音楽を作っていく場を作っていきたいです。自分だけが楽しいんじゃなくて、みんなが楽しい場を作っていきたいと思いましたね。
演奏を聞いて、楽器始めたいなと思ってくれる人も増えたので、まずはリズムを奏でるところから一緒に音楽を楽しみたい、楽しむべきものなのかなって、僕は思いますね。

ーーーお互いに、てっちゃんの音ってこんな音、とか、しんちゃんの音ってこんな音とかお互いのちがいをどういう風に捉えていますか?

てっちゃん🎸:メッセージというか、曲の思いをお伝えして、演奏するのが僕たちのスタイルなんですけど、真っ直ぐに三味線ですごく真っ直ぐにみなさんにお伝えしようという音の響きですね。  
やさしいバラードもあるけど、感情といいますか、そういうものを純粋にお届けするっていう感じの音に聞こえますね。

しんちゃん🪕:僕から見ると、てっちゃんは、自由に音楽をただ楽しんでくれますね。  優しさもあるし、強さもあるし。本当に音楽好きなんだろうなっていうのが一緒に演奏してすごく伝わってきます。

ーーー最後に、ひときわ音楽祭でどんなことを伝えたいかということをお聞きしでもいいですか?

しんちゃん🪕:僕的には、ほぼ北海道でしか、演奏をしたことがないんで、大阪ははじめてなんです。北海道以外の方たちが僕たちの音楽を聞いて、どんな反応をしてくれるのかは知らないので、それを感じてみたいですね。

目が見えないてっちゃんと目が見える僕が演奏しているけど、音楽の中では、僕たちは平等に奏でる音楽を届けているので。そういうところは、ひときわ音楽祭にとても共通している考え方だと思います。

演奏している中で、僕たちの演奏を見て、ちょっと勇気づけられるとかパワーを届けたいですね。三味線の力強い音で光を届けられたらと思います。

てっちゃん🎸:いろんな出演者の方がいらっしゃると思うんですけど、こういう演奏をされる方がいらっしゃるんだなというのを通して、今後の音楽の勉強をさせていただきたいですね。

自分達の音楽に関して、見える見えないに関係なく音楽ってこんなに楽しいものなんだよと、僕たちの演奏を通して、何か感じていただけるものがあったらなぁと思っています。


いかがでしたでしょうか?
10年以上一緒に活動されているお二人は、本物の兄弟のようで、兄弟愛のようなものが感じられました。

ぜひ当日、演奏を聴けるのを楽しみにしています!
ありがとうございました!!

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