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店舗とデジタルを融合する!?新しいお買い物体験が作りだす「新しい総合」とは何か?〜DX事例41_イオンリテール株式会社〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は流通・小売業からです。全国にスーパーマーケットを展開している「イオンリテール株式会社」の店舗とネットを融合したDX施策の紹介です。


店舗とネットを融合するとは何か?イオンリテールの施策

「店舗とネットを融合する」という単語だとO2Oという言葉があったりします。O2OとはOnline to Offlineの略。ネットでの広告や施策により、店舗への来店を促す施策のことを指します。
ただし、今回のイオンリテールは「店舗に来てもらう」というよりは、「店舗の使い勝手を良くする(=UXの向上)」や「来店以外の方法で収益を上げる」という施策が目立ちます。そんなイオンリテールの施策をいくつかご紹介します。


①自分のスマホアプリで”レジに並ばずお買い物”「どこでもレジ レジゴー」
アマゾンGOや以前の記事「トライアルのスマートショッピングカート」と似たような施策となります。レジゴーは、自分のスマホにインストールしたアプリ「レジゴー」か、店内で貸し出される専用スマホを使うことで、お買い物中の商品のバーコードをスキャンすることでレジ待ち時間なしで買い物ができます。

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PRTimes「イオンリテールは3月より、“レジに並ばない”お買物スタイル「レジゴー」本格展開」より抜粋

商品をショッピングカートに入れる際に、商品バーコードをスキャンすることで現在の商品一覧や、合計金額を確認できます。商品を入れ終わったら、専用レジに行くとスマホから商品データが転送され、決済ができるという流れになります。

2021年4月時点でイオンリテール、イオン東北の店舗を含めて計35店舗に展開しており、「子供が商品をスキャンするのが楽しんでいる」などの理由から反応も上々で、順次対応店舗数を増やしているとのことです。


②AIカメラが見込み客かを判定して店員に通知
本格的な展開はこれからのようですが、こちらも面白い取り組みです。商品コーナーにAIカメラを設置し、商品を眺める顧客が「購入する意思がありそうか」どうかを判定し、見込み客の場合店員に接客依頼の通知を飛ばします。ベビーカーやランドセルなど高価格帯の商品は購入頻度が大きくはないため、販売コーナーに店員を常駐するのが困難な場合もありますが、この仕組みにより購入意思が高そうな顧客への効率的な接客が可能になります。

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流通ニュース「イオンリテール/21年度「AIカメラ」80店「AIカカク」は全店導入へ」より抜粋

2020年に行った実証実験でも、ベビーカー・チャイルドシート売り場での販売が2.3倍にもなったそうで、2021年度内にAIカメラ導入店を80店舗以上増やす計画だそうです。


③クラシルと連携。クラシルのレシピからネットスーパーが材料配達
こちらも面白い取り組みです。レシピ動画サービス「クラシル」を運営する「dely」と「イオンネットスーパー」が連携しました。「クラシル」のレシピで紹介されている材料をタップすると、イオンネットスーパーの該当する食材が表示され、その場で購入が可能となっています。

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PRTimes「国内No.1のレシピ動画「クラシル」がネットスーパー機能を搭載 イオンリテールと連携し、レシピ検索から買い物までをシームレスに実現」より抜粋

昨今はネットスーパーの利用頻度も全体的に増えていますが、作りたい献立から材料の表示、注文、配送までシームレスにサポートして、「おうちごはん」体験の向上を図る狙いがあります。


DXと経営戦略の関連について

イオンリテールだけではなく、親会社であるイオン株式会社の情報も交えてお伝えしていきます。

イオンリテールは、2021年の3月の組織変更でDX推進を目的とする「デジタル・営業推進部」や「食品デジタルチーム」を新設しています。他にも「衣料デジタルチーム」や「住居余暇デジタルチーム」「ネットスーパー推進部」など、とにかくデジタルという単語が目立ちます。

それはイオンリテールのトップメッセージや、イオン株式会社の決算説明会資料にも頻繁に登場しています。イオン株式会社の決算説明では、成長戦略の一発目に「デジタルシフトの加速と進化」を掲げており、データやAIを活用して既存オペレーションを刷新したり、新たな収益モデルを創造したいとあります。

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イオン株式会社「2020年度 本決算」より抜粋

また、イオンリテールのトップメッセージにも「店舗とデジタルの融合」をキーワードが大きく登場しています。イオンリテールはネットスーパーや店舗など、店舗やデジタルの良いところを組合せながら顧客の購入体験を高めていくことで、ワンストップショッピングである「新しい総合」を作るための変革を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
イオンリテールはこれ以外にも「店舗とデジタルの融合」施策を積極的に進めており、2023年度には次世代型ネットスーパーを作るそうです。この次世代型ネットスーパーはイギリス Ocado Solutions 社と提供し、最新のAIとロボットを駆使した大型自動倉庫であり、幅広い品揃えの商品や新鮮な食料品を24時間、いつでも注文することが可能なスーパーだそうです。
自動運転技術の普及で配送も24時間できるようになったら、いつでも注文して商品を受け取ることができるようになるかもしれませんね。

今回の事例は顧客の購入体験を向上するために、店舗とデジタルを融合した事例をご紹介しました。昨今は外出を控える人も多く、ネットやリモートでの施策に目が行きがちですが、逆説的に「外出しづらい分、外出や店舗での買い物体験は価値があるもの」としてアピールできるようになったのでは無いかと思います。
皆さんの会社も、店舗とデジタルを融合することで顧客体験を向上できるよう施策取れないか探してみてくださいね♪
タナショー


参考にさせていただいた情報
イオンリテール株式会社HP
https://www.aeonretail.jp/company/
イオン株式会社HP
https://www.aeon.info
イオン株式会社「2020年度 本決算」
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8267/ir_material_for_fiscal_ym4/98545/00.pdf
リテールガイド「イオンリテール「レジゴー」とは?使い方から仕組み、導入店舗まで徹底解説」
https://retailguide.tokubai.co.jp/store/4940/
PRTimes「国内No.1のレシピ動画「クラシル」がネットスーパー機能を搭載 イオンリテールと連携し、レシピ検索から買い物までをシームレスに実現」より抜粋https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000148.000019382.html
流通ニュース「イオンリテール/21年度「AIカメラ」80店「AIカカク」は全店導入へ」
https://www.ryutsuu.biz/it/n051315.html
流通ニュース「イオンリテール/DX推進「デジタル・営業推進部」「食品デジタルチーム」新設」
https://www.ryutsuu.biz/strategy/n031223.html
LNEWS「イオン/千葉県誉田町に初の顧客フルフィルメントセンター起工」
https://www.lnews.jp/2021/04/n0423305.html

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