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[DX事例87]百貨店のおもてなしサービスをオンライン化_株式会社三越伊勢丹ホールディングス

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は百貨店業界からです。代表となる三越伊勢丹をはじめとして、各地方の百貨店の運営会社を所有している株式会社三越伊勢丹ホールディングスの接客オンライン化DXです。


デジタル活用で店舗と人を融合する!三越伊勢丹のDX事例

百貨店は「おもてなし」という言葉に代表されるように、対面での接客サービスに強みがありますね。そんな百貨店はここ数年、コロナ禍の影響で苦境に立たされていたことからオンライン接客などのデジタル活用を積極的に進めています。

今回、三越伊勢丹では店舗と人をシームレスに繋ぐというキーワードでデジタル活用を行っていますので紹介していきます。


①3D計測器で自分に合った靴を選べる「YourFIT365」「YourFIT365 Trial」

YourFIT365とは、3D計測器を使って顧客の足の形に合う靴を探すサービスとなります。対象店舗は伊勢丹新宿店や日本橋三越本店など、現在5店舗で展開されています。
一般的に靴のサイズ選びは足の長さのみで選ぶものですが、国内や海外のメーカーで比べると靴全体の幅や大きさも異なります。意外と自分の足にフィットする靴は試着してみないとわからない状態です。

YourFIT365では計測した顧客の足形データを可視化、各メーカーの靴の木型情報とをマッチングさせ、顧客の足に合った靴を店頭ストックの中からレコメンドすることができます。レコメンドされた商品をもとに専門知識を持ったスタイリストが接客することで、顧客にとってスムーズかつ最適な靴選びの提案が可能となっています。

MITSUKOSHI ISETAN SHOPPING 「YourFIT365」より抜粋


また、三越伊勢丹ではコロナ禍の靴選びの新サービスとして、YourFIT365を拡張したオンライン完結サービス「YourFIT365 Trial」も用意しています。

YourFIT365 Trialは自宅でも靴選びができるサービスです。モノサシ、ヒモ、ペンを用意し、足長や足囲を測るという簡単なセルフ採寸をした数値を入力するだけで、自分にあったサイズの靴を選ぶことができます。気に入った靴があれば三越伊勢丹オンラインサイトでそのまま購入することが可能です。

PRTIMES「コロナ禍で生まれた新サービス!3D計測サービス「YourFIT365」と「Match Palette」からオンライン完結のサービスが登場!」より抜粋

婦人靴は数百から数千を超える種類があり靴選びも大変ですが、YourFIT365 とYourFIT365 Trialを利用することで「コロナ禍での外出を減らしたい」ニーズや、「気軽に自宅で自分に合う靴のサイズを知りたい」というニーズに応えつつ、最適な靴と出会う顧客体験を提供することができます。


②自宅にいながら百貨店のコンシェルジュサービスを提供「MOO:D MARK by ISETAN」

百貨店のお家芸といえばこのコンシェルジュサービスですね。百貨店内の商品に精通したエキスパートが顧客の悩みや要望に対して、最適な商品を提案・サポートしてくれるサービスです。
昨今では有料のコンシェルジュサービスも展開されており、有料ではあるものの全館を横断した「おもてなし」サービスを受けることができるのも大きなメリットとなります。

三越伊勢丹ではこのコンシェルジュサービスをオンラインでも利用できるようにしたいということで、ショッピングサイト「MOO:D MARK by ISETAN」でコンシェルジュサービス機能を用意しています。

商品サイト上には「ギフトコンシェルジュに相談」というボタンが用意されており、相手やイメージなどの簡単な質問に答えることで、プレゼントを贈りたい相手にピッタリなギフトを提案してくれます。

MOO:D MARK by ISETAN「コンシェルジュサービス」より抜粋


MOO:D MARK by ISETANでは「ソーシャルギフト」という機能もあります。この機能を使えば、プレゼントを贈りたい相手の住所を知らなくてもギフトを贈れることが可能になっています。

使い方としては、プレゼントを購入すると受け取りURLが発行されますので、贈り相手にSNSで渡すことで完了です。贈り相手がそのURLを開くと、住所と日付指定を入力することで後日品物が届くという流れになります。

MOO:D MARK by ISETAN「ソーシャルギフト」より抜粋

三越伊勢丹はプレゼントギフトの品揃えや店員によるギフト提案力に強みがありますが、オンライン上ではその強みも活かしきれない状態でした。
百貨店では従来はお中元やお歳暮などのフォーマルなギフトの比率が高かったそうです。三越伊勢丹は今後、フォーマル以外のギフト「カジュアルギフト」の比率も高めながら、オンラインでもお客様に価値ある商品提案を続けていきたいとのことです。


経営戦略とDXの関連性について

三越伊勢丹はこれまでにDXの取り組みとして、主に4つの取り組みを行っていました。

株式会社三越伊勢丹ホールディングス「統合レポート2021」より抜粋

オンラインショッピング体験:オンラインギフト等
接客のデジタル化:リモートでの接客対応
営業支援のデジタル化:顧客カルテやAI分析
オンライン訴求:アプリや各種SNSを通した広告、通知

もともとこれらは三越伊勢丹の重点戦略である「高感度上質戦略」の一環として行われたものです。高感度上質戦略とは三越伊勢丹が行った従来のマスマーケティングではなく、一人ひとりに合わせた「個」のマーケティング戦略を表したものです。
これらの4つのDXの取り組みは一つ一つが単体/単独での取り組みでしたが、三越伊勢丹ははこれらの機能や仕組みを融合させることで、もう一段上の顧客サービスを作り出そうとしています。

コロナ禍の影響もありオンライン売上は着実に上昇傾向にあることから、デジタル活用で三越伊勢丹の上質なサービスをオンライン化していくこと。デジタルで店舗と人を融合し、店と販売員そして顧客を”シームレス”に繋ぐことで、最高の顧客体験を創り出そうとしています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はリアル店舗特有のおもてなしサービスをオンライン化するためのIT活用でした。
リアル店舗や人でしかなしえない「おもてなし」のサービスがありますが、これはまさに一人ひとりに合わせたサービスと言えます。この一人ひとりに合わせたサービスをオンラインで提供するには、やはりIT活用が必須です。
自社のリアル店舗でのサービスの強みはなにか、そしてその強みはオンライン化することができないか。それらをデジタル活用で実現することができないか検討してみるのもおすすめです♪
タナショー


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参考にさせていただいた情報
株式会社三越伊勢丹ホールディングス「統合レポート2021」
https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/sustainability-cms-imhds-s3/pdf/imhds_report2021_2_jp_A3.pdf
MOO:D MARK by ISETAN「コンシェルジュサービス」
https://moodmark.mistore.jp
MITSUKOSHI ISETAN SHOPPING 「YourFIT365」
https://www.mistore.jp/shopping/feature/women_f3/yourfit_hub_w_s.html
PRTIMES「コロナ禍で生まれた新サービス!3D計測サービス「YourFIT365」と「Match Palette」からオンライン完結のサービスが登場!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001602.000008372.html
日経XTECHSpecial「日本柱のDXで「”最高の顧客体験”と”新たな顧客体験”」を老舗百貨店が描く新たな成長戦略」
https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXT/20/dell_innovators01/index.html


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