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[DX事例95]リモート診療サービスで通院や診療の手間を減らす_オムロン株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回は電気メーカー業界からです。血圧計や体重計などの製品のイメージが強いですが、実はセンサーやロボット機器などの産業用電子機器の製造販売も行なっているオムロン株式会社の診療DXです。


米国や英国など、グローバルなリモート診療サービスの展開!オムロンのDX事例

オムロンといえば体重計や体温計などの健康医療器具が代表的なメーカーですね。血圧計などは世界トップシェアを誇るそうですが、創業は1933年と老舗企業です。マイクロスイッチと呼ばれるスイッチ機器を皮切りに、駅の自動改札機や各種センサの開発などの製造業向けの製品開発も行なっています。
そんなオムロンですが、昨今自社の健康医療機器を組み合わせた「遠隔診療ソリューション」を各国に提供しています。今回の事例はどれも内容は似ているのですが、各国の法令や状況に応じてサービス内容に違いがありますので、それぞれお伝えしていきたいと思います。


①米国での高血圧患者向け遠隔患者モニタリングサービス「VitalSight™」

まずは米国からです。オムロンは米国向けの慢性疾患患者向け遠隔患者モニタリングシステム「VitalSight(バイタルサイト)」の運用を2020年9月より開始しています。VitalSightは、患者が家庭で測定した血圧や体重データ等のバイタルデータを医師と共有することができます。

まず患者の自宅に、血圧測定や体重計などのオムロン製品と通信ハブのセットが届きます。患者はオムロン製品を毎日利用することで、通信ハブを通してバイタルデータが転送されるため、医師は遠隔で患者の健康状態を確認することが可能です。

Youtube「Welcome to the VitalSight Remote Patient Monitoring Program」

定期的に取得されるバイタルデータは電子カルテに連携され、血圧に異常な変化があった場合はアラートで知らせることも可能です。
患者は自宅にいながら医師の治療を受けられます。特に、コロナ禍の状況で通院を控える患者にとっても「通院不要で継続的な治療ができる」点が評価されているとのことです。


②英国での遠隔診療サービス「Hypertension Plus」

次は英国です。英国では緊急時を除き、受診する際の医療機関は「かかりつけ医」というルールがあります。多くの患者を抱えるかかりつけ医になると、その分待ち時間が長く、十分な診察時間を確保できない場合があります。日常的な健診や健康管理のアドバイスをしてくれるのがかかりつけ医の特徴ですが、患者数が多く忙しい状態ではかかりつけ医は患者の健康状態を把握することは困難です。

その解決策として、オムロンは2021年4月に高血圧治療における遠隔診療サービス「Hypertension Plus(ハイパーテンションプラス)」を開始しています。


オムロン株式会社「グローバルに拡がる遠隔診療サービス」より抜粋



VitalSightと同じように、家庭で測定した血圧データを医師と共有し、遠隔診療が可能です。
Hypertension Plusは血圧データを分析し、3ヶ月分の投薬プランを提案することができます。かかりつけ医はこの提案内容を元に診断や投薬指示を全てオンラインで完結することができるため、患者の通院負荷の削減やかかりつけ医の診察時間の効率化を実現できています。


③シンガポールでのコーポレートウェルネス事業「HeartVoice」

最後はシンガポールです。内容も似通ってはいますので、簡単に紹介します。
オムロンはシンガポールにて、企業向けの健康診断プログラムからオンライン診療を提供する「HeartVoice」の提供を2019年に開始しています。
HeartVoiceは企業健診のデータを収集し、生活習慣病リスクがある社員を早期に発見し、オンライン診療サービスで医師の診断を受けることが可能です。
健康状態の改善度合いに応じてクーポン券が発行されるなど、健康管理の継続を促す機能も提供されています。

オムロン株式会社「グローバルに拡がる遠隔診療サービス」より抜粋



経営戦略とDXの関連性について

オムロンは2022年1月に2030年度に向けた長期ビジョン「Shaping the Future 2030(SF2030)」を発表。その中で「人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける」というビジョンステートメントを打ち出しています。
オートメーションとは自動化のことを指します。

オムロンが展開している4つのコア事業に対して、社会的課題である「カーボンニュートラルの実現」、「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」を解決するソリューションの開発に取り組みます。

オムロン株式会社「長期ビジョン「Shaping the Future 2030」および中期経営計画のスタートについて」より抜粋

オムロンは自社製品の製造販売だけではなく、IT活用やDXを行うことで社会的な課題を解決するためのソリューションを開発していくことで、「社会全体の豊かさと、自分らしさの追求が両立する社会」を目指して活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回の事例は「遠隔診療を通して健康情報を医師と共有することで、診療や通院の手間を減らす」取り組みでしたね。
従来は通院した際の診療時のみ健康状態を把握するものですが、バイタルデータを共有することで医師は日常的な健康状態を把握することが可能になります。

通院や診断行為は患者と医師双方にとって相応の手間がかかるものでしたが、ITを活用することで効率的かつ効果の高い診療を提供できる良い事例だったかと思います。
次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー


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参考にさせていただいた情報
オムロン株式会社「グローバルに拡がる遠隔診療サービス」
https://www.healthcare.omron.co.jp/ces/global-remote-cardiovascular-monitoring/
オムロン株式会社「長期ビジョン「Shaping the Future 2030」および中期経営計画のスタートについて」
https://www.omron.com/jp/ja/news/2022/03/c0309.html

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