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読書三点要約:なぜ教科書通りのマーケティングはうまくいかないのか

今日もご覧いただきありがとうございます。
今日は北村陽一郎著「なぜ教科書通りのマーケティングはうまくいかないのか」を紹介します。

マーケティングの理論は様々ありますが、実践での効果となると、なかなか出にくいことがあります。それはおかれている状況が企業や商品によって異なるからです。この状況に応じたマーケティングを学びたく、この本を読んでみました。

要約

いつも通り三点にまとめていきます。

①カテゴリーによる違い

・施策による広告認知率は予測できるが、ブランド認知率は予測できない。というのも生活者の目に触れる機会が多いものの方がブランド認知率の伸び方に影響する。生活の中で目に触れず、考えることも少ないカテゴリーはブランド認知率が伸びにくい。例えば、電気シェーバーやタイヤなど。
・カスタマージャーニーが向かないカテゴリーも存在する。認知から購買までの接点が少ないカテゴリーはカスタマージャーニー不向き。
例えば、化粧品はクチコミサイトや、友人との会話、販売員との会話などに触れるが、ペットボトル飲料は自販機で初めて見て購入されることも多く、そもそも接点が少ないので、ジャーニーが組立たない。
⇒自社が属しているカテゴリーがどんなカテゴリーなのか、良く理解する必要がある。

②マーケティング手法の誤用

・そもそもマーケティング手法が誤っているケースも多い。
・AIDMA、AISAS、5Aなどのパーチェスファネルがあるが、1つのキャンペーン中に各段階全てにアプローチしろとは言っていない。購買行動の説明と、効果的なキャンペーンの構成は全く別の話。
⇒本来ファネルはカルテとして使う。購買の各段階に進む率を自社、競合と調査、比較し、弱い所に対策するのが本来のやり方。
・純粋想起されると検索される傾向にあるが、必ずとは限らない。人は、頭の中で名前が浮かんだものを全て片っ端から調べず、まず、イメージで合いそう、合わなそうとふるいにかかる場合も多々ある。つまり、純粋想起と商品の理解度は必ずしも連動しない。
・ブランド連想には、結果のブランド連想と原因のブランド連想がある。結果のブランド連想は、使って何かを感じた結果。売り場ではその連想から買わない。
例えば、グミは食べた結果、楽しい気分になれる、リフレッシュできるという連想が湧くかもしれないが、楽しい気分になれるのはどれか?という買い方はしない。
⇒売り場で考えるのは原因のブランド連想。原因のブランド連想の設定でないと購買時に作用しない。
⇒誤用されるパターンは、マーケティング手法が会社での報告に都合が良い使い方をされる場合や、実際の消費者心理を無視して教科書的な内容で適用されている事が多い。

③自社が所属するカテゴリーの把握の仕方

●間口奥行分析
間口=1年で1個以上購入した人の割合
奥行=購入者1人が年間にかけた金額
例えば、食品は食べる回数に上限があるので、奥行は増えない。間口=購入率を落とさない事が重要。
胃腸薬は必要な人しか買わないので、間口は広がらない。その代わりに奥行=高くても買ったり、何度も買う人がいる。
⇒カテゴリーによって、ビジネスが成り立つ購入率の下限があるので、あまり絞ったターゲットにすると上手くいかないことがある。
・パッと買われるようなカテゴリーはSNSでの検討や商品理解はあまり重視する必要がない。
・過去に使ったことがある人にさらに使ってもらいたいと考えるときにも、間口型か奥行型かによって、何回くらい買ってもらえばいいか、目指す形が変わる。
・奥行型の最たる例は一部のロイヤルユーザーが全体の利益のうち大半をもたらすカテゴリー。デパートなどのイベントコストはロイヤルカスタマーからの利益によるもの。スマホゲームアプリも入口は無料だが、課金する人が利益を賄っている。
⇒この場合、売上維持はロイヤルユーザーの維持・育成でよい。
・間口型カテゴリーはそもそも縦に伸びにくい。例えば食事は1日の回数が決まっている以上、頻度は増えない。1年の食事回数は1000回、マクドナルドに毎週1度行っても5%にしかならないが、それでもかなり行っている感覚になる。基本的にはユーザーを増やすしかない。
⇒間口型カテゴリーでは強烈なロイヤルユーザーの育成は難しい。年間2回買っていた人に3回買ってもらうだけでもユーザーが多ければ効果が出る。
⇒良く売れる時期以外で売れるチャンスを作る施策もよい。
⇒間口・奥行分析から、自カテゴリーを把握する。

総評

いかがだったでしょうか。業界の傾向が取るべきマーケティング手法に影響を及ぼします。時には、同じ業界内でも間口型カテゴリーと奥行型のカテゴリーが存在しています。例えば、乾電池と充電池は共に電池ですが、それぞれ間口型カテゴリーと奥行型カテゴリーです。売れている乾電池の売り方を、充電池で真似しても売れるとは限らないのがわかると思います。大事なことは、課題を見つけ、その解決に適したマーケティング手法やフレームワークを使うことです。

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