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机上の空論(かーろん) カーリングを計算してみる (2)

カーリング選手の頭の中を想像したい

カーリング経験のない私がカーリングの理解を深めるためにどうにか自習できないかと考え、計算をし図表化してみることにしました。
机上の空論(カーろん)カーリングを計算してみる(1) の記事の続きです。
今回は「アイスを読む」と「アイスの状態に応じたウェイトの設定」を図表化してカーリング選手の頭の中を想像してみたいと思います。
私はカーリングに関してテレビ・配信で観戦するだけの「上滑り」ファンですし、物理の専門家でもありません。実際のカーリングではストーンは回転し曲がりますが、そこまでを再現するような難しい計算はできないので単純な計算です。その点ご理解お願いします。間違い等ありましたらご指摘頂けると助かります。


アイスの状態の違い

前回の机上の空論(カーろん)カーリングを計算してみる(1)では、アイスの状態(動摩擦係数)が同じでストーンを止める位置を変更した場合の速度変化について計算しています。
今回はアイスの状態が違う場合について計算してみます。
ボタンドローのホッグーホッグ間秒数で基準のアイス、滑るアイス、滑らないアイスを設定してみました。

  • 滑るアイス(15秒)…初速:約2.29m/s、動摩擦係数:約0.00730

  • 基準のアイス(14秒)…初速:約2.45m/s、動摩擦係数:約0.00838

  • 滑らないアイス(13秒)…初速:約2.64m/s、動摩擦係数:約0.00972

ストーンの速度変化をグラフにすると図2.1のようになります。
横軸がストーンの位置、縦軸がストーンの速度です。 

図2.1


アイスの状態に応じたウェイトの設定

このアイスの状況と前回のストーンを止める位置と掛け合わせて考えるのが「アイスを読む」と「アイスに応じたウェイトの設定」になるのだと思います。アイスの状態はボタンドロー時のホッグ-ホッグ間秒数を12秒から16秒の間を0.5秒刻みで9パターン、ストーンを止める位置はホッグラインから1フィートの位置からバックラインまでを1フィート刻みで計算しています。これを図2.2のようにグラフ化してみました。
横軸がストーンを止めたい位置、縦軸がその位置にストーンを止めるためのホッグーホッグ間秒数です。

図2.2

前に投げたストーンがホッグーホッグ間何秒で、どこに止まったか により次に投げるストーンを止めたい位置からホッグ-ホッグ間秒数を決めることができると考えられます。
例えば、ホッグーホッグ間14秒で投げたストーンがTeeラインで止まったとするとアイスの状態は水色の特性になる。次に投げるストーンをハウスに半分かかる位置に止めたいとすると 横軸の止めたい位置とアイス状態を示す水色曲線が交わるところの縦軸数値を読み取れば、ホッグーホッグ間を15.2秒で投げればよいと導くことができる といった具合です。

また、もう一つのウェイトの指標である蹴り足がハックから離れてからホッグラインまでの時間(ここでは、計算しやすいように 蹴り足がハックから離れる=ストーンがバックラインを通過 としています。)
同じようにグラフ化したものが図2.3です。
横軸がストーンを止めたい位置、縦軸がその位置にストーンを止めるためのバックーホッグ間秒数です。 

図2.3


計算してみて

このグラフが現実に近いものかどうかはわかりませんが、このようなグラフが多くの経験によって導かれ、選手の頭(体)の中に入っているものと想像します。このようなデータベースが試合の中ですぐに引き出すことができるカーリング選手は凄いです。
さらに実際のカーリングではストーンが曲がります。同じシート内でも場所によってアイスの状態は異なりますし、時間によっても変化します。これらを試合の中で把握し、狙ったところにストーンを投げなければならないことを考えるとやっぱりカーリングは難しいし、面白いスポーツだとあらためて感じました。

2022.06.29

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