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陰陽術鬼!

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素敵すぎるお表紙は水城るり様@より。無断使用は禁じます。 ラノベ風陰陽道ファンタジーBL小説。9万文字程度。18禁です。 18禁シーンは中盤以降。
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2022年1月の記事一覧

幽幻狂鬼!⑤

幽幻狂鬼!⑤

ある妖気を感じる部屋の前についた。
腐っても道士の弟子、これだけ強い妖気ならば感じ取れる。
インは扉を開いた。

開けるなり何者かの大きい腕が掴みかかってきた!

インの腕を掴み、吸い込まれる様に中へと引き摺り込んでいく。

「ウワァああ、ああああーっ!!」

握力が強い。

「クォッ!!」

ドガンッ

レンガ状の壁に叩きつけられ倒れた。
棚が壊れ埃の煙が舞う。

掴んだ手は人のものより大きく毛

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幽幻狂鬼!④

幽幻狂鬼!④

「この城は怪しい。イン!手分けして探ってみよう!ラウは赤ん坊を抱いてここで待っていろ」

「ええ!」

ラウが仰天する間に、返事も聞かず思聡(スーツォン)道士は廊下に続く扉に走る。
インも慌てて後を走り着いていく。

ラウは困惑をしながら、とりあえず泣きぐずる赤ん坊をあやして、この暖炉の間にいるしかなかった。

心細く極まりないーーーー。

三人が城の異常に勘づいた頃、変わらず地下儀式の間には女が

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幽幻狂鬼!③

幽幻狂鬼!③

「はーあぁ。この雨が天から降り落ちる雨銭(うせん)だったらいいのになぁ。今頃俺はザックザクのお金持ちに」

インが濡れそぼる窓を覗き込みながら馬鹿な発言をする。ラウと思聡の二人は暖炉に当たっていた。
「スヤスヤ寝ちゃっているぞ」
ラウは胸に抱える赤ん坊の寝顔を見て、自分も安心したように言う。柔らかなベビー服はちっとも濡れてはおらず、暖炉に当たってうっすら汗を浮かべていたので、ラウは慌てて火からちょ

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幽幻狂鬼!②

幽幻狂鬼!②

三人は広東省の山奥から、1人の赤ん坊を預かって遥々香港まで戻ってきた。

あまりにも山奥の交通不便な場所まで車を乗り換えながら一走り。
香港から本土を繋ぐ特急鉄道、城際直通車(Intercity Express)を利用するのはかえって不便だった。

「よぉ~し、よし。それじゃあ、無事に赤ん坊を連れて香港まで戻って来ましたよと、かなり遅くなっちゃったけどあのオバちゃんにご連絡しましょおかねえ」

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幽幻狂鬼!①

幽幻狂鬼!①

※これから始まる物語は、地理が実際の香港とは異なる可能性があります。

…プロローグ…

「オギャぁぁ、オギャああ。……ホギャあああ………………」

「おーよちよち……。もうちょっと我慢してくだちゃいねぇ!もうちょっと我慢したら暖かいご両親の元へ帰れまちゅからねぇ!」

「………………………」

「あーぁあ、こんな嵐の日にまったく冗談じゃないよ。おい!ちょっとは変わってくれよ、後ろの!長時間の運転

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陰陽術鬼!rust

陰陽術鬼!rust

俺は…………生きていた。

「あれっ!?生きてるじゃんっ!」

目覚めたら病院で治療を受けていて、二日間は丸々、懇々と眠りっぱなしだったらしい。

あの崩れ落ちた地下から、全員無事に逃げられていて、案の定俺と機洞だけ、死んだかと思われていたらしい。

けど、気がついたら朝日が照らす地上に倒れた俺がいて、慌てて救急患者として一番近くの病院に運び込まれた次第だ。

重体だった金龍さんも目覚めて、リハビ

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陰陽術鬼!19

陰陽術鬼!19

いつか見た、白三弥山の地下洞の中と似ていた。

オーブがそこかしこに蛍のように飛び散って光る地下の道。
自分達が進んでいるのは、まるで死後の黄泉の道のようだ。

灯りを照らして、暗がりの道を、俺達は先へ、先へと進んだ。
たまに邪魔をする水たまりを上手に避けて下がっていく。

やはり同じように巨大なだだ広い空洞が、道の先には広がっていた。
更に無数に舞うオーブ。
ご丁寧に照明も設置されてある。
天井

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陰陽術鬼!18

陰陽術鬼!18

扉が開いて、ボロボロになり果てた、ボロ雑巾以下の俺を見下げて、機洞は何をするかと思えば、傍らに屈んで俺の髪の毛を手のひらで撫でてきた。

「もうそろそろ、いいだろう、こんな苦痛より、気持ち良い快楽に、一緒にそろそろ溺れよう………」

俺をこんな状態にしている張本人のわりには、機洞自身も苦しそうな表情を滲ませている気がしないでもない様子なのは、やっぱりそれほど客観的に俺の姿が無残に変化しているのかな

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陰陽術鬼!17

陰陽術鬼!17

気付いたら、猪狩裕司は社樹学園の視聴覚室にバッタリと倒れていた。
おかしい、と思った。腕時計は19時を指していて、今日一日分の記憶が無いからだ。
それに体も妙に気怠く、何かがなまめかしい。
見たところ、服もボタンははめられ、ちゃんと着ているが
なんだろう、よくわからないが、何かが変だ……。と猪狩は思った。







定児が目覚めたのは、真っ暗闇の中だった。
照明無く、ただの黒い空間。

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陰陽術鬼!16

陰陽術鬼!16

黒い妖気漂う儀式場。
ここは何処だろう。窓のようなものは無く、全て黒布で四方を張り巡らされた黒い空間。
少なくとも、白三祢山の地下の儀式殿とはまた異なる、呪術のために拵えてある機洞一味達の造成した空間であった。

肌の色が一つ浮かぶ。黒いものに蝉のようにしがみつきもぞもぞと蠢く。長い髪を揺らす人肌。キメに汗が絡まるするりとしたベージュの肌。
艶かしい女の肌が、くびれた腰つきと丸い豊かな臀部をくねら

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陰陽術鬼!15

陰陽術鬼!15

大異変の翌日、吐黒山にある滝行用の滝、その岩場で、渉流は目を閉じて坐禅している。

轟と水面を叩きつける滝が流れる音。朝の白煙なる空気。山々をもやが覆う景色の中。
滝行を終え、しとどに濡れている、渉流の肌に張り付いた行衣。

昨日の面子は、全員、最清寺に住居を借りて寝ている。
青森神主以外は。

青森は何かの陰陽術法を行い、自分のダメージの治療をするため、しばらく社にひきこもるらしい。

いち早く

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陰陽術鬼!14

陰陽術鬼!14

感電するバチバチとした音。叫び声。

野太い叫び。

電流は前山に当たらず、前山を庇おうと身を起こし前山の前に立ち塞がった、森野に直撃したのだ。

二人の姿を見て、はっと我に変える定児。
脳裏には先程の倒れる教師の姿が、巻き戻し何度も、繰り返し現れる。

「ぁ……ま、まえ、……森野、…せん、生……」

呟き、同じ言葉を二度、三度繰り返す。

頭を覆う濃霧は急速に晴れ、目の前を鮮明に定児の意識に映し

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陰陽術鬼!13

陰陽術鬼!13

渉流は定児を地に下ろし、腕を構え一気に迎撃体勢に入った。
身体中の血流が音を立てて駆け巡る。

「どーこへ持っていくつもりなの?長屋大王が入っている定児君は渡さないわよ」

「……ふざけるなっ!!」

渉流は怒りの血管が一気にブチ切れそうになる。

「釈迦秘術!金棺飛遊!!砕けろ!!!」

渉流の向けた手の動きにならって、これまでで最大に大量の金色をした棺が地を割り表出する。
渉流の念に従い棺は見

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陰陽術鬼!12

陰陽術鬼!12

渉流達の通う社樹学園は、もうそろそろ学園祭の準備にかかりはじめた。
色とりどりの模擬店や出し物の材料、看板材料などが、廊下に投げ出されている。
季節は秋へと完全に移り始めたのだ。

青森神主から、渉流に連絡が入った。

「渉流君、やっぱり定児君は犯人の手の内にいるようですよ……」

「はっ!!?」

渉流の受話器を持つ手に力が入る。

「クソッ、それで無事なんですか!」

「…え、ええ……。危害は

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