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同じ言語を使えば通じるわけではない…。
そんな経験をされたことはありますか?

私はあります。

もちろん「方言」はありますよね。
その「地方」で使われる言葉です。

例えば、関東地方の人が
関西地方に行けば、
使われている言葉が違うな…と
強く感じることでしょう。
その逆も、同じ。

ただ、関西弁ならば芸人さんをはじめ
TVでも話す人が多くてわかるのですが、
これがマニアックな方言となれば
よくわからないことも多いと思います。


例を挙げます。

「たう」という動詞。
たう・たわない、などと使う。
「つる」という動詞。
机をつる、などと使う。

◆たう=届く
◆つる=持ち上げる


※黒板の上に背がたう=届く
※掃除で机をつる=持ち上げる

…どんな意味かすぐに分かった方は、
たぶん、あまり意識せずに
「これ、標準語じゃないの?」
思ったかもしれません。
しかし、「たう」や「つる」が
通じない地域がある。
というか、通じない地域のほうが多い。

ただ、このような方言の問題は
いわば「語彙」の問題です。
ああ、そういう意味があるのね、
と理解し、脳内変換が
できさえすれば大丈夫。

…問題なのは、同じ日本語なのに
通じないことがある場合です。

本記事では、そのような場面について
私の経験を踏まえて
書いてみたいと思います。

ふだん、人間は自分の経験に基づき、
会得した言葉・語彙を駆使して
自分の感情や思考や意見を
言葉にして使っていきます。


仮に口には出さないとしても、
頭の中では言葉を使って
考えている。
また、SNSで投稿するように
書き言葉にしていきます。
(今、私がしているように)

言葉にできない思考や感情というものも
あるとは思いますが、
基本、言葉というツールを使用している。

ですが、言葉は個々人の
経験や思考や感情に
密接に結びついているがゆえに、

それまでの経験や思考や感情が
かけ離れている人同士だと
その言葉が通じないことがある
のです。
同じ日本語を使っていても…。

具体例を挙げましょう。

私は、これまでのキャリアの中で、
それまでに経験した業界とは
全く畑違いの業界で働いた
経験があります。一年程度で、
そんなに長くありませんでしたが。

あまり詳しくは書きませんが、
機械関連の業界でした。

私はそれまでどちらかといえば、
教育や出版や編集や広告など、
何かを言葉にしたり伝えたり、
そういったことを業務として
行うことが多かったのですが、

その業界は全く違った。
マシーンが中心です。

当然ながら、そこで働く人や
お客さんとして接する人は
マシーンに日常的に接しており、
子どもの頃から機械を分解したり
改造したり、そういったことが
日常茶飯事だった人ばかり
でした。

私は、必死に
機械について言葉を覚えたり、
構造を理解しようとしたりして
「語彙」を頭に入れました。

…しかし、決定的に
「経験」が違っていたんですね。

私は知識として言葉を入れていきました。
いわば「付け焼き刃」です。
どこか上滑りしていた。
当然です。
経験が圧倒的になかったから…。

職場の方やお客さんは、そうではない。
言葉にする以前に、
圧倒的な場数、経験によって
「感覚的に」わかっている
んです。

当然ながら、その中で
「認識のズレ」が生じていきます。
同じ日本語の言葉を使っていても
想像するものが違うのです。

言葉というものは単独ではなくて、
つながって連想されていくもの。
ある一つの言葉から
それまでに文章として関連づけられた
他の言葉にもつながっていきます。

例えば「ネジ」という
言葉があったとします。

機械に日常的に接している人は、
さまざまなネジを思い浮かべ、
このネジはこの機械に使う、
この部品にはこのネジが必要だ、
そういったことが
それまでの経験によって
頭の中で広がっていくことでしょう。

しかし私はそうではなかった。
あまりネジについて詳しくありません。
語彙としては、知識としては
知っていたとしても、
そういった広がりがないのです。

その職場では、そういったことが
多々ありました。
良い方が多く、聞けば
説明はしてくださったのですが、
こちらのほうが罪悪感、
何となく申し訳なかった…。

その人からすれば幼少の頃から
当たり前のように使ってきたものを、
こちらはイチから、いやゼロから
言葉として理解しようとするのです。

経験が違うと、言葉が違う。
しごく当たり前のことではありますが、
入る前には、よくわかっていなかった。

その業界、その会社に入る前は
「なんとかなるだろう」と
楽観していた私は、色々と
こなごなにされて辞めることになります。

だいぶ前の話です。

今から思えば、良い経験をした、と
私の中では昇華されていますが、
当時はとても辛かった。
周りに人はいるのに
独りぼっちでいながら
立ち働いていたようなもの
でした。

最後にまとめます。

本記事では、同じ日本語なのに
通じないことがある場合の
話を書きました。

読者の皆様は、
そんな経験はありますか?
全くの畑違いの職場や業界で
働いたことは、ありますか?

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