見出し画像

女性警察官が週刊連載マンガ家になって成功した理由

『ハコヅメ 〜交番女子の逆襲〜』
という漫画をご存知ですか?

泰 三子(やす みこ)さんの漫画で、
講談社の「週刊モーニング」で連載されており、
小学館漫画賞まで(他社の賞なのに)受賞した
素晴らしく面白い漫画です。

最近(2021年)には
永野芽郁さん・戸田恵梨香さん主演で
ドラマ化までしました。
2022年にはアニメ化もされています。
要するに、大ヒットした作品です。

一言で言えば、警察もの。
新任女性警察官と先輩のコンビの奮闘もの。
刑事さんも出てきますが、
あくまでメインは「末端の警察官のお仕事」。
『太陽にほえろ!』とか
『踊る大捜査線』とは、ちょっと違います。

ふつうの警察もの作品と違うのは、
あまりにもリアリティにあふれている点です。
それもそのはず、作者の泰さんは、
実際に「女性警察官」として
ガチで働いていた方
だったのです。

経験者の実体験ほど、
リアリティを生み出すものはない…。
「オタクが想像で生み出す世界」と、
「経験者が実体験で知っている世界」には、
超えられるようで超えられない
壁があるように思われます。
いくら机上で、スマホで、知識を重ねても
表現できないもの、というのがあるのです。

ハコヅメは、もちろんフィクションであり、
商業漫画ですので、脚色もありますが、

ベースにそういうリアリティがある
稀有な警察漫画だ、と断言できます。

最初のあたりは「一話完結ドタバタコメディー」
のようなテイストなのですが、
ヒヤリとした読後感のシリアス編、
「あれ、実はこの人…」と思わせる布石、
徐々に大河ドラマ的な大長編感が出てきて、
ページをめくる手が止まりません。
もう作者の手中、虜になっていきます。

さて、この作者がどのように
漫画家となり、この名作を生み出したのか?
私はけっこう気になっていました
(初期の頃から連載で読んでいたので)。

なので本屋で、作者が主にインタビュー形式で
この作品の設定、アイデア、メイキングを語った
本を見つけた時、思わず買ってしまいました。

『「ハコヅメ」仕事論
女性警察官が週刊連載マンガ家に
なって成功した理由』
という本です↓

…これは、面白い本ですよ!
買いです。漫画だけでなく、
「仕事」に対するヒントが、目白押し!

そもそも警察官は「公務員」ですよね。
もちろん勤務はハードな面が多いですが、
収入は「安定」しています。

それに対して漫画家は基本「フリー」です。
もちろん勤務?はハードな面が多く、
そのわりに収入は「不安定」極まりない
(ハコヅメほどのヒット作を生み出せば
安定するかもしれませんが)。

警察官→漫画家へのジョブチェンジ。

この一見「無謀」な行動ひとつとっても、
作者の泰さんの凄さが垣間見えますが、

実はその裏には
企画力、構成力、対応力、動機、その他
ものすごいエピソードがあり…、
おっと、あまり書きすぎるとネタバレなので、
あとは実際の本にて、お読みください。

私も「複業クリエイター」として、
仕事をしつつ、作品を作っている身なので、
とても心に響くことが多かった。
何かを創作すること、何かを売ること、
そういったことに興味のある方には
ぜひおすすめしたい一冊、なのでした。

ただし、一つだけご注意!!

原作『ハコヅメ』を全巻(出ている分だけ)
読んでから、この本をどうぞ。

なぜなら、けっこう原作の話のネタバレ、
キャラやエピソードの裏面語りが多いので、
(まったく原作を読んでいなくても
それなりには面白いとは思いますが)
原作を全巻読んでからのほうが、
絶対に楽しんで読めるから。
まさか、あのキャラにはこういう背景が!
このエピソードの伏線が、ここで!
そういう驚きも、ぜひ味わっていただきたい。

「ハコヅメ」だけに、全巻を、
「箱買い」してもいい…。

そう思わせる、傑作漫画なのです。

読者の皆様におかれましては、
どのような現場のリアリティを
表現することができますか?

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!