今回は、学習意欲と調理実習のお話です。コンパクトにまとめてみた(つもりです)ので、宜しければぜひお読みください!

1、心に火をつける

まず、ニュージーランドの学校のポスターより↓。

ニュージーランドの教育などを中心に情報を発信されているSachiさん(@japaniesetutorNZ)がつぶやいたツイートです。

「教育とは、バケツを水で一杯にすることではなく、火をつけることだ」

確かに、学習意欲に火がつくかつかないかで、学習の成果は段違いだと思います。正直、どんなに上手く教えても、教わる本人のやる気が出なかったら成果は上がらないんですよね…。やる気があっても学習方法がまずかったら成果は出ませんが、それなら学習方法を改善すればいい話で、やる気がない人はまずやる気を出す方策を考えないといけない。

そこで、少しでもとっかかりやすく、面白く、楽しみながら自然に、かつ「実際に使える」実用的なものを身に付けて頂きたい。そんな考えから「実用地歴提案会ヒストジオ」を名乗って、コンテンツを制作しています。

2、コップと馬

水のたとえではどうでしょうか。

私はよく「底を上にしたコップ」のたとえを使ったりします。

底を上にしたコップに、いくら水を注いでも水は入らない。

そりゃそうですよね。まず、コップに水が入るように、注げる口の部分を上にする。そこからです。

似たような水に関することわざには、こういうのもありました↓。

You can take the horse to the water, but you cannot make it drink.
馬を水飲み場まで連れて行くことはできるが水を飲ませることはできない。

この小川竜司さんのブログ記事によると3つの方法が考えられるとのこと。

①首を掴んで、水に突っ込む
②水をすくって、口元に近づける
③喉が乾くまで走らせる

…①や②は、水を飲まないですよね。その馬が「水を飲みたい」と思う、つまり「喉が渇く」状態にしないと、水は飲みません。

いかに意欲が大事か。意欲がないと何も身に付かない。そのような表現は世の中にたくさんあります。

3、調理実習という「実用の帝王」

さて、視点を変えて、学校教育の中で、比較的学習意欲が高まりそうなシチュエーションを考えてみましょう。

私には真っ先に「調理実習」が思い浮かびました。

これは個人差はもちろんあると思いますが、調理実習は他の座学や実技教科などとはまた違った「高揚感」があるように思います。

その理由を考えてみると、次の3つが思い浮かびました。

①グループで作業する
②成果物を味わえる
③素材から成果物に変化する

①は、特に思春期の生徒などには、テンションが上がる要因であるように思います。男子と女子が一緒に作業できる。好きなあの子にいいところを見せるチャンス。かと思えば、自分にないスキルを見せつけられて、そのギャップに悔しいと思うやらリスペクトするやら…。その一方で、意外な人が実は料理が得意だったりします。苦手だったりもします。つまり、隠れたスキルの見せあいやコミュニケーションをとりながら、みんなでワイワイ学習できる。これは他の教科の学習には、あまりないように思うのです。

②は、言わずもがなです。食べられる。つまり、学習の成果を、その場で即、体感できる。うまくいけば美味しい。失敗すれば苦い。意外とこの「その場で即、体感」という体験はあまりない。地理や歴史の授業で学んだことが、その場で即、体感できる、なんていう場面はあまりないのでは…。

③は、教材を用意する側の話にもなりますが、「変化する」という過程を五感を使って体験できるのは、調理実習の独壇場だと思うのです。もちろん理科の「実験」なども変化しますが、スチールウールがパチパチと燃えました、酸化鉄になりました、という変化と、ひき肉が「ハンバーグ」に、ニンジンが美味しそうな「ツナと和えたシリシリ」になりました、という変化では、味覚・触覚・嗅覚・聴覚・視覚、いずれも刺激する点で、後者に軍配が上がるように思うのです。スチールウールは食べられませんので…。

言い方を変えると、こうですかね。

①他人と自分とのスキルと実績の差がわかる「共同作業」
②学習成果をその場で味わえる「達成感」と「自己評価感」
③五感を刺激する「変化」を体感・体験

そして何より、調理スキルが上がれば「実際に使える」。まさに「実用」。意外と何に使えるのかはっきりとはわからないことが多い学校教育の内容において、調理実習は実用の帝王、衣食住の根幹を成す実技教育の粋ではないかと言っては言い過ぎでしょうか。

4、食べるほどに食欲が出る

いかがでしたでしょうか。

この記事では、学習意欲の話から、調理実習の話につなげました。

ここに、ヒントが隠されているように思います。最近では「アクティブ・ラーニング」という言葉が取り沙汰され、ともすれば独り歩きしているような現状がありますが、ずっと以前からアクティブ・ラーニング的な要素を内包して行われてきた「調理実習」から得られるヒントは多いのではないでしょうか?

別にこれは学校教育だけの話ではありません。

「生涯学習」の時代です。自分で自分を奮い立たせる、大人になってからの学習においても、自分自身がどの点に学習意欲を持ちやすいのか、どのような方法ならば学習意欲が高揚するのか、知っておいたほうが良いのではないでしょうか?

こちらの記事はご参考までに↓。

※なお、手前味噌になりますが、茨城県市町村擬人化×ゲームブック「イバーランドの県道」の冊子版においても、「自分で自分の市町村擬人化をやってみよう!」のメイキングのコラム欄を作っております(note版には載ってないので、レアものです)。ちょっとだけお見せすると…↓。

190921メイキング

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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