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デジタル造形メモランダム

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Blender・ZBrush・NomadSculpt・3Dプリンターを使ったデジタル造形・ミニチュア開発系Webマガジン。
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記事一覧

【歴史文化模型造形研究談義】「ステレオタイプな思い込み(その2)」

前回の記事(↓)の続き。 私がこの作品に込めた想いこれは私の完全オリジナル作品、フルスクラッチビルドで製作したWW1ドイツ兵の1/16スケールフィギュアです。↓ この作品の真のメッセージは 「私達は100年前から大して変わっていない」 です。 人間は、100年前も、実は、姿形は大して変わっていない。100年経っても戦争を続けているのも変わらない。写真がカラーになって色がついても、100年前の白黒の写真の中の兵士達と現代の私達はなんら変わらない。100年前に戦争で死ん

フランク・フラゼッタとボリス・ヴァレホとシェパード・ペイン

前回の記事(↓)の補足。 その手の文化に興味ある人はすぐ分かると思いますが、前回アップした私の旧作「ドラゴン・スレイヤー」は、フランク・フラゼッタとボリス・ヴァレホと、私が唯一、師として崇拝するモデラー、シェパード・ペインへのオマージュ作品です。 フランク・フラゼッタフランク・フラゼッタは構図や躍動感が凄く好きです。欧米由来のヒストリカルフィギュアやファンタジーフィギュア文化のフィギュアの数々も、造形やポージング、ペインティングにおいてフランク・フラゼッタに大きく影響され

謹賀新年2024辰年

あけましておめでとうございます。辰年ということで・・・私の旧作品ですが「ドラゴンスレイヤー」で新年の挨拶とさせて頂きます。今年は厄を取り払っていい年にしたいですね。

「ゴジラ-1.0」: 海のシーンが最も好きなシーンでしたが・・・Blenderファン目線で。

前回の記事(↓)の続き。 「JAWS」ファンとしては海のシーンが最も好きなシーンだったのですが、この情報を見てさらに仰天。(↓) えーっと・・・500TBですか・・・。ものすごい表現だなとは思っていましたが、データ量も半端ないですね。 Blenderファン目線でも嬉しいネタなんと、あの呉爾羅のアニメーションはBlenderで作っているそうな。Blenderファンとしては嬉しい。

「ZBrush on Linux」計画、卒業とします。

久々の「ZBrush on Linux」ネタ。前回の記事(↓)。 「ZBrush on Linux」に時間とエネルギー使うのはもう卒業します。表題のとおりです。 クリエイティブ系制作環境のメインマシンをLinuxに移行してから4年近くなりました。その間、MacやWindowsで使っていたZbrushをLinuxで動かす試みにも取り組んできました。具体的な活動としては、 ・WINEプロジェクトにも動作報告をフィードバック ・PixologicにLinux版リリース嘆願メール

「ZBrush for iPad」のニュース

2024年にZBrush for iPadがリリース突然の発表。 実際に詳細が発表されていないので、どういう感じになるのかまだ不透明。 でも、そろそろもう伸びしろなしか?と思っていたZBrushに新しい方向性が出てきたことが非常に嬉しい。願わくば、サブスクではなく買取りであってほしい。あまり期待してませんが。 それよりも何よりも、私は本音言うと、Blender for iPadのほうが欲しいのですけどね。 まだ詳細が出ていないので、コメントは控えます。情報は常に追ってお

AM誌2023年10月号に3Dプリント関連記事を寄稿しました。

久々にアーマーモデリング誌に寄稿表題のとおりです。2023年10月号に、3Dプリントパーツこの10年の歩みをざっと振り返る、という記事を寄稿しました。 店頭で見かけたらぜひ手にとっていただけると幸いです。あ、もちろん、Amazonで購入してもOKですよー :-) 新しいものへの嫌悪感プラモデラーの中には、3Dモデリングや3Dプリントを 「こんなのは模型作りではない」とか「ズル」であるとか、なぜか毛嫌いする層が一定数います。これは洋の東西問わず、存在します。 私も実際

Kindle電子書籍をペーパーバック化

ペーパーバックを試作私の著書である電子書籍「ZBrushで作るミニチュア胸像造形技法」ですが、ペーパーバック化を試作してみました。 いろいろやって、校正用のサンプルが届きました。Amazonのペーパーバックサービスは出版革命。これは素晴らしい。 550ページものペーパーバックなので厚みはこのくらいになりました(↓) デメリットとしては、画像を多く使った技術本なのでどうしても印刷コストが高くなることです。ペーパーバック化すると他のZBrushやBlender系の3DCG技

【歴史文化模型造形研究談義】「ステレオタイプな思い込み」

ステレオタイプな思い込み1940年代。「下品な露出」で警察に聴取されている女性の写真。 「下品かどうか問題」はさておき、この写真で「1940年代に見えない。1970年代の間違いでは」という議論がFacebookで湧いていました。 曰く「ファッションを見ろ。サンダルを見ろ。後ろの人達を見ろ。どう見ても70年代あたりじゃないか?」ということです。 これは誤りではなく、1946年、LIFEマガジンのカメラマンが撮った一連の写真なのだそうです。 関連。1940-50年代の若者た

MaxonはZBrushをLinuxに対応させるのか?

ZBrushがMaxonに買収されてから唯一私が関心があるテーマ。それが今回の表題です。(タイトル画像は私がLinux上でZBrushを動かしてる様子です) 私はZBrushをLinuxで動かすことに、日本一・・・いや、世界一情熱をかけてきたと自負しています。他にここまでやっている人を見聞きしていないので。少なくとも、おそらく日本では私しかやっていなかったと思います。(ZBrushCentralで見ても世界でも数人?) 実際にLutrisを使ってZBrushをバージョン2

【3Dプリントのはなし】 水洗いレジン

これまでPhrozenの純正Aqua 4Kレジンを頑なに使っていましたが、試しにSK本舗さんの高靭性水洗いレジンを試したところ・・・素晴らしい。 中空にしないソリッドのままだとなぜか出力失敗しやすかったガスマスクケース形状も綺麗に出ました↓。 なによりアルコール洗浄ではなく水で洗浄出来るというお手軽さが良いですね。 プリント設定環境造形用データ作成環境はRyzen + Pop!_OSマシン。モデリングはBlender、3Dプリント設定アプリは「CHITUBOX v1.9.

新作の紹介(1):「1/9スケール WW2ドイツSquad Leader」

ModelCellarからキットの献品が届いたので、今年の新作の紹介をしたいと思います。第2次世界大戦時の、MP40サブマシンガンを構える「ドイツ兵Squad Leader(分隊長)」です。 我ながら1/9スケールにおけるドイツ兵フィギュアの最高傑作造形が出来たと自負しています。このキットを形に出来たことを誇りに思うと同時に、キット化までの流れをざっくりと振り返ってみたいと思います。 アナログとデジタルの融合造形この作品は、私が初めて試みた「アナログ造形とデジタル造形の真

模型作品がアートとなり得るに足りないもの〜オリジナルへのリスペクト欠如

この記事(↓)の続き 前回、オリジナル志向への意図を書きました。これは模型をアートフォームに昇華したいと考えるモデラー達への啓蒙でもあります。 ちなみにタイトル画像は「クリエイティブ・コモンズライセンス」です。この記事も私の"文芸表現作品"という意識で書いています。なので、記事自体を「クリエイティブ・コモンズライセンス」で公開したい、という考えからタイトル画像にしています。なお、ここで語る「模型」は「スケール模型」の事であり、オリジナル造形デザインを生み出した作家が認知さ

ペインティングに本気で取り組むならスカルプトするべき

ソフトウェアに本気で取り組むなら ITの巨人アラン・ケイの名言に 「ソフトウェアに本気で取り組むなら自分でハードウェアを作るべきだ」 というのがあります。スティーブ・ジョブズが引用して有名になりました。 Appleは黎明期からこの哲学を貫き(一時外れましたが)、iPhone、iPad、Macでついに心臓部までオリジナル設計のソフトとハードの融合を成し遂げました。 長年ソフトで勝負していたMicrosoft、Google、Amazonもソフトウェアを追求し続けた結果自社で