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コロナ疑い

ひやひやどきどき

回復期病棟では、患者さんの状態は安定していることが80~90%である。
そのため、2日以上熱がある患者さんはカーテン隔離及び関わった職員の体調の変化がないか経過を追い、4日以上続くものならPCR検査、同時に個室隔離にて検査結果を待つ。病棟の警戒度は100%に高まる。
今回、疑わしい患者さんが出たが、結果は陰性。しかし倦怠感、湿性咳嗽、黄白色痰が都度吸引で引けることから喀痰培養を行ったところレジオネラ肺炎が発覚。

レジオネラ肺炎について

・感染症法では4類感染症に分類され、確定患者は診断後直ちに届け出が必要。
・加湿器、給湯設備や循環式浴槽などの人工環境においてアメーバに寄生する形で増殖する。国内では温泉・入浴施設での集団発生事例が特に多い。
・潜伏期は2-10日程度(最大で16日程度)であり、初期には発熱、食欲不振、頭痛、消化器症状など様々な非特異的症状を呈し、症状のみではレジオネラ症の診断は困難である。
・適切な治療がなされない場合、1週間以内の経過で急速に進行し、呼吸不全や腎不全、さらに多臓器不全を呈することがある。
・ヒト-ヒト感染はないため標準予防策でよい。
・レボフロキサシン、シプロフロキサシンなどキノロン系抗菌薬が第一選択となる。

結果的に

レジオネラ肺炎はヒトヒト感染はないので、スタンダードプリコーションでの感染管理で良い。
もし浴室が原因で発症した場合ならもっと集団的に発熱者がいるはずだが、今回はこの患者さんのみであった。そのため、患者がいた部屋の消毒作業を行い、抗生剤投与にて経過を見ることとなった。

他の感染症に目が行きぬくくなっている

事例を通して感じたことは、そもそも病院には多種多様な細菌・ウィルスが蔓延りやすい。
当たり前のことを忘れていた自分がいた。
同時に隔離という行為は患者さんの認知・精神面に大きく影響を与える。もともとよく笑う患者さんであったが、常に眉間にシワがより笑顔が消えていた。貸していた本も途中で止まっていた。
何かできることをまた考えようと思う。

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