見出し画像

師匠とカメラとそれから私

今の私を構成する大切な思い出。ただの日記。長くなったが自己満足なので。


私の趣味は写真を撮ることだ。今はこうやって趣味という軽い言葉で表現しているが、高校生のときの私にとっては本当に命の恩人だった。大袈裟だと思われるかもしれないが本当にこう表現するのが適切なのである。

高校に入学して数ヶ月たった頃、「ご両親とは仲良くやってる?」そう毎日担任に聞かれるほど私と両親の関係はとっても悪かった。しかも、よく口ごたえをして蹴られたりするので痣が耐えなかった。そんな両親が嫌で死んでしまおうと家の屋根の上に登って、近所のおじさんに通報されたり、家出してみて警察の人に保護されたりとにかく色々と事件を起こした。(今思えば、自分を悲劇のヒロインかなんかだと思いこんでいる痛いやつ過ぎて笑えてくる)
そんな生活をしてるある日、親の言うとおりに高校に通うのが馬鹿らしくなって、サボってちょっと遠くの土地まで遊びに行った。もちろん平日だから面白いイベントごとをやっているわけではないし、交通費でお金がなくなってしまったからショッピングはできないしやることがないので、駅の周辺をただウロウロしていた。その時にふと目に入ったのがビルのロビーの小さいスペースでやっていた写真の展示会だ。''お金かからなさそうだし、暇も潰せそうだから見てみるか''はじめはそんな軽い気持ちで見にいったが全部の写真を見終わる頃には写真の世界に引き込まれていたし、写真の可能性に胸がどきどきした。(それまでおじさんがとるようなシンプルな写真しか知らなかった)
それから家に帰ったあとずっとその展示をしていた写真家さんのことについて調べて、SNSのフォロワーが3万人くらいの駆け出しのフォトグラファーであるということを知った。
ここまでが高1の秋の出来事だ。

時間は少し飛んで高2の春のこと。SNSのタイムラインを眺めていたら、展示をやっていたフォトグラファーが同じビルの会議室で写真のワークショップをやるという報告をしていた。参加条件はカメラを持っていること。もちろんカメラなんか持ってない私は、母方のカメラに詳しいおじさんになんとか頼み込んでカメラを買ってもらった。そして、また親に内緒でそのワークショップに参加した。このワークショップを開いていたフォトグラファーが今の私の師匠だ。
そのワークショップの参加者は大体が大学生とか社会人とかで、高校生なんて私くらいしかいなかった。おかげで、ワークショップの主催者(つまりいまの師匠)は私のことを気にかけてくれて仲良くなることができた。他にも、何人かのグールプで参加していた大学生のお兄さんとお姉さんたちが気に入ってくれて今度一緒に写真を撮る旅行をすることになった。(この人たちとも色々と思い出があるのだがそれはまた今度)
それから、ワークショップを開いていたフォトグラファーとは定期的に連絡して撮った写真を見てもらってアドバイスをもらったり、たまに写真を撮りに行くのに誘ってもらったりしてるうちにそのフォトグラファーの知り合いに弟子みたいなもんと紹介されるようになった。
そんなことを繰り返してるうちに自分の頭の中は写真とかカメラのことで毎日いっぱいいっぱいで、仲の悪い両親のこととか、そのせいで死にたいこととかを考える時間なんてなくなっていった。だからこそ、カメラは命の恩人だし、毎回気にかけて、写真の良さについて教えてくれていた師匠には頭があがらないのである。

そんな師匠からつい最近、今度一緒に写真の展示会をしようと誘ってもらった。今までなかなか私の写真を褒めないし、認めてくれていないと思っていたのに、なんだかんだ認めてくれるのでは?なんて浮かれてしまった。

展示をするなら私がカメラと出会ったあの小さいビルのロビーの一角がいいなとか。私みたいに授業をさぼった学生の暇が潰せる展示になったらいいなとか。あわよくばカメラを始めるきっかけになればいいなとか。そんなことを考えながらいつか実現するであろう師匠と弟子の展示会に思いを馳せているのである。