人に流されてばっかりでも、「責任は自分で取る」は徹底したい
ある日、一緒に働くメンバーから「柳井さんって、責任感強くて男気がありますよね」と言われたことがありました。
他者の意見を採用しても、最終的に「選択したのは自分だから、問題が生じても責任は自分で取る」というスタンスが助かるとのことです。
こう感じてくれているのは、とても嬉しいんですが、最初からできたわけではないんです。
人のせいにしてきたことも、たくさんありました。
連載「凡人社長の処世術」のつづきです
私の”経営哲学”をまとめていて、今日は第二段です。
前回「人に頼るを徹底している理由」をお話ししており、今回はその派生です。あわせて読んでいただくと、ストーリーがより鮮明になるかなと思います。
いつだって自分の味方でいたかった。だから他人のせいにしていた
他人を信用できなかった
私が他責の愚かさを知ったのは、柳井工業に来てからです。父の病が発覚し、会社を継ぐために野村證券(以下、野村)から転身したときのことです。
前回もお伝えしたように、柳井工業が属するプラント業界は、高学歴はかなりの少数派。大学には行かず、すぐに職人になった人もめずらしくはありません。
私は「立教出身で、前職は野村。プラントの仕事なんか、かんたんに覚えられるっしょ」と天狗になっていたんです。
最短で社長になって、もっと柳井工業を大きくしようとも思っていましたね。
そして私は、他人を信用していませんでした。
頼れるのは、自分だけ。他人の話は受け入れずに、自分の考えばかりを尊重していました。
いつだって、自分が自分の味方でいたかったのかもしれません。
自分のせいなのに、他人のせいに
時には、失敗もします。
自分の非であるのにも関わらず、「アイツが悪いんです」と他人のせいにしていたのです。自分が悪かった事実に、目を背けていたのかもしれません。
メンバーを信用せず、自分の過ちを認めないので、当然仕事はスムーズに進みません。
ふと、我に返りました。
あれ、どんどん理不尽で嫌なヤツになっているなと。大っ嫌いな人に、自分がなっているなと。
このままだと、当然リーダーにはなれません。
まずは、自分が変わらないといけない。そこで、人を信用することからはじめました。
同時に決めていたのは、人のせいにはしないこと。自責思考を徹底するように心がけたのです。
自責思考に繋げてくれた、プライドの断捨離
自責思考でやっていこう……!と意気込んでも、思考の変え方がわかりませんでした。
なので、「なぜ自分は、人を信用できないのか?」を考えてみたのです。
理由はかなりシンプルで、プライドが自分を邪魔していたのです。そこから、考え方を大胆に変えてみました。
━━学歴や経歴で人を判断しない。プライドは捨てて、わからなかったらすぐに人に聞く。教わったことはすぐに実践してみる。
自分はちっぽけだ、ということを知る
柳井工業に来てから、わからないことが盛りだくさんでした。
プラントの仕組みもむずかしかったですし、そもそも、なにから手をつければいいのかが分からない。
思い切って、先輩職人に聞くようにしました。
すると、何日かけて調べてもわからなかったことが、一発で解消したんです。
と同時に、身に染みて感じたのは━━”自分だけの力”は、たかが知れているということ。詳述は、前回のnoteで話しています。
つい私が、信頼してしまう人
よく「どんな人が信頼できますか?」「責任感のある人ってどんな人ですか?」という質問をされることがあります。
話が横道にそれちゃいますが、この機会にお答えしたいと思います。私は「反対意見を伝えてくれる人」を、ついつい信頼してしまいますね。
社会人15年目にもなると、いろんな人との出会いがあります。いい人もいれば、悪い人もいます。
誤解を恐れずにいえば、人は案外、自分の考えにこだわりがありません。
日本のお国柄的に、上司や会社の言うことは絶対という考えがあります。
実際に上司から「こう思うんだけどどうかな?」と聞かれたら、「ぼくもそう感じていました」と答える人がほとんどではないのでしょうか?
もちろん、同意見でそう答えることもあるかもしれませんが、反対意見を言って反感を買いたくない。面倒なことに、巻き込まれたくないんです。
だからこそ、私は柳井工業のメンバーには「自分の意見を持とう」と伝えています。
もし意見の衝突から問題が生じても、私が責任をとるつもりです。
結局、私が「人のせいにしない」を徹底したいワケ
私が“他責”から“自責”で考えられるようになって、わかりやすく好転していきました。
「人の意見を受け入れても、最終的には自分の責任だ」を念頭に置いているので、物事をより俯瞰し、視野をひろく考えられるようになったんです。
たとえば、メンバーの提案から新規事業がスタートするとします。
売上はどうやってあげていくのか?リスクはないのか?予算はあるのか?と考える必要がありますよね。
課題を解消していくことで、これまでの常識が覆されたり、経験が熟成されます。結果的に、守備範囲が広くなり武器になるんです。
もしも「はじめてもいいけど、あなたが責任を取ってね」的なスタンスであれば、得られない経験だと思います。むしろ、メンバーからの信頼はガタ落ちです。
だからこそ、これからも自分のためにも「人のせいにしない」を徹底していきたいですね。
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