見出し画像

「名言との対話」 3月28日。アイゼンハワー「リーダーシップとは、自分が誰かにやってほしいことを、その人に心からやりたいと思わせる術である」

ドワイト・デビッド・アイゼンハワー(1890年10月14日 - 1969年3月28日)は、アメリカ合衆国の軍人、政治家。

連合国遠征軍最高司令官、陸軍参謀総長、NATO軍最高司令官、第34代大統領を歴任した。

「努力しなければ何も得られない」を信条にする母親は、「溺れたくなければ泳ぎなさい」というような示唆に富む言葉で息子たちを厳しく教育した。

凡人に終わると思われたアイゼンハワーの人生は、3人の上司との出会いで大きく変わることになる。 副官をつとめたフォックス・コナー少将。反面教師のダグラス・マッカーサー陸軍参謀総長。心酔したジョージ・C・マーシャル陸軍参謀総長。

ソ連というライバルの封じ込め政策と穏健な保守路線をとり、大統領としての8年間は、平和と繁栄の時代となった。外に向かっては国際主義的外交政策コンセンサス路線をとる温和な君主であり、内にあっては命令ではなく穏やかな説得というスタイルをとり舞台をまわす首相のように活動した。信頼できる大統領であった。

「物腰は優雅に、行動は力強く」をモットーとしたアイゼンハワーは、仕事を通じてだんだん大きくなっていくタイプの人だ。「アイク」と呼ばれた愛称ににみるように、自身も凡人を自覚し、課題に取り組む中で非凡の域に達した偉大なる凡人である。この点、偉大さを演じたマッカーサーとは対極にある。

ハーバードケネディスクール(行政大学院)学長で、クリントン政権の国家情報会議議長をつとめたジョセフ・S・ナイ『大統領のリーダーシップ』(東洋経済新報社)を読んだ。歴代大統領をリーダーシップの面から比較した本である。ナイはアイゼンハワーを漸進型の目標を持ち、取引型スタイルをとった大統領だとみている。アイゼンハワーや父ブッシュなどの取引型の方が変革型の大統領よりも成果をあげたと結論付けている。

平凡な軍歴から出発しトップにのぼっていったアイゼンハワーにはリーダー論の名言が多い。3人の師を見、自身の体験が土台になっており、なかなか味わい深い。

「リーダーシップの究極の資質が誠実さであることには疑問の余地がない」「指揮官はまず楽観的であることが重要である。指揮に自信と情熱と楽観の匂いがなければ、勝利はおぼつかない」「将軍になどなるものじゃない。将軍になったら、山のように心配の種を背負うことになる」

原爆の使用を提言する部下には「君たちは頭がおかしくなっているにちがない。あの恐ろしいものを10年もしないうちに、もう一度アジア人に対して使うなどということができるわけがない」と拒否している。

「もし問題が解決できないのであれば、むしろそれを大きくしてみよう」、「重要なのは、戦う犬の大きなではなく、犬の闘争心の大きさである」がアイゼンハワーの問題解決のやり方であり、闘いにあたっての信念だった。そして「リーダーシップとは、自分が誰かにやってほしいことを、その人に心からやりたいと思わせる術である」というように、人間関係を土台に説得と忍耐というスタイルで部下を動かし、そしてアメリカと世界を動かしたのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?