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「名言との対話」 7月6日。ルイ・アームストロング「途中であきらめちゃいけない。途中であきらめてしまったら得るものよりも失うものの方がずっと多くなってしまう」

ルイ・アームストロング(1901年8月4日- 1971年7月6日)は、アフリカ系アメリカ人のジャズミュージシャン。

フランスの植民地として築かれた、ミシシッピ河口のニューオリンズ。ミュージシャンになるのは黒人少年の夢だった。

抜群の音感。分厚い唇。大きな口。丈夫な歯。逞しい身体。強靭な横隔膜。ルイはトランペット吹きの条件をすべて備えていた。ジョー・オリヴァという伝説の奏者との出会いによって、ニューオリンズ一のコルネット吹きになっていく。

奴隷として連れてこられた黒人たちから生まれたブルースを、夜の街の娼婦も、荒くれ男たちもうっとりと聴く。黒人たちの魂の歌だ。ルイは、コルネットから始まり、世界一美しいダミ声といわれたボーカリスト、トランペット吹きとして大活躍をする。

ユーチューブで4曲を聴いてみた。「キッス・オブ・ファイア」は、初期のヒット曲。「この素晴らしき世界」はベトナム戦争への嘆きから生まれた曲。「ハロー・トーリー!」はビートルズの3か月連続1位の記録をストップさせた映画の主題曲。代表作「聖者の行進」(聖者が街にやってくる)は黒人霊歌。葬儀場から墓地までは静かに、墓地からの帰りは明るくとい風習があった。何とも言えない人懐っこい笑顔、庶民的な表情、実に楽しそうに歌い、演奏する姿を堪能した。

「ルイ・アームストロング 少年院のラッパ吹き」を読んだ。その中から同時代の人たちの声を聞いてみよう。マイルス・デイヴィス「ルイのやることはすべて正しいよ。ルイがいなかったら、オレは何もできなかったと思うね」。セロニアス・モンク「ジャズと自由はともに行進する」。チャーリー・パーカー「音楽は体験であり、思想であり、知恵なんだ」。

そして日本人の日野皓正は「彼は自分のやるべき使命を天の声で聞いていたんじゃないかな」「サッチモはサインするときにさ、ライス&ビーンズって書いたでしょ。僕は初心忘るべからずって解釈している」と語っている。

以下、語録から。

「考えてごらんよ…24時間一流ミュージシャンの誰かしらがプレイしていたんだぜ」「20年代初期のシカゴでは、みんなミュージシャンには敬意を持って接してくれた…まるで神さまのような感じだった」「一日に百万ドル稼ぐようになったとしても、これまでとは違う自分になろうなんて思わないさ」「俺は有名になることに興味はない! 世間が騒いでいるだけ。そんなの俺じゃないぜ。俺はただ吹くだけ」「俺は高い台の上に立とうなんて思わない。自分のやっていることをありがたく思っているだけ。俺にできるのは感じるままにプレイすることしかないと思う」「本当に大切なのは観客の為に懸命にやること。だって俺は人々を喜ばせる為にいるわけだからさ」。

人類は神によって異なる言語に分断されてしまった。その絆を回復するのが音楽だ。ルイ・アームストロングは、自然発生的なジャズに、正しい音でではなく、自分なりの音でいいという個性的表現という方向性を与えた。今日に続くジャズの歴史を変えたのだ。彼がいなかったら、ジャズの歴史は変わっていたに違いない。そしてついにジャズの父、ジャズ・ヴォーカルの父となったのだ。生い立ち、出会い、出来事によって人生の方向が決まる。そして一人の力で歴史が変わる。

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