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漫才ネタ「自己紹介」

真深山「どうも四面楚歌です」
横須賀「お願いします」
真深山「まずはね、自己紹介させていただきたいなと思いまして」
横須賀「ちょっと待って」
真深山「どうしました?」
横須賀「個人的にね、あくまで個人の意見やけお、自己紹介…要らんやろ」
真深山「何でですか?」
横須賀「だってね、僕らの出番時間も限りあるし、自己紹介に割く時間一切ございませんよ」
真深山「確かに時間は大事ですけど…けどお客さんに名前覚えてもらうためにもコンビ名僕ら2人の名前ちゃんと言わないと」
横須賀「いやいや、考えてみてや、近頃インターネット普及して、人との繋がりも昔よりずっと簡単になってね」
真深山「まぁなってますね」
横須賀「だから人の人に対する興味なんて薄味ですよ。それを意に介さずお客さん相手に自己紹介なんかしてみ、どんな反応されると思う?」
真深山「どんな反応よ」
横須賀「『あっ…そうすか』」
真深山「他人行儀ね」
横須賀「与党も野党もそうなるよ」
真深山「知らんけどさ、違うやん、ここネットじゃなくて、お客さんみんな自ら漫才見に来てますから、せっかくなら名前覚えてもらわないと」
横須賀「いやいや、考えてみ? ここには漫才師コンビいっぱいますよ。みんな吉本松竹スターダストプロモーション有名な事務所所属の人らばっかり」
真深山「最後俳優メインやけどね」
横須賀「みんな見に来たのは人気コンビか未来のホープですよ。そこへね、事務所にも入ってない僕らみたいなアマチュアが出てきたらね、お客さんこう言いますよ」
真深山「何やねん」
横須賀「『はっ、きっしょ』」
真深山「鼻で笑うか」
横須賀「10人中9と4分の3人がそう言いますから」
真深山「中途半端な割合ないねん。いやいやお客さんみんなあったかい麺で見てくれますから」
横須賀「どうですかね」
真深山「事務所入ってないからね、後ろ盾なくて誰も宣伝してくれないからこそ、自分らで発信していかないと」
横須賀「それこそドツボですよ」
真深山「どういうことですか」
横須賀「考えてみて、本当に凄い才能を持ったやつだったらね、宣伝なんかしなくても売れるんですよ、米津玄師とかEveとか浦島坂田船とか」
真深山「全部ミュージシャンですけどねそれ」
横須賀「だからミュージシャンになりたいんやったら」
真深山「間違ってる。僕ら漫才師ですから」
横須賀「すいません。だからアマチュアで売れたいならむしろ売名なんてしちゃ行けないんですよ。そんなことしたら皆こうなるのよ」
真深山「どうなるの?」
横須賀「『冷めた』」
真深山「気が早い。まだ冷めるとこまで言ってない」
横須賀「辞めた方がいいですよ自己紹介なんて」
真深山「じゃあどうしたらいいのよ」
横須賀「だから漫才に力入れてお客さん笑わして、いい事務所入ろう」
真深山「もう無理やん」
両名「どうもありがとうございました」

Writer of Wide Scence