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ジャズとロックの交差点で 〜 ポール・キャラック

(3 min read)

Paul Carrack & The SWR Big Band / Don’t Wait Too Long

萩原健太さんのブログで知りました。

ジャズとロックはだいたいおんなじような音楽だというのが前々からの持論なのに、どっちの方面からも反発されること必定で、いままで(一度を除き)そんなに真正面から強くは主張してきませんでした。が、間違いありません。

ともあれジャズとロックが交差するような地点というとジャンプとかリズム&ブルーズとかってことになるわけですが、あのへん1940〜50年代あたりはアメリカン・ミュージックの歴史で最も動きがあっておもしろかった時代の一つなんですよね。

そのへんをdigった感のあるポール・キャラック(UK)の最新作『Don’t Wait Too Long』(2023)も、だから完璧ぼく好みの音楽。今回はかなりジャズ&ブルーズ寄りの古い選曲ばかりなカヴァー集で、ジャズ系の歌手があまりやらないレパートリーもありますが、料理法はジャジーです。

っていうかそれがリズム&ブルーズ的だっていうか、つまりそんな世界。それぞれ曲のオリジナル演者はだれ?っていうたぐいの情報は上記リンクの健太さんブログに載っていますので、必要とあらばぜひごらんください。

ヴァン・モリスンとかあのへんと同じ音楽なわけで、きわめてあの世代のUKロッカーらしいともいえます。ヴァンといえばCOVID-19に対する態度をみていてすっかり嫌気がさしてしまい、もう聴く気がなくなっちまいましたけど。

同じ理由でエリック・クラプトンもすっかり見放しましたが、キャラックは現在クラプトン・バンドのサポート・メンバーなんですよねえ。クラプトンみたいな(いまでは)つまらないミュージシャンについていることがキャラックの評価を低めないか心配です。

ともあれ今作、だれがアレンジしたのかわかりませんがドイツの名門SWRビッグ・バンドによる豪華でファットなホーン・アンサンブルも快感。選曲もいいし、さらにキャラックの70歳を超えて衰えぬ甘くて渋い声もみごと。ブルーズ寄りのジャズというかロックの源流というかこのへんの音楽がお好きなみなさんは舌鼓を打てる内容に仕上がっていると思います。

(written 2023.1.26)

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