「打席に立ち続けろ」の格言は本当なのか検証してみた

よくビジネスの世界では「打席に立ち続けろ」や「まずは打席に立て」などとよく言われます。これは何度も挑戦し続けないと成功しない、結果を出すにはまずは挑戦してみろという意味で使われることかと思います。さて、この「打席」という言葉は野球から取ったものかと思いますが、では本当に「野球の世界でも打席に多く立った人の方が結果を出しているのか」を検証してみたいと思います。
今回の「結果を出している」の定義は以前使ったWARを用いて「WARが高いほど結果を出している」とします。
※参考記事:2019年に"最も得をした"球団はどこか【NPB編】

対象は2019年シーズンで規制打席を到達した選手とし、その選手の打席数とWARを用います。※WARの出典は1.02 - Essence of Baseballとなります。

■打席数とWAR

打席数とWAR

横軸に打席数、縦軸にWARとなっています。
なんとなーくですが打席数が増えるに連れてWARも上がっていっていますので相関がありそうな気がします。ちなみに相関係数は0.468なのでそこそこ相関があると言っても過言ではないでしょう。つまり、WARの観点から見れば「打席に立ち続けろは正しい」という結果に。少しホッとしました。これで安心して僕もビジネスの世界で打席に立ち続けれます。

しかし、統計を知っている人的にはもう少しキレイな相関がない(≒相関係数が高い)とや、選手からするとそもそもでWARじゃなくて年俸に反映されていればある意味で勝ちなわけでそんなWARの相関なんてあんまり気にしていないという意見もあるかもしれません。そう言われればそれもそうかという感じなので「打席数と年俸の相関」についても見てみましょう。

対象は2019年シーズンで規制打席を到達した選手とし、その選手のWARと2020年の年俸(推定)を用います。※年俸の出典は「週刊ベースボールマガジン」となります。

■打席数と年俸

打席数と年俸

横軸に打席数、縦軸に年俸(億)となっています。
※秋山と筒香はMLB移籍でこのデータからは抜いています。なので「打席数とWAR」のグラフにあった700打席近くの点(秋山)がなくなっています。

今回は統計を知っている人が見れば思わずウォー(WAR)と言いたくなるような結果に...。相関係数は0.176なので相関はなく、打席数と年俸にはほとんど関係がないと言えます。つまり、年俸の観点から見れば「打席に立ち続けろは間違っている」という結果に。ただ、闇雲にたくさん打席に立ち続ければ年俸が上がるというわけではないのでプロ野球選手のみなさんは注意してください...それよりもWAR上げることに力を入れましょう。

と、ここまで「打席数とWAR」、「打席数と年俸」を見てきましたが、では気になるのが「WARと年俸に相関はあるのか」というところ。つまりは、「WAR上げれば年俸上がるの?」ってことですよね。そこで「WARと年俸」についても見てみたいと思います。(この時点でおおよそ察しつくと思いますが。

■WARと年俸

WARと年俸

横軸にWAR、縦軸に年俸(億)となっています。

これはまたまたウォー(WAR)と言いたくなるような結果に...。相関係数は0.275なので微妙なレベルですね。グラフ的にはぼんやりと相関あるようには見えなくもないと言った感じでしょうか。個人的には今のNPBの状況を見るにWARから年俸を決めているケースはほぼ稀ですし、今回は2019年単年の結果を見ていますが実際には複数年契約で過去に既に向こう何年分の給料が決まっている場合がありますので、この2つに相関があるかと言われるとないと考えた方が比較的直感には合っているかなと思います。

ここまでをまとめると
「打席数が増えれば増えるほど勝利に貢献する(WAR)可能性が上がるが年俸が上がるかはわからない」
というなんとも悲しい結果に...(笑)
どうせ勝利に貢献しているなら年俸も上がって欲しいですよね。

ただし、今回の記事のタイトルである「打席に立ち続けろ」は「勝利に貢献するという意味では本当である」と言えます。それが評価されるかどうかは球団次第、つまりはビジネスマンで言えば会社次第ということなのでプロ野球選手もある意味で我々と同じなのかもしれません...。プロ野球はWARという指標があるのでもっとWARで適切に年俸が出る時代が来るといいですね。

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