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トイレットペーパー怖い:the Toilet Paper Scare of ‘73

日曜日の朝いつものように、夫と一週間分の食料の買いだしに近所のスーパーマーケットに出かけて、驚愕した。

冗談のように、トイレットペーパーが棚から完全になくなっていた。

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勿論政府による緊急宣言がだされ、欧州から米国への渡航は禁止され、州によってすでに集会禁止のみならず、レストランやパブといったビジネスも一時停止となり、学校の休校、教会・テーマパーク・コンサート・映画館などへ行くことも禁止されている。但し、食品や日用品の物資輸送などに支障はなく、十分確保されているにも拘らず、トイレットペーパーのみが、あっという間に消失してしまった。

スーパーマーケットの店員にこの件を確認すると、今日は午前6時の開店前から多く人達がトイレットペーパーのために並んでいたという。マーケットは、1人につき2パックという限定付きで、ペーパーを通常の棚ではなく、ビジネスセンターで販売して、あっと言う間になくなったという。

なぜ危機に陥るとこの現象が洋の東西に関わらず起きるのか?コロナ禍によって、ナーバスとなった人々は、普段より不安となり、よりトイレに行きたくなるのか? コロナであろうが何であろうが、通常人々の用足しの回数は、そんなに違いはないはずなのだが...

夫によると米国の都市伝説では、1970年代オイルショックの時、TVの人気ホストJohnny Carsonが、ジョークでペーパーがなくなると言ったら(実際はそんなことはなかったが)、全米の人が翌日買いに走り、本当になくなった、という歴史がある。

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当時、彼はアメリカの顔と言ってもいいぐらいに絶大な人気を誇り、The Tonight Show Starring Johnny Carsonは、1962年から1992年まで30年間続いた国民的人気番組であった。

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丁度日本でのトイレットペーパー騒ぎが米国に報道された後、1973年12月19日、彼は “You know, we’ve got all sorts of shortages these days. But have you heard the latest? I’m not kidding. I saw it in the papers. There’s an acute shortage of…of toilet paper!” と、番組でジョークを飛ばした。これによって、10年間で2回のオイルショックを受けて、不安な気持ちに駆られていた米国消費者が、米国中のスーパーに駆け込み、棚からペーパーは一気になくなってしまった。

彼の当時の影響力の凄さを表す事例であるが、それ以上に人間が、如何に危機的な状況下で不安にさらされると、発作的に非論理的な行動に突き進むかを如実に示している。流言飛語に踊らされた集団行為によって、加速度的なペーパーの大量購入が始まり、結果製造が追いつかなくなり、人々はますます恐慌状態を起こしてしまう。

私がこうした一連の流れを見ていて、一番恐れるのは、「人間の心理とは、かくも簡単に操作される」という点である。施政者は、これを使ってもっと酷い恣意的なことをさせるチカラを持つ。冷静になれと言ってもなれない人は多いが、この集団行動に走ることだけは、避ける気構えが欲しい。

我が家のペーパーは現在12個しかないが、夫も私もパニックにはなっておらず、12個でいつまで持ちこたえられるか、検証してみたい。

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