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鏡のなかの言葉(定期購読)

映画監督松井久子が編集長となり、生き方、暮し、アート、映画、表現等について4人のプロが書くコラムと、映画づくり、ライティング、YOGA等のワークショップ、そして編集長がお勧めする… もっと読む
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2021年3月の記事一覧

つれづれ日記22 43年ぶりの再会

先日、雑誌婦人公論で女優の秋吉久美子さんと対談をさせていただいた。 今回の小説『疼くひと』の帯に秋吉さんからコメントをいただいたも、版元の中央公論新社の編集部のはからいで実現したもので、雑誌の編集部としても、小説を語り合う上でいちばん自然な人選だったのだろう。 ところが私自身は対談のその日が来るまで、とても緊張していた。 理由は、私がまだ雑誌のライターをしていた若い頃、映画界に彗星のごとく現れた女優秋吉久美子さんを取材させていただく機会が何度もあったのに、長いことお会いする

稲木紫織のアート・コラムArts & Contemporary Vol.20

現代音楽作曲家・近藤譲作品を 30年演奏し続けるピアニスト 井上郷子さんの芸術と日常の間 井上郷子さんは現代作品を軸に演奏するピアニストである。近藤譲のみならず、リユック・フェラーリ、モートン・フェルドマン、ジョン・ケージ、甲斐説宗、武満徹、松平頼暁など、多くの著名な作曲家の現代曲を初演。また、委嘱作品を演奏。近藤譲は世界的に活躍し、私が最もクリエイティブだと思っている作曲家である。「線の音楽」という彼独特の作曲方法論によって書かれた作品は、一見シンプルだが超絶技巧を要し、

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稲木紫織のアート・コラムArts & Contemporary Vol.19

ひとしく、うつくしい光とは… 野口玲写真集『こぼれおちる、 光の粒のようなもの』に心震える 2019年1月福島県南相馬市小高区村上  撮影:野口玲    「ふくしまを、ほおっておけない。たくさんのひとが波にさらわれ、いのちを失った。くらしを失った。さらに原発事故のせいで、ひとに冷たくされ、じっと目を伏せ、口をつぐんでいる。見て見ぬ振りをすることは、できなかった」という文章は、この写真を撮影した野口玲さんが、今月上梓した写真集『こぼれおちる、光の粒のようなもの』の最後に寄せ

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