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なんでこの仕事しようと思ったんですか?

漁業体験や企業研修、ボランティアなど、職場には全国各地から様々なお客さんが来る。

都会からわざわざ田舎に移住して漁港で働いてる若い女はやっぱり物珍しさがあるようで、毎回お客さんたちの興味をひき、毎回「なんでこの仕事をしようと思ったんですか?」って聞かれる。

なんでって、好きだから。
その一言に尽きる。

家業でもない限り、好きじゃないとなかなか続かないような部分も多い漁業という職業。
4K(きつい/汚い/臭い/危険)的な作業が大半を占めているけど、それに勝るくらいに自然の中での仕事を楽しめてる。
自分には一次産業が向いてたのかもしれない。

学生の頃は編集/広告関係の仕事に就くつもりで編集系インターンとしてお店の取材をしたり、フリーランスのライターさんのアシスタントをしたり、その道を歩もうと思ってそれっぽいことをしていたのだけど、
まさか漁業に携わって生計を立てているなんて、その頃の自分には全く想像もつかなかっただろう。
漁業とライターなんて、完全に違う道だもの。

きっかけは所属ゼミの先生の勧めで、被災地ボランティアで知り合った漁師さんのところで1ヶ月間アルバイトをしたことだった。

その頃の自分は、実家内でのトラブルや私生活で色々とうまくいってなくて、気持ち的にどん底。
初めから漁業に興味があったわけではなく、状況を変えるためにアルバイトに来たと言ったほうがよかった。
そんなネガティブな気持ちを抱えながら住み込みアルバイトに来たのだけど、そのおかげで今の自分があるのだから、人生何があるかわからない。

初めて乗った船。
初めての海の上。
初めて見た水揚げ風景。
初めての作業。
海の上で見た朝焼け。

アルバイト初日から、何もかもが驚きだった。いわゆる、カルチャーショックを受けたんだと思う。
自分が住んでいた環境では絶対にあり得ない、知らない世界が陸前高田にはあった。

自然の凄さに感動し、自然と共に生きている人たちを尊敬した。

そして、海の上の解放感に、落ちていた気持ちが少しずつ浮上していくような感じがした。

他にどんなことをするのか知りたいという好奇心もあって、「もう1ヶ月手伝ったら帰る」とか「1年間の作業の流れを経験したら帰る」とか言って居続けたけど、
実家に戻るたびに海から離れるさみしさを感じていて、最終的には陸前高田に住民票を移した。

好奇心と楽しさ故に、男性のみで行なっていた水揚げ作業や養殖いかだでの作業を一緒に行ったり、間引きをして捨てる予定の牡蠣の稚貝を残して個人的に籠養殖したり、ウニを見つけてはタンク養殖をしたり、船舶免許を取りに行ったり。

雇い主たちからすると、そんなことをする女は見たことないらしく、私は完全に変人だった。

それでもずっと続けていたら理解してくれて、変人の面倒を見てくれている雇い主たちに感謝しかない。

きっかけはどうであれ、ここに来てよかった。

4年近く経っても楽しいと思えてるんだから、ライターにならずに漁師になってよかったんだと思う。
(とはいえ、何かを書きたい気持ちもあるので、noteを書くことにしました)

季節ごとに変わる自然の綺麗さに感動したり、仕事で体を動かした後のご飯がめちゃくちゃおいしく感じたり、ここで生活してみて、人間らしい生活ってこういうことなんだなって感じた。

男性と比べれば格段に体力は劣るし、知らない人から見ると「よくそんな重労働できるよね」って思われる仕事かもしれないけど、大変さも含めてハマってしまってるんだから仕方ない。

好きなことをやって生活するのは難しいのかもしれないけど、少しずつでも飛び込んでやってみる価値はあると思う。

少なくとも、私は飛び込んでよかった。

これからも「なんで?」って質問されることもあるだろうけど、その度に「好きだから」って答えていくと思います。

#移住日記 #移住女子 #エッセイ
#陸前高田 #海の見える生活

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