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国語辞典が教えてくれた、急がば回れ。

「困った。全然思いつかないし書けない」
目の前のお題に対して、
全く筆が進まないのだ。

Mさんから「じぶん」というテーマを
いただいて書いてみようと思ったのだが、
日にちだけがどんどん進んでいく。

今日まで6つテーマに沿って書いていて
それまでは割と思いついて書けたし
筆もどんどん進んだ。

しかし、今までのテーマとは違う、
この感覚は何だろう。

テストで最後の一問が解けずに
ウンウン頭を抱えて
泥沼に足がはまって動けなくなる感覚。

どうにかしたいのに
どうにもならない感覚。

こうなったらもう、
動く百科事典と言ってもいい
Google先生に頼るしかない。

そう思って検索窓に
「じぶん」と打ち込む。

するとすぐに検索結果が出てきた
早い、さすがだ。

「なになに、住宅ローンのことなら
auじぶん銀行、か。
確かに知りたいワードは入っているが
違う、そうじゃないんだよ」と
1人で心の中で突っ込む。

もっとこう文学的な、
そうそう! と納得するような
回答を期待していたのに
全く違う答えが返って来た。

「じゃあ、次はYAHOO!だとどうなるか?」
もう一度「じぶん」と打ち込む。

「auじぶん銀行の住宅ローン」

「またお前か!」と突っ込んで
ページを閉じた。

こうなったら何とか答えを出したい。
違うアプローチを試みる。

「じぶんとは?」で検索をかける。
すると、ほ〜ら。
ちゃんと出てきたじゃないか。

じ‐ぶん【自分】 の解説
[代]
1 反射代名詞。その人自身。おのれ。
「―を省みる」
「―の出る幕はない」
「君は―でそう言った」

2 一人称の人代名詞。われ。わたくし。
「―がうかがいます」
[補説]江戸時代、
「御自分」の形で二人称の
人代名詞としても用いられた。

現代では「自分、昼飯すませたか」
のように、
大阪方言の会話で、
自分と同等の者に対する
親しみを表す二人称として
用いられることがある。

goo辞書より引用

「うーん、言っていることは
分かるんだけど、
分かった様な分からない様な、
何だかスッキリしない感じ。
だったら、国語辞典を引いてみよう。
どうせなら最新のがいいな」

そう決めて、
小倉セントシティ内の
喜久屋書店へ行くことにした。

エスカレーターを上がり
目の前には本の森が広がる。

書店員さんおすすめの本や
ビジネス書、小説
雑誌に漫画。

そこにはたくさんの本が
旅立ちを待つ様に並んでいる。

私が今回探しているのは
国語辞典だ。

参考書がたくさん置いてあるところに
あるだろうとあたりをつけて
本屋の通路を歩く。

美味しそうな料理の雑誌、
子供向けのミステリー小説、
昔見た懐かしい絵本などがある。

つい足を止めて物色したいが、
まずは国語辞典が先だ。

辞書のコーナーには、
たくさんの辞書・辞典。
国語辞典や漢和辞典、
古語辞典、英和辞書、
広辞苑など
たくさんあった。

どの辞典にするか
バイキングでどれを
食べようかの様に迷ったが、
目の前にあったオレンジの辞典と
目が合った。

特に帯に書いてある、
時代いまを写す辞書
辞書は”かがみ”」
というフレーズが気に入った。

早速購入してお目当ての
「じぶん」を引いてみる。

久しく辞典を引いていないので
実家の母の手料理を食べるような
何だか懐かしい感覚や思い出が
よみがえってきた。

小さい頃気になる言葉を調べたり
ちょっとえっちな言葉を
調べてドキドキしたり、
言葉と出会えた時の喜びだ。

さ行の「し」のあたりを
目掛けてめくっていく。

「しょ」と出たので
行き過ぎだ。

50音順をとっさに思い浮かべて
ページを戻す。

ふと気になる言葉があって
つい読んでみた。

「ふ〜ん、そう意味か」と
納得しながら
「じぶん」を目指す。

「ん? あの意味なんだっけ?」と
他の単語も気になり調べる。

いやいや、
今は「じぶん」を調べるんだ。

ついつい寄り道をしてしまった。
でも、計画をせずに旅行するような
思ってもいない出会いがある。

家の中の掃除をしていたのに
漫画を読み込んでしまったり、

こんなものあったんだ、と
おもちゃや洋服を眺めたり、
そんな時間を過ごせた。

そしてとうとう
お目当てである「じぶん」に
たどり着いた。

じっくり読む。
意味が書いてある。
「じぶん」を使った例文や
参考にするといい単語も紹介してある。

なるほど、こういうことだったのか。
そう今回は納得できたのだ。

調べ終わって思ったことがある。

辞書を引くって、
本を探すのと同じなんだ。

お目当ての本を見つけるまでに
思いがけない本に出会ったり、
他の本も一緒に買ってしまったり、
それと同じ様なことが
辞書を引いている間にも起きている。

何でもかんでもGoogle先生に聞いて
答えを知ったり、
ポチッとして物を
手に入れることができる時代だけど

あえて遠回りするような感覚は、
急がば回れだ!

この感覚は楽しいし
それをした人にしか味わえない。

これからもこの感覚は
大切にしていきたいと思う。

え?
国語辞典の「じぶん」には
どんなことが書いてあるかって?

その答えは国語辞典に
書いてありますよ。

《おわり》

ちなみにルビのふり方はこちらを参考にしました。


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