運も実力のうち。実力も運のうち。
自分のコントロールに及ばないことを人は「運命」と呼ぶ。しかし、人生の過程で引き起こる数々の挑戦や困難、そしてチャンスは本当に「運」なのだろうか。
プロスポーツ選手の多くは「練習の数だけ、幸運は訪れる」と語る。彼らの成功は天才的な才能や一夜にして訪れる運によるものではない。持続的な努力と経験の積み重ねが、最終的に「運」を掴み、それが結果に結びついたのだ。
一方で、我々の努力だけが運を左右するわけではない。そもそも持ち合わせた運が異なるのだ。現代社会の中で、出生や育った環境、受けた教育など、人それぞれのスタートラインが異なることは明白だ。努力しても、生まれながらに運を持ち合わせた人に勝つことは難しいことも多い。
そうして、ヒエラルキーが固定化し、多様性が失われると、社会は変革の力を失う。一方的な価値観や考え方に縛られることなく、さまざまな視点や思考を取り入れることで、真の変革やイノベーションが生まれる。
技術革新の波が世界を席巻する中、組織や社会が変化に対応する力は、その存続に直結する。だからこそ、多様性の尊重と機会の均等化は、今後の時代を生き抜くための不可欠な要素となる。だからこそ、社会における不均等なスタートラインを、社会全体で認識し、改善に向けて行動することは欠かしてはならないのだ。
運命を手のひらで転がすか、それともただ流されるだけの存在になるか。その選択は、我々自身の手に委ねられている。しかしまた同時に社会の理不尽をそのままに放置する姿勢も変えなければならない。理不尽を解消し、多様な人がその多様な価値観そのままに、生きることができる社会を創ることも目指さなければならない。
未来を創るための姿勢とは、運命を己のものとする勇気と、多様性を受け入れる柔軟性と、そして社会全体の公平性を追求する姿勢を併せ持つこと。これがこれからの時代に求められる新しいリーダーシップである。
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