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新規事業創出は、コミュニティづくりが第一歩

私たちはお客様との信頼を深めるために、コミュニティづくりにも注力しています。
市場に参入する際にお客様との関係をどうやって築くかを、私たちはとても重要視しています。
ルルレモンには世界中に約2000人、日本には22人のブランドアンバサダーがいます。
彼らは地元のスタジオオーナーや、ヨガインストラクターで、私たちのコミュニティとお客様との関係づくりをサポートしています。地域社会やお客様との橋渡し役というわけです。
また、アンバサダーはルルレモン商品へのフィードバックも積極的に行い、私たちのイノベーションを陰で支えてくれる存在でもあります。
ここで構築したお客様との直接的な関係が、商品のイノベーションにつながっています。

その時に重要になるのは、私たちが卸売りではなく、直接販売つまりD2Cのビジネスモデルであることです。
競合は、卸売りの売り上げが多く、お客様との直接的なつながりを太く持っていません。
一方、私たちは直接コミュニケーションが取れることで、商品のフィードバックなどを得て、さらに商品とビジネスをプラッシュアップさせることができるのです。
①差別化された商品、②お客様との直接的な関係(D2C)、そして③コミュニティ。
この3つの要素が合わさっているから、ルルレモンは他の競合と差別化できているのです。

ルルレモンのすごさは「着た時」にわかる

イノベーティブなプロダクトを市場に持ち込む際の最大の課題は、人類の本能

イノベーティブなプロダクトを市場に持ち込む際の最大の課題は、顧客候補たちが抱える新しいものへの懐疑心だ。

人々は自分たちが知らないもの、過去の経験から逸脱したものに、自然に警戒心を抱く。人間が安定した生活を守るために古来に得た知見であり、組み込まれた本能だ。それが市場での新しい商品やサービスの採用の大きな障壁となる。

アーリーアダプターからムーブメントを生み出す

だから新しい商品やサービスを成功させるためには、初期の顧客獲得が非常に重要なのだ。マーケティングテクニックで無理やりに作られたムーブメントは長続きしない。広告宣伝費がかかり続けてしまう。1stPinをアーリーアダプターにしっかりと刺し、彼らが自発的にムーブメントを作り出すような、圧倒的な提供価値をしっかりと作り上げることが重要だ。

初期の顧客群であるアーリーアダプターは、新しいものに対する好奇心が旺盛であり、新しいトレンドを追求する傾向がある。彼らは「ジブンゴト」として消費行動をとるため、新しい商品やサービスに早い段階で取り組むことが期待される。そこに、イノベーティブで圧倒的な提供価値をしっかりと刺すことによって、彼らが熱狂し始めたら、イノベーションの始まりだ。

イノベーションのステップアップ:コミュニティ組成からマーケティング戦略へ

もちろんアーリーアダプターの取り込みだけでは不十分である。彼らが熱狂し始めたのを単に指を咥えて見ているだけではダメ。彼らを中心としたコミュニティづくりを行い、その熱狂をムーブメントまで昇華させる。

そして、そのコミュニティを通じてアーリーマジョリティを取り込む。アーリーマジョリティは「ナカマゴト」で動く性質を持つため、コミュニティに所属することで新しいものを受け入れやすくなる。ムーブメントは加速していく。

この二つの層を取り込んだ上で、ムーブメントが起これば、それをテクニカルにマーケティング戦略に乗せて社会に発信していく。「ヨノナカゴト」で動くレイトマジョリティにリーチしていく。

新規事業のアプローチは、D2Cに学ぶ

多くの企業は、このプロセスの中で顧客との関係を深化させることの重要性を理解している。既存事業のマーケティングはまさにこれを行っているだろう。しかしこれを構造的に理解している社員は少なく、新規事業に取り組むときには意識から外れてしまう。

新規事業の良いところは起案者と顧客が直接的なコミュニケーションを取れることだ。既存事業は代理店や小売などを通じてしか顧客と接点が取れない。多くの企業は顧客とは直接的にはコミュニケーションが取れてないのだ。

直接的なコミュニケーションを取ることで、商品のフィードバックやニーズの把握が可能となり、それを元に商品やサービスを改良していく。D2C(Direct to Consumer)のビジネススキームを、新規事業の1stPinに取り入れることで、顧客との直接的なつながりを確立し、フィードバックループを実現できる。

イノベーションを成功させる3つの要素

新規事業のアプローチは、差別化された価値の提供お客様との直接的な関係の構築、そして強固なコミュニティづくりの3つの要素に基づいている。これらの要素が組み合わさることで、イノベーティブなプロダクトが市場で成功を収める確率が高まる。

最終的にイノベーションは一歩一歩、確実にその順番でしか進めることはできない。初期の顧客を中心としたコミュニティづくりは、新しい商品やサービスの成功への鍵であり、企業にとってその価値は計り知れない。


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