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ゲシュタルト Ⅱ


創造


自分が見たいものしか見えていない世界を、色眼鏡をはずして全てフラットな状態で見るにはどうしたらいいのでしょうか。
残念ながら人である以上、そのようなことはほぼ不可能に近いですが、少しづつでも見方を変化させてゆくことで確実に人生は楽しいものになってゆくでしょう。

人が何かを知覚する際に、私たちは個々のパーツを見る前に全体性を認識します。
下図にあるように、○を横並びに2つ描いて、その○同士の間真ん中から下に短い縦線を一本描き、その下に横線を描くと、○が2つと棒が2本書いてあるとは思いません。


人の顔のように見えるはずです。
このように人の脳は、全体は部分の総和以上に捉える力を持っています。

創造とはおそらく、膨大な情報をインプットした思考の中で、それらの情報をゲシュタルトの力によって関連性を見つけ出し、ひとつ上の概念に昇華することだと言うことができると思います。

インプットという言葉を使うと、ただの入力のようですが、人は本来ただその時に興味があることを制約がない環境であれば、知らず知らずに、うっかり知ってしまい、そのままどこまでも知り尽くそうとするのが人の性でしょう。
その時間が結果的に何になるかなんて考えなくてもいいのです。研究とはそういうことなのです。
自分の興味の対象がわからない時は、その時に気になっていることで取り掛かる事ができることから、とにかく経験をしていくしかないのです。

沢山の情報をインプットすることで、新たな思考をするための構成要素が増えていき、それによって表現の準備が整っていきます。
思考に行き詰まったら頭の片隅にとりあえず置いておき、並列して他の興味がある事に取り組みます。
手をつけはじめた事は、無意識が少しづつ情報処理をしてくれますので、暫く時間をかけ無意識に情報処理をさせることによって、全体は部分の総和以上、つまり、構成要素一つ一つの集まりから、一つ上のまとまりとして昇華した認識に変化します。

たとえば、人→哺乳類→動物→生物→地球にいる→宇宙にいる→物質→存在→エネルギー
これらの例えはそれぞれの主観によって議論があると思いますが仮の例えとして見てください。
人の上位概念は哺乳類で、哺乳類の上位概念は動物といったように、哺乳類は鹿、猪、イルカなども含みますので「人」より一言で沢山の哺乳類を包摂するので上位概念になります。
哺乳類の上位概念「動物」は、哺乳類を含む他の両生類、爬虫類、鳥類などの全ての動物を含みますので、哺乳類と動物では、動物が上位概念となります。

このように、抽象度が一段階上がることによって、言葉の表現は単純になっていきますが、単純な言葉に包摂されている意味は増えているので、情報のエネルギーは高くなっていきます。
点と点の共通点を見出すことによって、新たな考え方が湧き上がってくることに期待します。
思考の後はゆったりとする事で無意識に思考が整理されてまとまり、新たなゲシュタルトが構築されます。
どうしても解けない問題があるときに、諦めて一晩寝て朝起きたら答えがわかったという経験は誰にでもはあると思います。


人は自分にとって重要なことしか認識することができません。
また、一度しか見たり聞いたりしたことは、認識することができないのです。
2度目に見た時に(あっ、どこかで見たことがある)と重要性を感じて初めて認識する事ができます。
同じことを2回以上繰り返さなければ、認識すらできないのです。
もし、誰かに大切なことを伝えたければ、
伝えると決めて、何度でも伝わるまで、いろいろな比喩を使いながら伝えきってください。
私がここに書いて伝えたいことがありますが、全てを短い文で伝えることは難しいので、一つひとつのお話として書いたことを人に備わっているゲシュタルトの能力で、さらに昇華していただければ幸いです。

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