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アドリブする時のアイデア

僕の最初のジャズピアノの先生、加藤さんはアドリブに関しては自分で考える様に、頭の中のメロディーを紡ぎ出す様に、としか教えてくれませんでした。人の真似をするな、自分の音を出すことが、上達の近道だとそういうことだったのだと思います。
それで、僕はアドリブを練習するにあたって、トランスプリクションとかリックを練習するとかいうことを全くしたことがありません。

そんなわけで自己流でアドリブのやり方を研究しています。どんな事を考えてアドリブをしているのか、参考に書き出してみます。


バッキングのパターンをたくさん持つ

アドリブをする際に、ガイドノートとして、普段バッキングに使っている音の組み合わせを使えます。AフォームとBフォームを基本にして、右手一本で考えられる音の組み合わせをバリエーション多く持っていると、それだけで使える音使いも色々な選択肢を持つことができます。
下記にmajor 7、minor 7、dominant 7で、僕が考えているバッキングの音の組み合わせを紹介しています。アドリブの基本材料の様なものですね。

9thを使う

9thの音は、♭9thを使う場合を除いて、オールマイティーに使えて、とてもスタイリッシュに響く音です。音の組み合わせを考える場合、ルートの代わりに9thを使う、ルートに合わせて9thを使う、3度に合わせて9thを使う、エンディングのターゲットノートを9thにする等、9th tensionのアイデアは多方面に使えます。

コードノートを含むフレーズにする

3度と7度あるいは6度のコードノートは、そのコードらしさを表すとても有効な音です。特にsecondary dominantとして現れるスケール外のコードトーンは、とても重要な音です。フレーズの中で適切に使うと効果的です。

コードトーンにこだわらないフレーズとする

前段と相反する考えですが、常にコードトーン1つないし2つを含むラインを考えていると、いつも同じ様なフレーズになって、マンネリ化してしまいます。ある程度、このコードトーンを使うフレーズに慣れたら、そこから脱却して、コードトーンにこだわらず、より自由なメロディアスなアドリブフレーズにしていくことも大切だと考えています。

ターゲットノートの設定

アドリブをどこで終わらせるかと考えると、その音に向けてのラインの流れを考えていくことになります。その際に、終わらせる音とその終止形のイメージを持っていると、自分の思った雰囲気でアドリブを収束させることができます。

  1. root:多くの曲でメロディーの最終音はルート音になっています。とても安定感のある、如何にもといった雰囲気の終止音になります。そのため一時期、ベタな収束感になるのでルート音を使うことを極力避けていたのですが、フレーズによると、やはりルートで終わることがとても自然なことが多い。そのため、今ではルート音で収束させることもよくあります。

  2. 3rd:3度音はメジャーコードかマイナーコードの特徴音なので、そのコード感の強い終わり方になります。

  3. 5th:ルートと完全共和音となっているので、印象としては、ルートとよく似た雰囲気の終わり方になります。

  4. 9th:この音はとても浮遊感のある終始感になります。

右手を休ませて、左手で合いの手を入れる

ピアノのアドリブは、左右両方の手で演奏することができます。ですのて、右手のフレーズの一息ついたところに、左手でバッキングのコードあるいはフレーズを加えて構成することができます。

半音音程を使う

音の組み合わせを考えて、最後のターゲットノートにいく一つ前に、半音音程を使うことが有効なことがあります。これは、ジャズが調性から離れた音を使うことを好むので、ジャズらしく聞こえる音使いの一種なのだろうと考えています。
ジャズの理論でも、delayed resolveという考え方があります。ターゲットノートの前に1つから3つ程度の音を絡ませるという手法です。これも、長2度や短2度の音を複数組み合わせています。半音上下からのアプローチを拡張しているものと考えています。

裏拍を強調する場合としない場合

コンボバンドの練習をしている際に、先生から僕の演奏はジャズらしいフレーズに聞こえないと言われたことがあります。それは、ビ・バップ的なフレーズに聞こえないということだったのだと理解しています。
普段聴いているジャズがピアノを主体にしたもので、これにヴォーカルやギターが絡んでくるものが多く、僕はチャーリー・パーカーの演奏などはほとんど聞いていません。それで自分で奏でるフレーズがビ・バップ的でない傾向があるのだろうと考えています。それで、あらためてDonna LeeやConfirmationなどの曲を練習して、ビ・バップの感覚をつかみ直しました。

しかし、ジャズのアプローチは自由であると考えると、このビ・バップ的であるか否かは選択的に考えて然るべきだろうと思っています。曲調に合わせてフレーズのアプローチを変えて、ビ・バップ、ボサノバ、メロディアスなもの、それぞれに相応しい表現をするのが大切だろうと考えています。

小節の塊ごとにアプローチを変える

ジャズピアニストの先生に、2コーラス3コーラスと連なるアドリブをどの様に構成したら良いのか尋ねたことがあります。その時に教えてもらったのは、4小節なり8小節なりの塊で、それぞれに音域を変えてみるとか、音数を少ないものから多いものへ変えていくというアイデアです。それを連ねることで、長くコーラスを繰り返すアドリブでも、変化をつけて組み立てていくことができる。
実際にプロのアドリブの演奏を聴いていても、その様に構成されていることが多いですね。

既存の曲のメロディーを度数で分析する

これは、転調を練習すると必然的にマスターしないといけないことです。それぞれのコード音に対して、メロディーがどのような度数の組み合わせているかを常に分析していると、それをアドリブに生かすことができます。

この様なことを考えながら、自分なりにジャズピアノを楽しんでいます。

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