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【吃音】「相談したい!」「紹介したい」と思ったときに感じる困難

 吃音には、発達性吃音と獲得性吃音があります。発達性吃音は、幼児期から発症するもので、2~5歳頃からみられる先天的なものです。獲得性吃音は、脳血管疾患や精神疾患等が原因で発症する後天的なものです。吃音の約95%は発達性吃音と言われています。また、幼児期では5%、児童期~成人では1%の割合で吃音者がいるとされており、全国で120万人以上と推計されます。一方、失語症者は全国で約50万人と推計されており、失語症者よりも数は多い状況です。

 当院の吃音リハビリ外来の問い合わせ数および受診者数です。2017年4月の新規開設からの4年間での延べ人数は、新規問い合わせ数294名、新規受診者数244名で、年々受診者数も増加しています。2020年度の実績は、新規問い合わせ数109名、新規受診者数85名でした。年代は、小児から成人まで幅広く、県内からの来院者だけでなく、県外からの来院者も多数おります。


 これだけ多くの方から受診希望の連絡がある背景には、インターネットで情報検索や情報収集をしている方が多いこと、病院ホームページに情報を載せていることがあります。実際、当院の吃音リハビリ外来の受診希望者の77%はホームページをみて病院の情報を知った方です。先日お問い合わせのあった成人の方も、「『吃音』で検索すると、(茨城県では)他の病院・施設の情報は見当たらない」とおっしゃっていました。吃音相談を行っている病院は全国的にみても数が少なく、専門的に診ている病院・機関はさらに希少だといえます。また、吃音相談に関する情報をホームページに掲載している病院・機関が少ないのも事実です。情報をホームページに出している病院・機関、相談に応じることのできる病院・機関が少ないということは、相談したい・紹介したいと思う人たちが情報を得たくても得られない、自力では受診先を見つけられない事態になってしまいます。また、相談できそうな病院・機関をせっかく見つけたのに、相談希望者が多くて、数ヶ月待ちと言われたり、新規相談受付を一時的にストップしている状況という病院・機関もあります。

 言語聴覚士の皆様や各病院・機関の方々の中には、「吃音を診ていきたいけど、どのように展開していけば良いか」「疾患別リハは、何で算定すれば良いか」等の不安や疑問があり、なかなか一歩を踏み出せない場合も多くあると思います。実際、私のところにも、ご連絡・ご相談が度々あります。吃音相談を積極的に行ってくださる病院・機関や専門家の先生方、ホームページ等に情報を出していただける病院・機関が今後増えてくれることを願うばかりです。

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