夏休みの日記、その二

8月14日(木)
きょうは、なにもなかった。(小学生の日記風)
いや。
本当に何もなかった。
一日中パソコンに向かってゲームしてた。
飽きたらアニメDVD観てた。
そんな日があってもいい。
むしろ。
そんな日ばっかの夏休みを五年間、いやいや十年以上過ごしている。
あれ?
なんか落ち込んできましたよ?
どうも。
キタナカです。

という訳で、15日。

「自転車に、乗らないか?」
阿部さん?
「それは『や ら な い か?』!!」
分かりにくいボケに、ツッコミどもです。
「あ~いやいや。…じゃなくて!」
どうして突然そんなことを言い出すのか? と、キタナカは不思議な顔をしてみせた。
「説明口調やめいっ!」

まぁ良い。乗ろうじゃないか。で?どこに行くんだ?
「うん。高尾の方に行ったついでに、私は親族の墓参りに行きたいな、と」
墓参りとは、また辛気臭い。だが、山方面に走るのも悪くない。
「多摩川サイクリングロードを使っても行けるよ?」
ますます悪くない。

という訳で。
「高尾に着けば、生体ナビゲーター付で楽チンだわい」サイクリングにGO!
だって。
俺自身は「うろ覚えの方向音痴」と「絶対、裏目に出る野生の勘」を併せ持った、「ナチュラルボーン迷子ニスト」ですからね。
土地勘がある人と一緒に走るほうが心強い。

走り出して、すぐ気付いたこと。
思いのほか、日差しが強い。
荻窪出発。
環八>甲州街道>鶴川街道>多摩サイに入った頃には、既にドリンク切れ。
セブンイレブンを目指し走り始めるも、魂は「しんなり」とし始める。

以下、つまらない展開なので、かいつまんで。
セブンイレブンで補給。
万願寺付近で、国道256号に入る。
暑さでクラクラするのでコンビニで二リットルのミネラルウォーターを買い、頭からかぶる。
※普通のTシャツにハーフパンツだったので、しばらく乾かず後悔する
復活。
日野の、大きな工場の横をパス。
国道20号と合流して、真っ直ぐ。
八王子を通過。

「迷子王」と呼ばれた俺が無事、高尾に到着。
奇跡だ! さぁ、後は頼んだぞチャッピー!
「わんわ~ん☆…って、なんでやね~ん!」

いやー。人の後ろを走ってれば良いってのはいいやね。
「いつも車で来てるから、ちょっと遠回りカモ?」
確かに、地図で下調べしたところだと右折してるハズのポイントを、とっくに過ぎてる。
「でも、間違いないから」
おう! 多少の遠回りは、むしろご褒美だぜ!

(20分経過)

なんか、めっさ山っぽくなってきてるんだけど…。本当に、この道知ってるんだよな?
「こくこく」
よし、信じた!
「あ、この山を越した先の十字路を右折するんだよ」
ほう、具体的な話がでてきたから信憑性があるな。
「大丈夫。大した山じゃないから、スグ終わるよ」

(5分経過)

で?「この山」ってのは、いつ終わるんだ?(若干息切れ気味)
「疲れた。休む」
あ~! お前、どんだけフリーダムなんだよ? 俺の質問に答えろっつの!
「きゅう…」(道端の日陰に自転車と共に退避)
分かった、その十字路があるかどうか確かめてくる! そこで休んでろ!

500m。
1000m。
1500m。
上り坂が終わる気配なし。
先を考えずに(というか、すぐ終わると信じて)走ってるので、心拍数は180オーバー。
苦しいぞコレ。

携帯を手にとる。
「『大した山じゃない』ってレベルじゃねーぞ!」と電話を入れ…ようとするも「圏外」。
やむなく、下る。
ほどなく、フラフラと上ってくる姿を捕捉。

「はひぃ。辛(つら)~」
おう、休憩終わったか。(Uターンして、併走しながら)
「あう。補給が足りてないから血が足りない~」(<必死で坂を漕ぎ上る)
おぉ、「カリ城」の真似をする余裕があるなら大丈夫だな。
「大丈夫じゃない!」
でさ。
「ん~?」
この先、一キロくらいは坂が続いてるぞ? 絶対お前が道を間違えてると確信してんだけどさ。
「!」
戻らなくていいのか?
「もっと早く言え~!」
いや、君がナビ役だろ?
「むー」

結局、上ることにした。
まぁ、脚自体は大丈夫だ。
ここまでで六十キロ弱しか走ってないし、斜度もそれほどじゃない。
奥武蔵で泣きそうになった時よりは余裕がある。
で、頂上に辿り着く。
待つために、しばし休憩。

(5分後)

よっ、お疲れさん。
「こんな長かったかなぁ? 車とだと違うのカモー」(肩で息しながら)
いや…。普通に道を間違えてるんだと思うぞ。
「そんなことない!」
普通に高尾から7~8km走ってるからな。絶対違うだろ?
「とにかく、下(くだ)ゆ!」
いや、待て! 下ったら絶対、同じだけ上るんだぞ! 分かってるよな?

やむなく、先へと脚を進める。

ちょちょ! ちょっと止まれ!!
「せっかくの下りなのにぃ…」
なぁ…。お前の行く霊園って、『大垂水峠を越えないと行けない』んか?
「ん~ん」(「ふるふる」と首を横に振る)
いや、この石碑。

画像1

「あるぅぇ~?」
おまいは魅音か! ってか、もっと早く気付け!!
「一本道だから、間違えてない…」
間違えてないんなら、ココに書いてある文字を読んでみろよ!
「オオダルミトウゲ」
片仮名読みすなっ!
「いやぁ。道理で『ちょっと』長いと思ったんだよねぇ」(テレテレ)
「ちょっと」ってレベルじゃねー!
「まぁまぁ。人間、誰しも間違いがあるでしょ?」
おまいの人生、間違いだらけだよ。
「いやいや。キタナカに言われるのはショックだわ、それ」
うっせーわい! 「一本道で迷う」奴に言われたかないわ!

「でもさ、夏休みの思い出ができたね☆」
良い話っぽくすな!
「てひひ」
で? 墓参りは、この後に行くんか?
「うぅん、お腹空いた。ソバ食べよう」
はぁぁぁ。

という訳で、そこでUターン。
ソバを食べて帰ったとさ。
ちゃんちゃん♪

本日の走行距離:98.5km
本日の消費カロリー:3,800Kcal

――三回くらい「この道でいいんだよな!?」と聞きましたよ俺ぁ。

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