知識がない野球の「初夢」

王監督が俺に言うのです。
「君のような知識のない人間が必要なんだ! 抑えてくれ!」

日本シリーズのデイゲーム(あるのか?)
俺は今、日本シリーズ横浜対ダイエーのマウンドに立っています。
8回表、ノーアウト。
敵の打順は8番から。
2点のビハインド。
なんか俺、抑えの切り札みたいです。
そして俺は、何故かスーツを着ています。

キャッチャーはサインを出しているけど、正直な話よく分からない。
っつか、投げ分けるとかそういうコトできないし。

ヘロヘロの球がキャッチャーのミットを捕らえる。
打者は見送り。
審判からは「ットライーッッ!」のコール。
思わず、審判を振り返る打者。
審判は無視。
結果、俺のヘロヘロ球で逆にタイミングを掴めず三者凡退。

裏。
2点取り返す。
同点で迎えた9回表。
王監督が、俺の元に来て言う。
「もう、お前の投球は読まれてる。これからクリンナップの流れは抑えられないだろう。だが、私は君に期待している」
発奮する俺。
確か、カーブの握りはこうだったよな?
それともフォークの握りを試してみるか……。
よし、フォークだ!

初球。
指に引っ掛かり大暴投。
やっぱ無理か。

2球目。
デッドボール。
降板。

「ま、いいか」なんつって学生生活課に行く。
知り合いと出会い「俺さ、日本シリーズで投げちゃったよ」。

大学の二号館の方から走ってくる報道陣。
『キタナカさん! 中々の好投でしたね?』
んー、まぁね。
『どういう理由で、ダイエーに!?』
スカウト。
『職業は?』
去年までサラリーマンですが、今はフリーです。
『ほほう』
何か、就職紹介してくださいよ。ピッチャーじゃ食っていけそうにないからね、ははっ。

ウザいので学食へ。
友人達がたむろしてるので、大盛のラーメンを頼むと激しく大きい丼。

いやぁ、俺さぁ日本シリーズで投げたらマスコミが煩くってさぁ。
「そうか、大変だなぁ」
あ、ところでラーメン多すぎるから食べないか?
「ん」

…。
……。
相当に端折ってるけど、こんな初夢でした。
本当はバッターの考えてる事が聞こえてくる、野球漫画のような夢だったのですがね。

この夢をフロイト的に分析すると……。
いや、分析するまでもありません。
要は、「努力しないで人に認められたい」とか「仕事がない不安」とか、そういう事でしょう。

――「書こう」と思った時点では面白い夢だと思ったのですが、書いてみればこの体たらくです。

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