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エジンバラ大学で進められているブロックチェーン技術開発

昨年末、エジンバラ大学に訪問し、そこで発表されたスマートコントラクト向けのブロックチェーン技術に関するカンファレンスに参加させていただきました。

そのときの模様をCNETで下記記事として公開させていただいています。

ブロックチェーンを用いた新たなスマート・コントラクト技術Plutus(プルータス)とは?

こちらの記事に関しては、かなりの方にご覧になっていただけたようで、多くの反響をいただくことができました。

そこで、この記事では触れることができなかった点などいくつか補足で紹介させていただきたいと思います。

エジンバラ大学のブロックチェーン・ラボ

エジンバラ大学以外にも、アテネ大学、そして東京工業大学にも、IOHK社などの支援による開設されているブロックチェーン技術のラボ。

エジンバラ大学では、各研究生がどのようなことに取り組んでいるのかという話をきくことができました。

お会いしたメンバーにはイギリス以外の出身の人がほとんどで、アテネ大学でブロックチェーン研究所があることもあり、ギリシャ出身のメンバーが多く参加していることがとても印象に残りました。

BTL(ブロックチェーン・テクノロジー・ラボ)で取り組まれていること。ブロックチェーンや分散台帳技術に関する基本的な研究、セキュリティーとパフォーマンスに関する取り組み、そしてそれをオープンソースとして共有していくこと。

注目を集めているスマート・コントラクトですが、今、注目されているイーサリアムではパフォーマンス的にも課題が多く、第三の仮想通貨技術がこうした課題へのブレイクスルーとなってくるのでしょうか。

こうしたことがかつての金融の中心であったイギリスという国で行われているのも興味深いところです。

エジンバラ大学のBayes Center

このブロックチェーン技術研究所以外にも、エジンバラ大学にはBayes Centerといういろいろなラボが入った新しい建物があります。

Bayesはベイズの定理の数学者、トーマス・ベイズさんからきています。彼はちょうど300年前の1719年に、このエジンバラ大学に入学しました。

中にはCentre for Roboticsも設置されており、NASAとの共同研究も行っていたり、

80年代から研究されてきたロボットが展示されていました。

こちらは80年代の多脚ロボット。

エジンバラ大学では、スタートアップや大企業と共同でエコシステムの構築にもつとめていて、大学がその中心的なハブとなっています。

このあたりは個人的にとても興味がある領域ですので、またエジンバラに再訪してじっくりと回ってみたいところです。

Haskellベールか?JavaScriptベースか?

このエジンバラ大学ですが、プログラミング言語教育、研究も盛んなところで、特にHaskellにゆかりがある場所であることは前述の記事でも紹介させていただきました。

私自身は、プログラミングには詳しくないのですが、Haskellであれば論理矛盾が起きにくく、コンパイルが通ったものであれば、論理エラーが生じないようで、昨今起こっているような仮想通貨の流出といったリスクも、Haskellベースであれば低減するようです。

いっぽうで、世間全般では、JavaScriptなどより平易に記述できるプログラミング言語が人気のようです。JavaScriptはIOHK社が進めているカルダノでもIELEというブロックチェーンのVirutal Machineでサポートされているようですが、今後、Haskellベースの関数型プログラミング言語がブロックチェーン技術において主流となっていくのか、それともWebサービスでみられる流れと同じように、JavaScriptベースやPythonベースの言語がメインとなっていくのか、どのように推移していくのかに興味を持ちました。

こちらはカンファレンス内で紹介されたスライドのひとつ。カンファレンスではJavaScriptと似ているSolidityを使ったスマートコントラクトの開発についても紹介されていました。

カンファレンスで配布されていた、スマートコントラクト言語Plutus(Haskellベース)のプログラムを紹介したナプキン。コードを書くことができない、金融関係者でもGUIベースでプログラミングを記述できるツールが紹介されていましたが、日本では、こうした数式を理解できる金融関係者は少ない気がします。

スマートコントラクト普及には、いかにこうした実装の敷居を下げるかと同時に、ブロックチェーン技術に熟知したエンジニアを育成していくかが鍵となってくるのでしょうね。

そしてそれはアメリカよりも、ブロックチェーン技術に関心の高い東欧や新興国、このエジンバラのような場所から出てくるのかもしれないと感じさせられました。

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