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場末のスナック

僕は女の子のいる店に行かない。あのお世辞と噂話と意味のない会話がどうにも我慢できないのだ。時間が無駄に思える。実は酒をつがれるのが好きではないし、煙草に火を点けられるのも好きではない。そんなもん、自分のペースでやらせろよ…と感じてしまう。ゲイバーならたまに行く。ショーは好きではないけれど、あの人たちのプロ意識にはすさまじいものがあって勉強になる。いろいろ訊いているうちに時間が過ぎる。おなべの店はだめだ。いろいろ訊いてみたけれど、話にも世界観にも深みがない。

僕は基本的にコンテンツ主義だ。だから、呑みながら情報交換するか議論するかを旨としている。馬鹿話をするのはよく知っている親しい人たちとだけである。セミナー後の懇親会でも、女の子たちに近づいていくことはない。まあ、煙草を吸うから端っこに座り、煙草の煙がかかってもいいような親しい人間の近くにしか座らない…ということもあるけれど。ここ1年で女の子と隣り合わせたのは、米子くらいではないだろうか(笑)。あの子たちはあまりの免疫のなさがおもしろかった。

さて、なんでこんなことを書いているのかというと、最近、セミナーの懇親会にも、FBにも、同じような傾向を感じているからだ。要するに、お世辞と噂話と意味のない会話である。もしも、そういうホステスがするような会話をすることが「つながる」ということなのだとしたら、そういうつながりを僕は必要としていない。ちゃんとコンテンツを持っていて、僕にも学ばせてくれる人、僕の世界観を広げてくれる人と僕はつきあいたい。

そうそう。ツアーに出たとき、60くらいのおばちゃんがやっている場末のスナックみたいなところならよく行く。ツアーに出ると、最初の夜が一人ということがよくある。そういうときは地元の何かおいしいものとおいしい酒を飲んでみたいわけだが、ネットで調べても当たり外れがある。僕らを招いてくれるのは若い人が多いので、そういう人たちは僕が食べたいものを出すような店を知らない。そこで場末のスナックなのだ。古くさい看板に「○子」と「子」のつく名前のスナックを探す。間違いなく、すぐに見つかる。そうすると、若くても五十代後半、多くは六十代のママが一人でやっている。たいていは19時過ぎくらいだから、他に客はいない。そこでビールを1本呑み、ママ手作りの切り干し大根とかマリネとかをつまみながら、さりげなくその地のおいしいもの、うまい酒を聞き出す。そしてそれがどこで食べられるのかを聞く。言われた通りの店に行き、言われた通りのものを注文すると、100%ハズレがない。スナックへの投資も2000円くらいだから、安いものである。おじさんには最高の手法だ(笑)。

これは佐藤浩市が何かのインタビューで言っていたのをまねたものだ。確かに百発百中の手法である。これはみんな追試してみるといい(笑)。

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