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仮想通貨流出の件、あの日わたしは1日中Twitterを追っていた。

仮想通貨を購入するには、どこかの取引所に会員登録をする必要があるらしい。そんなことも知らないレベルの、仮想通貨における情報弱者な私は、2018年の1月27日、一日中Twitterを追っていた。

なぜこんなにも興味を示したのか。

1つには、ちょうどこの事件の数日前にコインチェック(以下、CC)の会員登録を済ませ、来週頃には仮想通貨の購入をしてみようと考えていた矢先の出来事だった、というのは大きい。

何も損失は被ってはいないけれど、たまたまあのタイミングでちょっとした当事者になっていた。そこであの580億円相当の仮想通貨の不正アクセス問題。追わずにはいられなかった。


仮想通貨に関してはまったくの無知ではあったが、多くのツイートを眺めていく中で、状況は段々と分かってきた。

CCがホームページで謳っていたはずのセキュリティが適切になされていなかったのが流出のそもそもの原因だったと。

本来であれば、コールドウォレットと呼ばれるインターネットから隔離された場所に保管すべきところを、ホットウォレットというオンライン上で保管してしまっていたとのこと。

その理由については記者会見で、技術者の人数やセキュリティ対策の難しさから後回しにしていたとのこと。つまり、ホームページ上に記載されていた内容は事実上「嘘」だったことになる。


と、ここまではテレビのニュースでも流れているような当たり障りのない普通の情報。こんなことを伝えるために今日ここで記事を書いているわけではない。

今日ここに書こうと思ったのは、投機目的の仮想通貨クラスタの人たちのツイートや、悪質ハッカー(クラッカー)が奪い去った580億円相当のNEMを特定しようと努めるNEM財団の17歳女子高生のホワイト・ハッカーの活躍(ここについてはまた後ほど触れる)。

そしてその動きを見守るIT業界の経営者たちやNEMを保有しているのであろうネット界隈の著名人たち。そして値動きを冷静に見守る投資家たちの発言が、非常に非常に興味深かった。

そんな中で、「仮想通貨は終わった…」「だからそんなギャンブルみたいなもの…」「こりゃ倒産確実だね…」みたいなツイートはほぼゴミ同然な内容なのでスクリーニングにかけていく。

資本主義経済を根本から変えていくかもしれない仮想通貨における今回の事件は、本当にさまざまな人たちの脳内がツイートによって引き出された、とんでもない1日だったと私は思っている。

あの日、私は1日かけてTwitterのツイートを追うことで見えてきた、これからの生き方の本質のようなものを書いていきたいと思う。


1つは、ccの和田社長率いる取締役メンバーたちの動き。

和田社長はSTORYS.JP などを開発した人間の一人で、スタートアップ界隈では有名な人だったそう。ビリギャルなどのヒット作も生んだ彼が仮想通貨のビジネスになぜ参入したのか?

それは、1つにはSTORYS.JP という自分史を語る文化を自らの手で広げることの難しさを実感したことから、次の事業は時流に乗ったものを手掛けようと考えていたらしい。

金融の知識になかった彼だが、当時はインターネット初心者でも分かりやすい仮想通貨の取引所がなかったことから、そこにビジネスチャンスを見いだしチャレンジしたという。

結果、倒産を囁かれたccではあったが、記者会見の翌日(ほぼ数時間後)には意思決定を下し、被害を被った方々への補償を決定する。しかも自己資本によってだというから驚きだ。

その男気のようなものに、Twitter の仮想通貨クラスタの人たちは沸いた。もう二度と戻ってこないかもとあきらめていたお金が返ってくることになったのだから喜びはハンパじゃない。

さて。

私はここまでの流れで興味深かったのは、経済ジャーナリストや年配の方々の多くが「倒産」の2文字を想定しているようなツイートが多い中、スタートアップ界隈の若き経営者たちは、少し違うシナリオを描いていた。

他社に比べ手数料の高いccは、出川哲郎さんを起用したCMを売っているところなども考慮した上で、もしかすると想定を超えた資金を保有しているのではという見方。

実際、NEMという通貨はビットコインなどと比較してもマイナーで、Twitter上ではどうやら草コインなんて呼ばれ方をしている。

そのNEMだけで580億円相当のものを保有していたとなると、その他で残り12種類の通貨を扱うccの資金はもしかしたらとんでもないんじゃないか、我々の想像をはるかに超えているのでは?という見方。

一方で、記者会見のあの動揺具合から察するに、おそらく全額を自社返済できる資金力はなく、その代わりにこれから明らかに伸びるであろう仮想通貨のビジネスに参入できるチャンスを見込んで、どこかのIT会社が買収、または後ろ盾するのではという見方。

世間が「仮想通貨オワタ」「火葬通貨だな」「倒産は免れないっしょ」「金返せ!」と騒いでいる頃、若き経営者たちは次のシナリオを想定しながら、ビジネスチャンスや投資のタイミングを伺っているようだった。

実際、27日の深夜には「仮想通貨アイドル」の記者会見が行われていた。どうやらccを経由して、各種仮想通貨によってアイドルに給料が支払われているらしく、この事態によって「無休労働になる」ことを宣言していた。

あるお笑い芸人(ラララライ♪の人)とかは、貯金全部なくなった、仕事くれとツイートしていたし、東国原さんに限っては「ビットコインチェックを私も検討していた」「ブロックチェーン管理してなかったらしい」などのツイートをして炎上していた。

ビットコインチェックではなく、コインチェックという取引所名だし、ブロックチェーン管理されているのではなく、コールドウォレット管理がされていなかったのが実際のところ。

Facebook のことを、Face Time Book と言ってるような感じで、影響力のある方なんだから恥ずかしい発言はお控えくださいとツイートの返信が埋まっていた。

そういえば、仮想通貨NEMを開発したNEM財団はシンガポールに拠点があるらしいが、日本の経済ジャーナリストの誰かが、

「NEMは中国の仮想通貨で、日本では渋谷系の若者に人気があるようです」という訳の分からない発言をして、その件でもTwitterは沸いていた。経済ジャーナリストを語る人たちでさえ、このリテラシーの低さ。

そもそも仮想通貨は、ブロックチェーンという、取引のすべてをみんなで監視し合える仕組みで不正がほぼできない仕組みになっているため安全性が謳われていた。

しかし今回のように、取引所がそもそもインターネットから隔離されたオフラインのコールドウォレット管理をしていなかったり、取引所で購入したコインをユーザーもユーザーで自分のウォレットで管理していれば被害はこんなには広がらなかったはずなのだ。

つまり、ブロックチェーンがどんなに安全でも、それを扱う私たちのリテラシーが低ければその安全性も意味がなく、結果、仮想通貨の業界全体を見た時に、「仮想通貨は危ない」となってしまうわけだ。


さて、ここで話を変えよう。

世間がそんな風に騒いでいる中、どうやら仮想通貨の業界にはHF(ハードフォーク)と呼ばれる、ようは不正な取引があった場合にコインの価値を無力化、なかったことにできるような仕組みをcc側が要請したのではというツイートが流れ始めた。(HFについて詳しくはご自身で調べてください…^^;)

しかし、ccのHFの要請に、NEMを開発したNEM財団がそれを拒否。その代わりに、17歳の女子高生ハッカーに依頼して犯人を突き止めるという…!

ここでまたTwitter が沸いた。まるでドラマ怪盗山猫で広瀬すずが演じたハッカー、高杉真央のようだ。

プロフィールには「RIN, MIZUNASHI(JK17)」と書かれ、アイコンは初音ミクを思わせる二次元女性キャラクター。

…一体誰なんだ??

経歴を私なりに調べてみると、公式のプロフィールには1994年にMac World Expo というものに参加し講演している。どう考えても17歳はありえない。

色々調べるうちに、どこかのタイミングで本人が「I'm 48 years old birthday this year.」みたいなことを書いているのを発見。

どうやら女子高生を名乗るのはエンジニア界隈では当たり前のことらしい(なんていうツイートも見かけた。真意は分からない)。


そうこうしているうちに、与沢翼さんなど、同じく若きスタートアップ経営者が「一斉に出金したらccは倒産する。そうではなく、こういう時こそみんなで支えよう。そのためにできることは出金をせず、見守り、そしてccを利用し続けることだ」みたいな話が出てくる。

記者会見をした記者たちは、まるで文春砲なマスコミよろしく、「どうやって責任取るつもりですか!」「セキュリティが甘かったってことでいいですか!」「これだけの被害、最悪な場合どうなると思いますか!」みたいな詰めよることに嬉々とし、どうにも進展性がない。

そもそも、確かにセキュリティを甘く見積もっていたccには大きな責任はあるが、もっと大事なのは、盗んだ悪質なハッカーが一番の悪玉だってこと。

日本の歴史から見ても580億円が盗まれるという大事を、なぜか悪質ハッカーの方にはまったく視点をもたず、ccの責任追及に終始。日本の悪いところ。いじめようと決めたら、自殺するまでいじめ抜く文化。大人も子供も変わりない。


そんな中、本当に記者会見から数時間後の深夜、ccは倒産せず、自己資金によって被害にあったNEMの補償を行うという方向性を示す。

国や大企業であればこんな短時間での意思決定はありえないと、またTwitter上は沸いた。あの27歳の若造、やるではないかと。

対処法としては、日本円のJPYによって補償がされるということで、そのレートは88円そこらだったと思う。

日本円によって戻されるということで、10円台で買っていた人は得をし、100円台で買った人は損切りという形になった。長期保有で投資運用をしていた人も思わぬところで利益確定となってしまったという側面もある。

結果、仮想通貨のままであれば発生しなかったものが、日本円に強制的に変えられてしまったことで利益確定。課税対象の可能性が出てきた。実際、ここをどうするのかは今後の様子を見ないことには分からない。

そんな中、ccが倒産せず返金するというニュースを出したタイミングでNEMを買う人たちも急増。暴落した価値がわずか数分で急騰。投機目的の人たちは冷静にこのシナリオも想定していたのであろう。


そして一夜が明けた。


あのとんでもない事件がリアルタイムで日本国内、世界各地でツイートされ、情報が錯そうした。

朝刊では、すでにccが返金の方向性を公式ホームページで謳っているにもかかわらず「仮想通貨580億円流出。返金の見通し立たず」なんていう見出しで、まるでカメのような遅さの情報伝達速度だと思った。

しかも記者の主観によって事実はだいぶ変わっていて、よくもまあこれまでの日本はこんな情報操作された中でやってきたよなとか、そんなことを思ってしまう(とはいえ、まだまだ情報操作されている中で生きていることに違いはない)。

そういえば小ネタとして、ちょうど仮想通貨の不正アクセスの翌日に「池上彰のビットコイン解説」の番組が行われていて、こちらもツイッターは盛り上がった。

池上さんが「数年前にビットコイン114億円が消失するマウントゴックス社の事件がありましたが…」と言うたびに、「いやいや!昨日起きてるから!しかも日本で!!」みたいに盛り上がっていた。


改めてこの1日はなんだったのかと振り返る。

そんな折、はあちゅうさんがツイートした内容にとても納得する自分がいた。

ニュアンスとしては、優秀な経営者の方ほど、自分も被害者側としてこの事件の渦中にいたとしても、冷静に態度をみせ、今回の件で自分のお金がなくなったとしても、これからの仮想通貨の未来をより良くするために考えていこうじゃないか、という前向きな空気が流れていたよね、という内容。

そう。私も含め、事件だ事件だと野次馬魂を出しているような経営者は、優秀になればなるほど皆無に近くなるのかもしれない。

経営者には胆力がある。こういうとんでもないことが起きた時にこそ冷静さを発揮し、課題解決に向けていまできる最善の手を考え続けている。

今回の仮想通貨NEMの不正アクセス、流出事件をTwitter上で1日追う中で私が見たものは、経営者の胆力、底力、冷静さのようなものだった。

仮想通貨は、これからの世界にとって重要なもの。ここで終わらせるのではなく、これをいかにチャンスに変えていくかという姿勢が現れていた。

そして事実、ccの代表取締役の和田社長も、27歳にしてその胆力を発揮してくれた。これからまた色々とニュースが出る中で事実は変わるかもしれないが、私がみたこの事件の1つの裏側では、そんな経営者たちのドラマが眠っていた。

「ビットコインチェック」だとか「ブロックチェーン管理」だとか「NEMは中国の仮想通貨で渋谷の若者に人気」とか、そんなリテラシーではいたくないし、経営者としての胆力を身につけていきたいなと、そんなことを感じた1日だった。


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ライター / ブランドエディター。ビジネスをする個人やチームの「熱狂」をストーリーで紡ぎ伝える専門家。1,000名以上の女性起業家を支援してきた起業コンサル実績を活かした新型ホームページ更新サービス『オウンドメディア編集室』を提供中。未来の働き方とその本質を考察します。
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