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第18話. 「デザインのむきだし展」初日。人と感情とリンクする。(青春電波小説「デザインのむきだし」)

 どうも! 永井弘人(アトオシ)だよ。突然ですが、「挨拶」はデザインです。

 これからの時代。「つくるもの(デザインなど)」は、「つくり手自身」の「振る舞い・背景ストーリー」といっしょに評価されるでしょう。

 で・す・の・で!

“儲けがありゃあ、接する人に不親切でもいいじゃん!”
“いい表現できてりゃあ、どんな振る舞いしてても、ええんや!”

 …という「結果さえ」出してりゃOK! という時代は終わり(終わる、っちゅーか、瞬間風速が強いだけで、長く続かない)、「純粋な心地よい継続」には、やっぱ、「人の力が必要で、人の応援が必要」ですわい。

 だもんで、

・ よろしくお願いします。
・ ありがとうございます。
・ これからも、よろしくお願いします!

 …の「つくり手から発する挨拶」は、「純粋な心地よい継続」のための「デザイン」とも言えるわけです。

 最高の一日は、気持ちいい挨拶から! 最高の人生も、気持ちいい挨拶から!

 うっほ、今回はそんな話しだよ!!

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「あらすじ・コンセプト・目次」はコチラ
「第17話. 無意味の意味よ。もう一度。」はコチラ

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 いよいよ、「デザインのむきだし展」開催。本番。

 どん底までヘコんだ出来事の数々。しかし、お客さんを向かい入れるにあたって、辛気くさい表情は絶対に見せられない。気持ちを切り替え、最高の出迎えをしよう。貴重な時間をつくって、ギャラリーまで足を運んでくれるんだ。当然だ。

 金・土・日の開催。僕は全日、すべての時間、在廊する。金曜は祝日にあたり、世間は3連休。今日は初日。いざ。

  *

 散歩コースにある、1階ギャラリーにしたのは狙い通り。ふらっと入ってきてくれる人が本当にたくさん。

 中芽白というシュレオツな土地柄、年齢層は20〜30代がより多く、男女問わずって感じかな。でもでも、10代、40代以上の方々も来てくれている。

 必ず、心がけていること。会場を入るお客さんが見えたら、僕から、「来場御礼の挨拶をして、『デザインのむきだし展』のコンセプト・順路を簡潔に伝える」

 たまに、クリエイター系個展に訪れると、初見のお客さんが入ってきているのに、主催者が挨拶もなく、自分の友人・知人とくっちゃべっているのを見かける。あれは、非常にもったいない。

 つくり手の人から一言挨拶があった方が、「これから見始める作品たちの印象も良くなる」はず。

 当たり前だけど、来場される一人一人、「人間」なのだ。「人間」には「感情」がある。「感情」は、「作品を見て生まれる」オンリーじゃなく、「つくり手を見て生まれる」ものでもある。

 「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」って言葉があるように、「私、無視されている!」という負の「感情」を抱いたまま、作品を見たらどうなるだろう? 「“つくり手”憎けりゃ“作品”まで憎い」ってなっちゃうかもよん。まぁ、作品に罪はない、なんて考え方もあるんでむずかしいとこですが……。

 人と接するにあたり、「感情」の「プラスマイナス0(ゼロ)」はないと考えている。「マイナス:負:むかつく」か「プラス:正:よろこぶ」のどっちかだ。

 であれば、「負」ではなく、「正」の「感情」を抱いたまま、作品を見た方が、絶対にお互い気持ちいい。心地いい。

 だから、率先して、僕から挨拶するし、説明するのだ。塩梅のいい丁寧さ。んだんだ。もちろん、見終わった人にも、御礼を伝える。ありがたいことに、やむことのない来場者の方々。満足いただく、対応の連続。

 昼、夕方、夜……。

  *

 ……初日が終わった。「デザインのむきだし展」を振り返る。いただいた反応、リアクションからの気づき。

 来場いただいた方より多くの声。「こんなデザイン展を待っていた」。これからの時代、「つくり手」は上っ面のいいとこ取りではなく。ダサいとこ、悲しみ、喜び、恋愛……自身に起こる、「想い・感情のリアル」も見せる。分離しない。だからこそ、共感や理解につながるんじゃなかろうか。

 夜、ほろ酔いでギャラリーに入ってきた、シャレたカップル。巻髪茶髪のギャル風お姉さんが、オモシローイ! なんていいながら、文章を読み、イケイケ彼氏と会話をしている。2人は赤くほてった顔で僕の方を向き、「デザインっすね!」と言う。

 これだ。流れでふらっと入れる場所。主役は、個々一人一人の日常であり、生活なんだ。

 僕は、まだプロのデザイナーでもないし、開催場所は、金座や六本林にあるような有名ギャラリーじゃない。微力だけど……ではなく、「微力だからこそ」やる意味がある。そうだろう?

 目の前で、2歳の女の子が展示パネルをバンバン! とぶっ叩く。それでいい。本能のまま、動き続けろ。その勢いを忘れちゃだめよ。

 人の喜ぶ顔を見た。「SNS、見てきました!」「フライヤー、見てきました!」……直接、以外のメディアの強さを知った。あふれんばかりの甘い差し入れに、しばらくコンビニでの間食購入は不要になった。

 大きめリュックをしょった、金髪一重のかわいい女の子が、とても長い時間をかけて、作品ひとつひとつをじっくり、ゆっくりと見てくれた。僕はその様子をじっと見つめていた。かわいいな……どこ見てんだ! いや、いろんな意味で、“かわいい”なんだよ! おわかり?

 部活帰りだろうか、制服姿の女子高校生が、ぜんぶのパネルを見終わった後、「進路とか、将来に不安がある」って語ってくれた。涙目だった。「“悩む”ことは改善に向かって、必死になっている証拠。つまり、“正常”だ」。高橋からメイド喫茶で聞いた話しを、そのまま伝える。

 僕もエラそうなことなんて言えないよ。いろいろやって全部がダメダメで、僕も高校卒業間近、逃げるように、この世界に初めて足を踏み入れたんだよ。こわかったよ。

 でも、なんとか踏ん張っている。悩みながら、進んでいる。これが、“正常”だ。元気が出る。この状態を楽しむ。エンタメのように。

  *

 開催初日を終えた瞬間。身体に残っていた搬入と設営疲れがジンジンと蘇り、ギャラリーのコンクリ床にそのまま眠る。

 午後11時、背中の痛さと寒さで起きる。ギャラリーは大きなマンションの1階にあって、地下には複数の部屋。夜遅いのにもかかわらず、人の話し声やダンス練習の音が聞こえる。みんな、がんばってんな。

 明日は2日目だ。体調を整えなくては。ぐるぐるとミックスされた想いに包まれながら、終電近い電車に乗り、家路につく。

 はっきりとした記憶はないけど、ベッドに倒れた瞬間、眠っていた。

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◎ 次の話、「第19話. 『デザインのむきだし展』中日。複雑な来訪者。」はコチラです。
「あらすじ・コンセプト・目次」はコチラをご覧ください。

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グラフィックデザイナー。グッドデザイン賞受賞。東京デザイナー学院講師。日本タイポ協会会員。YouTube→bit.ly/2KHHgo1 著書「デザイナーになる!MdN」→https://amzn.to/2USvPvi デザイン事例サイト→https://atooshi.com

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