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生命なんて存在しなければいいのに

望んだわけでもないのに勝手に生み落とされて、社会の中で生きていくことを求められる。望んで生まれたわけじゃないのに制度的にも倫理的にもさまざまな義務を課され、違反すれば弾かれる。さらに生まれなんてものもあって、医者の息子に生まれれば医者を継ぐことを求められる。王室に生まれでもしたら一挙手一投足を監視され、相応の振る舞いを期待され、ご自身の立場を弁えろなどと言われる。

望んで生まれてきたわけでもましてや望んでその血筋に生まれてきたわけでもない。勝手に生命ガチャを引かれたから存在しているだけなのに、勝手に期待され、求められ、生きていかなければならない。

そもそも人間に生まれるのも犬に生まれるのもアメンボに生まれるのも完全に運だ。でもたまたまその種に生まれてしまったら、その種の役割を果たすように生きていくことが本能に組み込まれてしまう。

生命は生きる方に向かうようプログラムされている。死にたいといくら強く思ったところで腹は減るし眠くなる。死にたいと思えば空腹を感じなくなってある日突然栄養失調で死ねるようにはなっていない。生きることが本能に組み込まれていて、自分を構成するすべての器官はそれに倣った動作をする。してしまう。生まれた時点でゲームオーバー。

こんな不幸な連鎖なんてもうやめられたらいいのに。生命なんて初めから存在しなければよかったのになぁ。幸せがない代わりに不幸もない平穏な世界のままであってほしかった。生命の起源が恨めしい。

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