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君に勝ちたかったのか、君に負けてほしかったのか

揺れる車窓を眺めながら過去の私に問いかけられる。

稚拙ながら目の前のことだけ考えていて、君に勝つことばかり考えていたあの頃の。稚拙と表現したけれど今ではもう戻れない場所にいたのなら、もっと畏怖するべきなのかもしれない。

初めは確かに前者だったけれどいつしか目的がすり替わってしまっていた。

同義のようでまったく異なるその言葉が痛く突き刺さってくるのは現在の私の苦悩を明確に言い当てているから。

言葉にも聞こえない言葉みたいなやたらと高い叫びは別の誰かに向けるふりをして実はずっと自分自身に向けていたのかもしれない。

まるで予言者だなと人のいない早朝の列車でそっと笑いをかみ殺す。

愉快だ。世界は結局のところ見たいようにしか見えないし世界に蝕まれていると感じるのならばそれは自分で自分を蝕んでいるだけのこと。

デッドロック

長い間ずっとデッドロックされたままだった。

無理にコミットしようとしても壊れてしまう。壊れてしまうことを知っているから対象を外に向けて自分自身を守ろうとしていた。

エンジニアであるにも関わらず不覚にもごく簡単な解消方法に思い至らないままここまできてしまった。

元に戻すにはロールバックするしかない。

絵描きの見た景色

見た景色が緑色だろうとそれを青で描きたいのなら青で描けばいい。

外は雨だろうと晴れだと解釈すればそう描けばいい。

絵描きは常に多数のそれらしき解釈よりも自分の心に映った景色をカンバスに描く。

流れる車窓の遠くに

早朝の列車は闇を抜けて私をここまで連れてきた。

この列車はどこまで行くのだろう。どこまでも行けたらいいな。

ネバダの空を駆ける戦闘機、南国のハイビスカス、花の咲き誇る美しきアルザスの街並み、入れ替わり立ち替わり車窓は忘れていた夢を思い出させてくれる。

まだ揺られていたい。永遠に夢を見ていられますように。

私はまたあの場所に戻ろうと思う。

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