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綴り方

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2020年11月の記事一覧

抜け出すために飛び込んだ世界であたしは溺れて死んでしまいそう

抜け出すために飛び込んだ世界であたしは溺れて死んでしまいそう

だけどそれもいいかもしれないなと思う。どうせ真実なんてどこにもないんだから。

都合の良い虚構真実なんて存在しているようでその実どこにも存在していない。虚構を真実だと思いこませようとする人間と虚構を真実だと思いこんだふりをする人間でこの世界は回っている。何もかもは都合よく存在することを求められるのであってありのままの姿を素直にさらけ出すことほど愚かなことはない。

重苦しく開かれた唇も謝罪の言葉も

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君に勝ちたかったのか、君に負けてほしかったのか

君に勝ちたかったのか、君に負けてほしかったのか

揺れる車窓を眺めながら過去の私に問いかけられる。

稚拙ながら目の前のことだけ考えていて、君に勝つことばかり考えていたあの頃の。稚拙と表現したけれど今ではもう戻れない場所にいたのなら、もっと畏怖するべきなのかもしれない。

初めは確かに前者だったけれどいつしか目的がすり替わってしまっていた。

同義のようでまったく異なるその言葉が痛く突き刺さってくるのは現在の私の苦悩を明確に言い当てているから。

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星のみえない満月の夜、旅人は荒野を歩く

普段であれば頭上に広がる星々は満月のまばゆい光にかき消されて姿を隠してしまっている。
荒野を支配する月の光はどこか寒々しく、岩と枯草ばかりの表情のない大地をよりいっそう寂しげな色彩に染めあげる。

故郷に置いてきたものはどれも取るに足らないものばかりだったが、こんな夜はなぜだか妙に思い出ばかりが甦る。

大地を蹴る足音と砂をさらっていく微かな風の音以外、耳に入るものは何もない。
静寂の地を旅人は歩

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私ではない誰かになるために

私ではない誰かになるために

頑張れば誰かになれると思って、新しいことをすれば私であることを辞められると思って、だけど結局私は私でしかいられないってことを突き付けられて、だから頑張ることを辞めてしまう。

常に私は私じゃない誰かになりたかった。私の人生から抜け出して他の誰かの人生を歩んでみたかった。私は私のことが嫌いだけれどそれに具体的な理由はなくて、あるとしたらそれは私が私であるからに他ならない。私は私のことが嫌いだから私の

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