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ASOで陥りがちな失敗と回避策 〜脱初心者!明日から使えるASO対策〜

こんにちは!Reproの稲田(@HirotoInada)です!

先日開催した「明日から使えるASO対策!〜手は尽くした?そんなあなたに届けます~」のセミナーが非常に好評であったため、今回は「ASOで陥りがちな失敗と回避策 〜脱初心者!明日から使えるASO対策〜」をテーマにnoteを執筆します。

このnoteを読むことで、キーワード・クリエイティブ・その他の要素ごとにどのような対策をすることで、さらに効果が出るASO対策ができるのかが理解できます!

キーワード編

キーワードの設定位置を意識していない

キーワードの設定位置を意識せずに対策をしていると、本来は獲得できたはずのDL数を失っている恐れがある。

特にAndroidでは、同じ詳細な説明文という要素の中でも、設定する位置によってインデックスの強度が異なる仕様になっていると言われている。具体的には詳細な説明文の冒頭176文字に含まれるキーワードがより強くインデックスされるため重要になる。

上記の理由より、冒頭に冗長な説明を持ってくるのではなく、簡潔にアプリの価値訴求をしつつ重要なキーワードを含めるように、設定位置を意識するのが有効である。

ちなみに、iOSでは、設定位置はインデックスには影響を及ぼさないと言われているが、稀にキーワードを要素の前半部分に含める方が効果が出るケースもあるので検証も必要ではある。

ただし、冒頭にキーワードを設定することで何のアプリなのかがユーザーに伝わりづらなくなる可能性もあるので、自社のアプリの認知度を考慮して設定位置を決定するのをおすすめする。

重要なキーワードを分割してしまっている

ここ数年でかなりアプリストアの検索エンジンは賢くなっているものの、依然運営社側が意図していないようなキーワードの認識をしてしまうケースも存在する。

極端な例ではあるが、「マンガアプリ」とキーワードを認識して欲しいのに、「マンガア」「プリ」のようにそれぞれ意味がないキーワードとしてインデックスされてしまうケースもある。

こういった場合は、キーワードをあえて分割せずに単一のキーワードとして設定するのが有効である。

特にiOSではApp Store Connectキーワードでカンマ区切りでキーワードを含めることで、かなりの確率で単一のキーワードとして認識させることができるようになる。

例えばApp Store Connectキーワードでは「マンガアプリ」を設定し、タイトルには「マンガ」と「アプリ」を含めておけば、「マンガ」・「アプリ」・「マンガアプリ」の3キーワードでインデックスされる可能性が高まる。

キーワードが重複しており文字数としては無駄にはなるが、絶対にインデックスさせたいキーワードがある場合は、部分的に重複を発生させるのはASO施策としては有効である。

検索ボリュームデータを更新していない

検索ボリューム(ユーザーがアプリストアで特定のキーワードをどのくらい検索しているかの人気度を表す指標)は頻繁に更新されるものであるため、過去に一度取得したその当時のデータだけを頼りに対策をしていると、全く見当違いの施策になってしまう可能性がある。

例えば、以下はコロナ禍における「旅行」・「フードデリバリー」のアプリストアでの検索ボリューム推移を示したグラフであるが、社会情勢に応じて大きくその検索量が変化しているのが見て取れる。

特に、iOSではアプリストアの検索機能に2つの機能が登場しており、検索ボリュームを変動させるのに拍車をかけている。

①表記揺れキーワードの自動補完機能
表記揺れキーワードなどを検索した際に、自動的に正規の表現に補完して検索結果を表示する機能。
表記揺れキーワードの検索結果はそもそも表示されず、自動的に正規の表現の検索結果が表示されるため、元々発生していた表記揺れキーワードからの流入が消滅している可能性がある。

②検索サジェスト機能
検索したキーワードに関連した単語を検索窓に表示し、ユーザーがタップすることで複合語検索ができる機能。
今まで対策をしてこなかった想定していない新たな複合語が登場している可能性もある。

こうした理由より、ASO施策を検討・振り返りする際には、その時点での最新の検索ボリュームを使用し、定常的に検索ボリュームの推移を観察して先手を打つのが重要になる。

アプリ説明文に過度にこだわり過ぎている

アプリの説明文の構成や文章にこだわっている方もいるかと思うが、純粋なASO対策的観点から見ると、アプリ説明文は対策優先度としては非常に低くなる。

というのも、実際に説明文を読むユーザーは全体の2%未満と言われており、こだわっていてもユーザーにはほとんど影響がないのである。

特に、iOSでは説明文内のキーワードはインデックス対象ではないため、説明文を整えるよりも、後述のプロモーションテキストをこだわる方が遥かにASOの効果が出やすい。
もちろん、アプリの使い方やサポートの窓口などの情報を載せておくべきという意見も理解できるが、こだわりすぎる必要がないというのがポイントである。

尚、Androidでは説明文もインデックスの対象になるため、説明文の最後にキーワードを含める施策は依然有効ではあるが、かつてに比べるとかなり効力が弱くなっているため、キーワードの詰め込みすぎには注意が必要だ。

検索ボリュームが大きいキーワードばかり対策している

ASOにおいて、検索ボリュームが大きいキーワード、すなわち大きなユーザー流入が見込まれるキーワードを対策するのは非常に重要ではあるが、ただ闇雲に検索ボリュームを追い求めるのは効果が出づらい。

アプリストアにおいては、実際にそのキーワードからダウンロードが発生しているか、キーワードとの関連性も検索エンジンが重視するようになっている。
例えば、極端な例ではあるが、いくらDL数が大きいからといってゲームアプリが「マンガ」で1位を取れるかというとそういうわけではない。

つまり、アプリと関連があるキーワードの中でも最も流入が見込まれるキーワードを選定するのがASOにおいては重要になる。

では、このアプリとキーワードの関連度・相性をどのように判定するかであるが、それぞれのOSで手法が存在する。

まず、iOSに関しては、Apple Search Adsに出稿していれば管理コンソール上でキーワードごとのCTR・CVRのパフォーマンスが確認できる。
次に、Androidに関しては、Google Play Console上で同様の指標が確認可能である。

こうした数値を用いることで、どのような意図でユーザーがアプリを検索・インストールしているかが推察できるため、有効なキーワードの炙り出しが非常に容易になる。

広告とのカニバリゼーションを意識していない

特にiOSでは、Apple Search Adsが検索連動広告なのもあり、オーガニック検索と広告が食い合う、いわゆるカニバリゼーションの影響が大きく出がちである。

ただ、このカニバリゼーション、必ずしも全てが全て悪いとは言えない。
この善悪は大きく以下の3つにキーワードを分類することで判断ができる。

①自社指名:
・基本は広告も出稿した方が良い。
・競合アプリがストア最上部に表示されるよりは防衛した方が良いという考え方。

②競合指名:
・広告・オーガニック検索両方で対策する。
・自社アプリが表示されれば、ストア最上部で競合アプリを挟むことが可能になる。攻撃策の1つして検討。

③一般キーワード:
・後述のオーガニック上位表示難易度と獲得コストの両軸を考慮して検討。

一般キーワードに関しては、以下の4象限を用いて広告・オーガニックどちらで積極的に狙うかを検討するのが有効だ。

重要なのは、カニバリゼーションしてもいいケースとしない方がいいケースを分けて考えることである。
非常に細かい運用になり手間がかかるものではあるが、ASOだけでない獲得全体のパフォーマンスにも影響を及ぼすポイントになるので押さえておきたい。

クリエイティブ編

フィーチャーグラフィックのセーフティエリアを意識していない

Androidでは、プレビュー動画を設定している場合・アプリがストアでフィーチャーをされた場合 にフィーチャーグラフィックがファーストビューに表示されるが、端末によっては上下左右の端がトリミングされるケースがある。

以下は、設定されているフィーチャグラフィック本体と、ストアでの実際の見え方を比較したものであるが、画像の端がトリミングされて文章が途中で切れているのが分かる。

このように、セーフティエリア外に、訴求をしたい重要な要素を配置していると、ユーザーに意図しない形で表示され、ダウンロードに繋がりづらくなる恐れがある。

Play Consoleヘルプにフィーチャーグラフィックの仕様に関して詳細が記載されているため、チェックしておくことをおすすめする。

プレビュー動画のサムネイルを設定していない

プレビュー動画には、「自動的に再生する」設定と「Wifi環境下のみで再生する」設定が存在している。
後者のユーザーに対しては非Wifi環境である場合、デフォルトで設定されているサムネイル箇所が表示される仕様になっており、サムネイルを正しく設定しないとアプリがユーザーの目に魅力的に映らない可能性がある。

効果的なサムネイルとしては、通常のスクリーンショットと同様に一目でどのようなアプリなのか・どのような価値を提供するのかが分かるようにするのが良い。
ゲームアプリの場合は、ゲームキャラを一堂に会し、ロゴを含めてアイキャッチとする例が多い。

プレビュー動画作成においては、動画としての構成・内容も重要ではあるが、サムネイルになるような箇所が動画内に含まれているか(※iOSでは動画内の特定箇所をサムネイルとして指定する)を意識するのもポイントである。

プロモーションテキストを適切に設定していない

iOSではプロモーションテキストを審査なしで自由に設定・変更することが可能だが、使いこなせていないケースが非常に多い。

前述の通り、ほとんどのユーザーは説明文の詳細を読まないため、ファーストビューで表示されるプロモーションテキストでアプリの魅力を簡潔に伝えるのが重要になる。

プロモーションテキストを設定する上で意識するべきポイントは以下の3点。

1点目は、どの端末に合わせるのかが重要になるが、それぞれのOSの管理コンソール上で、自社アプリの利用OS・端末の比率が分かるので、それに応じて最適化をするのがよいだろう。

その他

ユーザーレビューに適切に対応していない

近年、アプリストア上でのアプリの視認性(カテゴリ内順位・フィーチャー・キーワード検索順位など)の決定において、ユーザーレビューの影響度は非常に大きくなってきており、適切に対応するのが重要である。
(特に、Googleは公式にアプリストアでの視認性決定ロジックにおいて、ユーザー評価・レビューの占める比重を大きくしていく方針を発表している)

ユーザーレビューに対応する上で重要なポイントは以下の3点。

①ブラックハット対策を行わない
②悪いレビューに真摯に対応する
③良いレビューにも対応する

まず、1点目のブラックハット対策であるが、サクラレビューの投稿による水増し・レビューのクリーニングなどが該当する。
こうした手法はアプリストア黎明期から存在するが、近年レビュー操作に対する検知・ペナルティはどんどん厳しくなっており、効果は非常に瞬間風速的なものになってきている。
地道ではあるが、この後の2点目・3点目の対応をするのが長期的なユーザー評価・レビューの向上に繋がる。

次に、2点目のよくある失敗例として、レビューが荒れた際に良いレビューだけに対応を行い、悪いレビューを隠そうとする行為が挙げられる。この行為の顛末のほとんどは、さらに悪いレビューを呼び寄せることになっている。
これは、ユーザー側としては意見を挙げているのに、都合の良い意見だけ反応して、無視されている・隠蔽されていると感じてしまうのが理由であると考えられる。
悪いレビューが発生した際には真摯に対応をすること。その行為が最終的には不満の要因が解消された際の評価見直しにも繋がる。

最後に、3点目は見落としがちであるが、良いレビューにも対応をするべきということだ。
わざわざ時間を使って意見、しかも好意がある意見を寄せてくれているわけなので、感謝の意を丁寧に示すのが重要である。
こうした行為をすることにより、ユーザー側としては何かあれば運営は話を聞いてくれるという安心感が醸成されるため、他のユーザーからの良いレビューを引き寄せることができるようになる。

ベンチマーク数値を意識しすぎている

アプリ分析ツールが公開しているダウンロード率などのベンチマーク数値を意識しすぎて、到底到達できない目標値に向かって検証を繰り返すケースが多く見られる。

ベンチマークは目標を検討する上では一定有用ではあるが、各種条件の元に恣意的に算出がされている数値であるため、鵜呑みにするのは危険である。
例えば、「ライフスタイル」カテゴリには多種多様なアプリの種類が含まれているし、アプリの種類が絞り込まれていてもアプリの規模が無視されていることがほとんどである。

重要なのは、検証を行うことで、自社の現状と伸び幅を明らかにして、現実的な目標値設定を行うことである。

非現実的な目標値設定をしてしまうと、本来優先するべき改善要素を後回しにしてしまうことに繋がるため、気をつけるべきポイントである。

継続的にASO施策を実施していない

ASO対策は一回きりのものではなく、継続的に運用をしていくものである。
競合環境の激化・アルゴリズムの変動・プラットフォームの検索機能仕様変更など、様々な要因でかつての施策の効果は逓減していく構造になっている。

特に、2021年以降はIDFAのオプトイン化により広告パフォーマンスが悪化したことで、ASOに何らかの方法で取り組むアプリ事業者の割合は8割以上と大幅に増加しており、以前よりもASOの効果が継続しづらくなってきている。

実際、ASO施策を行わない期間が一定続くと、検索順位・DL数は大きく落ち込み、仮に施策を再回しても当初の水準まで回復するのには非常に時間がかかるようになる。

赤の縦線がアプリのバージョンアップデート日

これは多くのカテゴリで当てはまり、ASO施策を継続的に実施しないと、全体カテゴリ平均でオーガニックDL数は半分近くまで減少することもある。
特に、アプリ数が多い・広告出稿額が大きい・関連検索キーワードが多い ようなカテゴリではその傾向は顕著になっている。

大事なのでもう一度記述するが、ASO対策は一回きりのものではなく、継続的に運用をしていくものである。


最後に:

以上、キーワード・クリエイティブ・その他の3つの要素区分に分けて、脱初心者のためのASO施策のポイントを説明してきました。

細かい施策もあったりはしますが、この積み重ねが競合アプリに差をつける要素になったりするので、ぜひどこまでできているかはチェックしてみてください!

ぜひこのnoteの感想やご意見をTwitterで教えてください!
https://twitter.com/HirotoInada

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