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誰でも楽めるビリヤード『フリーゲーム 』のススメ

ビミョーですよね、ビリヤードって。
イマイチ盛り上がらない。難しすぎるから。
なかなか球が入らないし、点も入らない。

でも、実はこれ、「ビリヤードと言えばナインボール」というハスラー2以来の先入観のせいなんです。つまり、トム・クルーズが悪い。
ナインボールって、難しいんです。初心者向きではない。

今日は、ビリヤード歴30年(くらい)の高井さんが、初心者でも楽しいビリヤードの入り口をご案内します。
私が初心者や普段まったくビリヤードをやらない人とプレイするときにやるゲームです。
経験者vs初心者でも、初心者数人でワイワイでも、必ず楽しめます。

画像は日本屈指のプレイヤーである栗林達プロのお店「KULICKS」で撮影しました。お酒もおいしくて、良い店です。通ってます。

どの球を入れても良い「フリーゲーム」

ナインボールは「番号順に球を入れて9番入れたら勝ち」です。
単純ルールですけど、1個入れるのも大変なのに無茶言うな。しかも途中は関係なしだから、だるい。

そんなのはヤメにして「1個入れたら1点」っていうゲームにしましょう。
さらに「どの球から入れてもいい」とする。
これが「フリーゲーム」です。

ひとまず球は10個でやりましょう。
今時のビリヤード屋さんにはこんなペラペラ(ラックシート)があります。なければ昔ながらの三角形の木枠でオケ。

ラックシートは、木の枠よりうまいこと球を固定できるので便利です。ブレイクで球が散りやすくなる。
球が散らないと盛り下がるというか、その後の難易度があがるので、ラックシートがあったら使いましょう。
使い方はこう。

球をセットするシール(フットスポット)に頂点を合わせて置く。向きは写真の通りで大きい三角形が上。
で、こうする。

ブレイクを当てる1番(黄)を先頭に正三角形に配置する。他の球はどこでもいい。
ブレイクは台の反対側から撞く。「打つ」ではなく「撞く」と言いますが、ま、どっちでも。
本来、ブレイクはこの辺から撞きます。

遠い! 難しい!
経験者はここからだけど、ビギナーは届く範囲で近づけちゃいましょう。
テキトーでOKですが、真ん中より手前じゃないと普通は届かない。当てるのは真正面でいいです。

バーン!ってやると、こうなります。
ブレイクで入らなかったので選手交代。
ちなみにブレイク、なかなか入らないので、上級者に譲るのが吉。

白い球(手球、cue ballといいます)のすぐ近くにある黄色が1番です。
ナインボールだと、他の球が邪魔で、いきなり難しい。萎える。

でも大丈夫。
フリーゲームなので、入れやすい球から入れます。
ポケットに近いのは手前の緑(6番)です。切れてますが、ほぼ穴の前。
ヨイショ、と撞いてみると。

入りました。
これでAさん、1点。
次は一番近い青のストライプ(10番)を右上コーナーポケットに。
ヨイショ。

入りました。Aさん、2点ゲット。
ミスするまで連続してプレイできます。
次はちょっと難しいけどピンク(4番)だ。

入った。できるな、Aさん。3点獲得。
次は…真っ直ぐに近い手前の青(2番)を狙うものの…。

外しちゃった。
選手交代、ブレイクしたBさんの出番です。
何となく、続けて2番を右横のポケットに入れるのが良さそう。

ナイスショットで青(2番)をサイドポケットに。

Bさんの勝ち!

……え?
早くない?

なぜかと言うと。

Aさんは上手なので9点先取り、ビギナーのBさんは1点取れば勝ち、というハンデ戦だったのです。金色のネジのマークが勝利ポイントの目印。

ファイナルスコアはこうです。
そして次のゲームは、こうします。

Aさんは8点先取り、Bさんは2年先取り。
勝ったらハンデを1点、調整する。
次にBさんが連勝したら「7対3」に、Aさんが買ったら「9対1」に戻す。
腕に差があっても、これなら盛り上がります。
点数の配分はワンラック、球10個で終わるようにしましょう。
3人、4人でやっても良し。

「初めてやります!」の人でも楽しめる拡張ハンデもあります。これは高井さんオリジナル。
それはずばり「毎回手球フリー」です。
超初心者は毎回、好きなところに手球(白い球)を動かしても良いとする。
手球フリーは通常、相手がファウル(反則)した場合の特権です。それを毎回与えちゃう、太っ腹なハンデ。

こんな感じで台の反対まで手で持っていっても良し。
これと「どの球から入れてもいい」を組み合わせると、ほぼ毎回「真っ直ぐのを入れるだけ」になります。
それでも初めての人には難しいので、ちょうど良いのです。

フリーボールの場合、ファウル(反則)は「手球がポケットに入ってしまう
」と「台から球が飛び出る」くらいです。あとは「球を手で触ってしまう」とファウル。
ファウルしながら入れてしまった球は、ブレイクの時にラックを置いたスポット(フットスポット)か、ど真ん中(センタースポット)に戻しましょう。この辺、テキトーでいいです。

少し慣れたら、ビギナーのフリーボールの範囲を半分に制限します。

これだけで「全部真っすぐ」とはいかなくなる。
次はさらに半分。

こうなるとけっこう頭も使います。「入れた後に手球をあっちのブロックまで移動しよう」とか、考えるようになる。

この「頭を使う」というのが、ビリヤード本来の楽しさでもあります。
上級者は「すべてのボールをノーミスで取り切るルート」を考えて、逆算して一つひとつの球を沈めていきます。途中でプランがずれたら修正する。とても楽しい。

閑話休題。

「毎回手球フリー」と点数のハンデを組み合わせれば、上級者から超ビギナーまで、楽しく対戦できます。ビギナー側が勝ったらハンデを減らす、というダイナミズムもスパイスになる。

さらにさらに。
ハンデとして、上級者は「入れて良いポケットを減らす」という手もあります。普通は横のポケット(サイドポケット)を使用禁止にします。
とっても上手い人なら、入れて良いポケットを1個か2個にしちゃう。
これはマジでキツいので、上級者も必死になります。

それでもナインボールがやりたい!

フリーボールは複数のプレイヤーでも楽しくやれるのでオススメなのですが、「ビリヤードと言えばナインボールでしょ!」という方もおられるでしょう。
こちらも初心者とやる際にルールをちょっと変えると盛り上がりに違いが出ます。
まず、ラックはこうですね。

菱形。1番(黄色)がアタマ、真ん中が9番(黄色と黒のストライプ)で、あとはテキトーでOK。例のシートを忘れず。
ラックを組む時には、先頭の3つがくっつくように気をつけましょう。
写真だと、黄色、黒、赤。ブレイクの散り具合が全然違います。

ブレイク後は普通は1番から番号順に入れて、9番を入れた方が勝ちです。
でも、これは難しいし、中だるみします。

上級者同士だとワンミスで取り切られて、下手したら次のゲーム、さらに下手すると「その次」も1回も回ってこない(相手がノーミスで全部入れちゃう)ので緊迫感があります。というか、ありすぎて、オジサンには辛い。

再び閑話休題。
中だるみを防ぐルールが「勝利ボールの繰り上げ」です。
ルールはナインボールのままで、腕前が下の方は「7番か8番か9番を入れたら勝ち」とする。「3番以上ならどれを入れても勝ち」としても良い。
上級者側は「頓死」があるので、緊迫感が格段に増します。
初心者側が勝ったら、勝利ボールを1個繰り下げる。3番から4番、とか。

という感じで、工夫次第で今までより絶対楽しいので、是非試してみてください。

最後に「ビリヤード屋さんの作法がよく分からない問題」について簡潔に。

店員さんは待っている

入店後の流れはだいたいこんな感じです。
まず店員さんが「何名ですか」と聞いてきます。混み具合によりますが、4人くらいなら1台でOK。5人以上なら2台の方が良いでしょう。

次に「どのキュー(棒、ですね)使ったらいいですか」と聞きましょう。お店の備え付けのキューを貸してくれます。
壁に立てかけてあるかっこいいキューは常連さんの私物です。数万円から数十万円という高級品もあります。触っちゃ、ダメ。

ゲーム中の注意事項は多くありません。
・大きな声を出さない
・台と台の間に長時間立たない
・待ってる間、台に座ったり、もたれたりしない
どれも常識の範囲内です。
要は「隣でビリヤードしている人がいる」のを忘れないってことです。

プレイ中は、ショットのたびにキューの先っちょにチョークを塗りましょう。
チョークは滑り止めです。塗らないと「カシュ!」とか言って、ミスショットになります。
キューを球の下に突っ込んですくい上げる感じで「ジャンプショット」はやめましょう。あれは邪道というかファウルです。
しかも台に張ってあるラシャ(布)がやぶれることがあります。お店によっては数万円の罰金を取られます。
よっぽど変なことをしないと、ラシャはやぶれませんのでご安心を。

初心者のうちは「球のど真ん中」だけ撞けば良いです。
ど真ん中を、まっすぐに撞く。
これ、実は上級者でも難しいです。

ごちゃごちゃ書きましたが、困ったらなんでも店員さんに聞きましょう。
聞きにくい雰囲気かもしれませんが、実は店員さんは初心者から質問されるのを待っています。ビリヤードやる人、基本、教えたがりが多い(笑)
ショットの基本やマナーを守ってもらった方がお店としても助かるので、どんどん聞いちゃいましょう。

反響があれば続編書きます

ニーズがあるのか分からないまま、ざーっと書いてみました。
ビリヤード、30年近くやっても飽きない、奥が深い、心技体の調和が求められる素晴らしいスポーツです。ぜひ多くの人に楽しんでほしい。

初心者から脱するための最低限の技術や知識は、機会があれば、というか、この投稿に反響があったら書こうかな。
おかわりプリーズな方、「スキ」かコメント残してくださいませ。

では。
ENJOY!

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